クアトロのエントランスに何気なく置かれている鉢植え。
よく見ると、かわいい赤い実をつけている。
小さなピーマンのようだ。
何の実なのだろう。
しかし、その実について問いかけてはいけない。
これこそが、悪魔の実なのである。
「ハバネロと云って唐辛子の一種ですよ」
問いかけたとしても、ここで会話を終了しよう。
食べられるのですかなどと、問いかけるともう後戻りが出来なくなる。
「試してみますか」
「ちょっと辛いですよ、いいんですね」
ここで、やっぱりやめますという勇気があればいいのだが。
食べてみますと答えると悲劇が始まる。
クアトロのシェフが調理を始めると、クアトロの父とママは店の換気に走る。
そして、二人は風上へ非難する。
クアトロのシェフが咳き込みながら、調理をする。
そして出来上がった超激辛ハバネロのアラビアータ。
もうあなたは後戻り出来ない。
何の実ですかと問いかけた自分を後悔することだろう。
サラセン軍を退き、中世になりナポレオンが登場する。
ナポレオンによりフランスが隆盛になると、ナポレオンはエジプト遠征に出かけることになる。
すると、イギリス・ネルソン提督などの抵抗にあい、エジプト遠征は失敗に終わる。
遠征の帰り道、ロワールのヴァランセ城に立ち寄ったナポレオン。
ヴァランセ名物のチーズがピラミット型だったことに腹を立て、ナポレオンはこのヴァランセのピラミットの頭を削らせたという。
こうして、ヴアランセのチーズは今のような台形の形のチーズになったという。
事実かどうかはともかくとして、食べ物にも戦争の歴史が刻まれていることが実に多い。
ロワーヌの白ワインを軽く冷やして、このヴァランセでもいただいたら、戦争なんてしたくなくなるのに。
ナポレオンは実に小さな男だと思うクアトロの父だ。
8世紀頃スペインからサラセン軍がフランスに侵攻してくるが、パリの手前ロワール地方で、優勢だったにサラセン軍が突如撤退していく。
その原因は諸説あるようだが、サラセン軍の司令官が命を落としたためだろうと思われる。
サラセン軍が慌てて撤退した後には、山羊と山羊のチーズを作る技術が残される。
そして、現在ではロワーヌ地方は山羊のチーズ・シェーブルの名産地である。
そのシェーブル・チーズも色々とあるが、山羊のエサから工夫をした特別なシェーブルに、数種類のハーブをまぶし熟成させたチーズがある。
ロドルフ・ル・ムニエと云うチーズ熟成士が作った“トム・ド・フォントゥネー・ロドルフ・ル・ムニエ熟成”と云う個人名が付いたチーズがクアトロに入荷した。
その彩りはサラセン皿のようだ。
ハーブの香りがチーズに染みて、爽やかでかつ複雑な風味が素晴らしいこのチーズ。
ここに、ロワーヌ名産の白ワインでも合わせると最高だろう。
歴史のいたずらから生まれたチーズをクアトロで味わってみよう。
夏も終わろうとしている。
しかし、何か忘れ物をしたような気がしていた。
トイレに行ってチャックを上げ忘れているような所在なさだ。
そう、片品村のとうもろこしがまだ届いていなかった。
昨日、夏の終わりを告げる片品村のとうもろこしがやっとクアトロに到着した。
尾瀬の登山口片品村のとうもろこしはその美味しさで全国的に有名だ。
片品村を通る国道は、通称とうもろこし街道と呼ばれ、焼きとうもろこしなどを売る小屋が並んでいる。
片品村は高原にあり、とうもろこしも今の時期に美味しいものが出来る。
その片品村のとうもろこしをペペロンチーニで仕上げたパスタにする。
毎年、この片品村のとうもろこしのペペロンチーニに出会えたお客様は、その美味しさを絶賛してくれる。
数日だけの販売だが、夏のしめくくりにこのパスタを食べよう。
これで、夏のしめくくりが出来ると思っていると、とんでもない事件が起きた。
トイレに行ってチャックを上げようと思ったらチャックが壊れたようなものだ。
花咲ガニとウニ・・・