ペスカトーレが運ばれてくる。
その見栄えの豪華さに感嘆の声を上げることだろう。
しかし、いつまでも見とれている訳にもいかない。
どうやって食べたらこのペスカトーレを充分に堪能できるのかという作戦を組み立てなければならない。
それも、瞬時に判断しないと、こういった麺類に対しては致命的な打撃となる。
まずは具の種類を識別しなければならない。
クアトロのペスカトーレは異常ともいえるほど具沢山である。
この場合は、スパゲッティと具を混ぜ合わせて食べるといった愚行は避けなければならない。
また、その必要もなくスパゲッティ一本一本にそれぞれの素材から出た旨味がよく絡んでいる。
具を味わいながら、静かに具と具の合間からスパゲッティをたぐり寄せるといった作戦が妥当のようだ。
具を自分の好みの順番で食べながら、その合間にスパゲッティをフォークに巻き付けて食べる。
さらに、トマトソースも最後にきれいに無くなるように計算しながら食べ進んでいく。
たとえば、海老を食べて、スパゲッティを食べて、トマトソースを食べる。
アサリを食べて、スパゲッティを食べて、トマトソースを食べる。
・・・といったぐあいだ。
魚貝を食べる順番にはそれぞれの生い立ちが反映されることも多いようだ。
たとえば大好きな海老を最後までとっておく人。
大好きな海老は一番始めに食べてしまう人。
それぞれに人生経験が左右されていると思われるが、その点は自由に行動すべきだろう。
このようにして、息をつくのも忘れクアトロのペスカトーレに没頭する。
食べ終わり、ふぅーっと息を吐く。
そうして至福の時を感じることだろう。
※あくまでもクアトロの父の個人的な見解による食べ方であり、お客さまに強要するものではありません。