子供の頃、チーズは体によいから食べなさいと、石けんのようなプロセス・チーズを食べさせられた。一辺のチーズを歯の先でえぐるように時間をかけて食べないと食べられなかった。とても美味しいと云えるものではなかった。いくら体に良いといっても、美味しくないものは薬を飲まされているようなものである。そもそもプロセス・チーズはチーズに火を入れて保存に堪えるように作られたもの。もともと軍隊の携帯食として開発されたものだという。兵隊になったら食べるかもしれないが、子供には向かない。第一親は食べないで、子供にだけ勧めていた感がある。冷蔵庫のチーズは中々減らなかった。
火を入れず、自然の美味しさと栄養がそのままのチーズがナチュラル・チーズ。さらに塩を加えたり、脱水処理をしないミルクそのものを熟成させて食べる物がフレッシュ・チーズ。クアトロ新着のチーズに、「デリス・デ・カバス」なるものがある。カバスの絶品という名前のチーズである。羊のフレッシュ・チーズです。その濃厚なミルク本来の甘味と旨みはまさに絶品。これに、ハチミツでもかけようものなら超絶品である。以前に紹介した「春の鐘を鳴らすペライユ」のさらに上をいく、こだわりの羊乳チーズである。
美味しいチーズが手にはいるようになった現在。クアトロで親が子供に「チーズは体に良いから食べなさい」といった光景はあまり見ない。親が食べたくてチーズを注文する。大人の食べ物なのである。それを分けてもらって食べる子供はチーズが好きになるようだ。
※このブログ上の美味しい、美味しくないはクアトロの父の個人的体験に基づく感想です。読者に強要するものではありません。