麺職人クアトロの父の作る生パスタの美味しい秘密にせまってみた。
それは小麦粉のデンプンの変化。
デンプンは熱を受けると旨みに変わる。
炊きたてのご飯の何とも言えないあの香りと旨み。
ご飯は炊きたてが一番美味しいのは云うまでもなく、温め直しても炊きたての美味しさは戻ってこない。
パスタも同じで、乾めんは乾燥させることでデンプンが熱を受けて変化してしまう。
その乾麺は茹であげでもデンプン本来の美味しさは得られない。
生パスタは茹で上げる時に初めて熱を受けるので、炊きたてのご飯と同じ美味しさを楽しめる。
デンプンのアルファ化ベータ化とかいう話だ。
ただ生パスタは、ゆで時間が短いため、10分茹での乾めんと比べ、2~3分で茹で上がる。
生パスタは10秒でも茹ですぎると乾めんの40~50秒の茹ですぎに相当してしまう。茹で上がってから伸びるのも早く、調理に気を遣う。
要するに、扱いが難しいのが難点。
お客様にも、生パスタのメニューはせっせと食べていただかなくてはなりません。
美味しい生パスタ、今日も出来上がりました。
今日のクアトロのおすすめは、パルミジャーノのリゾットだ。
リゾットの語源はリーゾ=お米、オッティモ=最高の合成語。
最高のお米料理といった意味になるのでしょうか。
お米は日本のお米より細長くデンプン質が少ないイタリア米を使う。
ニンジン、タマネギと一緒にお米は洗わずに煮る。
アルデンテに芯を残して仕上げる。
そして、そのお米一粒一粒に旨みを絡ませたものが、最高のお米料理=リゾットと呼ばれるものとなる。
お米を洗わないことで、デンプンがお米のまわりを覆い、そのデンプンに旨味が絡むのだろう。
クアトロのパルミジャーノのリゾットは、パルミジャーノの固まりの中で最後の仕上げを行う。
お米一粒一粒にパルミジャーノの濃厚な旨みが絡み、オッティモ・オッティモなリーゾが仕上がる。
しかも、お客さまが味見をして、チーズの量を指定できると云うパーフォーマンスも、オッティモである。
古代都市ポンペイを飲み込んだヴェスヴィオ火山の大噴火。
その後ナポリ近郊は火山灰に覆われてしまう。
荒れ果てたその光景に天上のキリストは涙する。
その涙の落ちたところからブドウが育ちワインが出来た。
そのワインが「ラクリマ・クリスティ」というワインである。
キリストの涙という名のワインだ。
キリストの涙から生まれたのはワインだけだったのだろうか。
ヴェスヴィオ火山の麓にあるサンマルツァーノの町にもキリストの涙はあったのだ。
細長いナスのような形のトマト、サンマルツァーノである。
このトマトから作られるトマトソースもナポリの民を救うのだった。
そのサンマルツァーノ種のトマトが豊四季の土地にも現れた。
育てたのは、こだわりの野菜農家石川ファームである。
そしてクアトロでトマトソースになり、製品化され売り出される。
その名は「ポモドーロ・プレミアム」である。
「ラクリマ・クアトロ」クアトロの涙とも呼べる傑作パスタなのである。