澄んだ大きな目が愛くるしいキンメダイ。クアトロの冷蔵庫の中の魚たちの中ではまさしく紅一点だ。
魚市場のキンメダイ・ランキングでは、一番が銚子、二番が伊豆、三番が高知だという。
今日は、ランキング一位の銚子産キンメダイが入荷した。鮮度が良く、とてもきれいな目をしている。
キンメダイといえば伊豆のイメージなのだが、この銚子産のものを食べると認識が変わると思う。
キンメダイは鯛の仲間ではない。キンメダイ科を名乗る深海魚だ。成長は遅く、大人になるのに４年はかかる。１５年くらいまで成長するという。
かわいらしい容姿とは違い、白身に脂の乗った味わいはとても力強い。さながらおてんばなお姫様といったところか。
※本日のお魚料理
長崎産イサキ、北海道産カサゴ、三陸産カツオ、三陸産花鯛、北海道産オコゼ、鹿児島産オジサン、銚子産キンメダイ
梅雨入りも近づいたのだろうか、一日雨が降り続いている。風もなく、真っ直ぐに降りしきる雨で、とても潔い気がする。
まな板のオコゼには、この雨がうっとうしいというような顔をしている。いや、晴れていてもうっとうしい顔をしているのかもしれない。それにしても、不細工な顔立ちの魚だ。梅雨時になると、美味しくなるのが、このオコゼ。背ヒレに棘があり、毒を持っている。岩場で間違えて踏んでしまったりすると大事だ。毒があるような魚は実はとんでもなく旨い。刺身にしようか唐揚げにしようか、ここはイタリアンだからアクアパッツァにしようか、合わせるワインは何にしようか、気持ちは晴れ晴れとさせてくれる魚だ。みてくれも忘れてしまう。さながら、醜女の深情けといったところか。
※本日のお魚料理
竹岡産スズキ、北海道産カサゴ、青森産ソイ、三陸産花鯛、北海道産オコゼ、鹿児島産オジサン
クアトロでは去年梅酒を漬けた。そろそろ、お店でもカクテルにでもして出そうかと思う。しかし、酒税法で自家製のお酒を売ってはいけないという。クアトロでは梅酒をカクテルにしては売らないことにしよう。
イタリア・カプリ島の名産に「リモン・チェッロ」というものがある。リモン・チェッロとは、空いっぱいのレモンという意味。日本の夏みかんのように大きいシチリアのレモンの皮だけを使い、アルコールに漬け込む。梅酒と同じ造り方だ。食後酒におしゃれなお酒だ。アイスクリームにかけても美味しい。クアトロで使うリモンチェッロはクレーマーでコンデンスミルクで割ったリモンチェッロだ。冷凍室に入れてトロリとしたものを楽しんで貰う。青の洞窟を訪れたような爽やかさを楽しめる。
痛風の痛みも引け、今晩は柏駅付近の居酒屋で快気祝い。
めったに居酒屋へ行ったこともなく、どの店に入るか迷った。どの店の看板にも、健康に良い料理と書いてある。居酒屋はお酒を飲むところだから、そもそも健康には良くなさそうだ。何とか店を決めて入った。客席もほぼ埋まっている。カウンター席に座れという。席に着き、一通り注文するが、やたら無愛想な店長らしきおじさんがサービスしている。厨房はアルバイトらしき若い人ばかりで、こちらも感じ悪い。駅周辺の居酒屋も激戦でサービス合戦だとおもっていたのに、はずれを引いたのだろうか。いっぺんに色々と料理を注文してしまった。注文したものをさっさと平らげてそそくそと退散した。
店長おすすめと書いてある「マグロずくし」を注文したが、水っぽくて何やら調味料の液につけ込んだような味もして、とても健康に良くない味だった。そもそも、こういう店でマグロを注文する気が知れないと、ママには指摘される。写真のような上等なマグロを期待したわけではないが、不味い物も勉強なのだと反論する。それより、あういうサービスを見て自分のサービスを見直せとさらに指導を受ける。
また痛風が悪化しそうな夜だった。
昨晩、クアトロの二軒隣のお店に泥棒が入った。この写真はその容疑者、では無い。なんと「オジサン」という名の魚。珊瑚礁に生息する熱帯の魚。ヒメジ科で下あごのひげ面がいかにもオジサンなのである。味わいは、名前に似ず、白身で上品な味わい。
今日のお昼のご予約のお客様にまずグリルでお出しした。「クアトロのオジサンがお持ちしたオジサンのお味はいかがでしたか？」とお伺いすると、魚のオジサンは中々の美味とお褒めをいただきました。まだ、オジサンおります。オジサンはアクアパッツァで￥３０００、グリルで￥１８００でご用意しております。クアトロのオジサンもお奨めです。
しかし泥棒も、クアトロはお金なさそうに思ったのだろうか。まあ、クアトロで金目のものは、パルミジャーノぐらいだし重たいし入ってもダメですね。
