デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



サイモン・シン『フェルマーの最終定理』(新潮文庫)読了。

手にしてから一週間以内に読了できた本は随分ひさしぶりだ。年明け早々寝る間も惜しんで読み進めたくなり、読み終えるのに残念な気持ちになったりする作品に出会えてよかった。
日常生活において数学に接する機会など特に学校を卒業したあとでは殆どなくなるどころか、意識すらしないものだが、世の中は決して数学なしには成り立たないんだなぁと読んでみて改めて思う。
『フェルマーの最終定理』では誰にでも理解できるものの証明しようとすると手も足も出ない超難問についてのみならず、"フェルマーの最終予想"を証明するために用いられたあらゆるツールについての説明や、「数」の神秘、世の中に数学がどれほど寄与・貢献しているのかもきちんと書かれているところがすばらしい。数学の世界はある意味独特なおもしろい世界である。
もちろん、"フェルマーの最終予想"に挑んだ偉大な数学者たちの苦悩や生涯についても触れられていて関心を覚えたし証明がなされる過程のスリリングな展開は並みの筆力では描けないであろうことには舌を巻いた。
また、"最終予想"をめぐって世の中がどのような反応をしたのかも興味深かった。"予想"の証明に賞金がかけられた時代、どのような人たちが「証明」を送りつけてきたか、といったエピソードはけっこう笑える。時代は変化するが、考えることは同じだなぁと思わせる作者の抜群のユーモアセンスも感じ取れ、読んでいて非常に楽しかった。

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