洋画(映画)で今年初めての最初から最後まできっちり観た作品は『スパルタカス』になった。(ちなみに邦画では広告業界を舞台にしたコメディ『ジャッジ』がそうである)
『スパルタカス』は10年以上前に見たことがあったので、二度目の鑑賞だったのだけれど、今見たほうが圧倒的におもしろいな、と思った。最初の鑑賞ではすぐに「いい者、悪い者」の区別をつけて見たり戦の場面の凄惨なカットに驚いて「すごい!」とかいった感想しか抱かなかった。見ていて正直「早く終わってくれ」と心の中で思っていたところがある。
しかし、二度目の鑑賞だと映画に出てくるクラッススが古代ローマ史でいうならどのあたりの人物で、若き日のカエサル(映画では史実をあえて「改変」している)が台頭しようとしている背景がある程度分かった状態で見れたし、クラッススに対峙する元老院議員になぜグラックスという名前を付しているのかといった鑑賞者をニヤリとさせるような設定を楽しむことが出来た。
そしてクライマックスの会戦の場面に対する制作者の凝りようは、並々ならぬものがある。会戦でのローマ兵団の統率、隊列の一糸乱れぬ動きをあれほど大掛かりにうまく再現するとは、相当な数のリハーサルを敢行したのではないかと思う。
今回の鑑賞でしばしば起こる、初見時にはまだまだ内容を理解するほどの精神の段階には至っていなかった、といったことに気づかされる経験を得たといえるかもしれない。また、一度目に分からなかった映画も、時を経て見てみれば傑作であるゆえんを感じることができるという体験をしたいものだ。
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