音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■ドイツ Oelde で、私の Piano solo Works が premiere初演される■

2014-06-19 20:12:34 | ■私の作品について■

■ドイツ Oelde で、私の Piano solo Works が premiere 初演される■

~欧州に日本を初紹介した Kaempfer ケンペル にちなむ Exhibition で~

                2014.6.19    中村洋子

 

 

★梅雨です。

紫陽花の花が、日ごとに、青さを増していきます。

ベルリンの 「 Musikverlag  Ries & Erler  Berlin  リース&エアラー社 」

から出版されます、私の 「 Suite für Violoncello solo  Nr.2、 Nr.4

無伴奏チェロ組曲 2、 4番 」 の校訂がほぼ終わり、

Nr.5、 Nr.6 の 1回目の校訂が済みました。

これを基に、さらに校訂を重ね、優れた楽譜となりますよう、

作曲家、編集者、演奏家、出版社が、

ベストを尽くしている最中です。


5月 22日、ドイツ北西部 Nordrhein-Westfalen

ノルトライン = ヴェストファーレン州  「 Oelde エルデ 」 という都市の、

「 Museum für Westfälische Literatur 」 で、演奏されました、
http://www.kulturgut-nottbeck.de/13798.0.html
http://de.wikipedia.org/wiki/Museum_f%C3%BCr_Westf%C3%A4lische_Literatur_Haus_Nottbeck
http://www.kulturgut-nottbeck.de/13792.0.html

私の Piano solo Works ピアノ作品について、

奏者の pianist Yumi Tajima 田島有美 さんから、

お聴きになった方の感想などが、送られてきました。

 

 

 


★この Concert は、博物学者  「 Engelbert Kaempfer 

エンゲルベルト ケンペル ( ケンプファー ) (1651-1716)  」 

にまつわる品々の
「 Exhibition 」 Opening Ceremony として、

開催されました。


■Kaempfer ケンペルは、ドイツ北部 レムゴー出身の医師、博物学者。
ヨーロッパで、日本を初めて体系的に記述した『日本誌』の原著者。
1690年(元禄3年)、オランダ商館付の医師として、約 2年間出島に滞在した。1691年と翌年、二度にわたって江戸に上がり、「生類憐みの令」で有名な、将軍・徳川綱吉にも謁見した。滞日中、精力的に日本に関する資料を収集した。 『日本誌』の草稿である「Heutiges Japan今日の日本」を執筆していたが、1716年、ケンペルはその出版を見ることなく死去。

■1727年、遺稿を英訳させたスローンにより、ロンドンで出版された『日本誌』(The History of Japan)は、仏語、オランダ語にも翻訳された。ドイツの啓蒙思想家Dohmドーム が、甥ヨハン・ヘルマンによって書かれた草稿を発見、1777‐79年にドイツ語版(Geschichte und Beschreibung von Japan)が出版された。
 
■ 『日本誌』は、特に仏語版(Histoire naturelle, civile, et ecclestiastique de I'empire du Japon)が出版されたことと、ディドロの『百科全書』の日本関連項目の記述が、ほぼ全て『日本誌』を典拠としたことから、知識人の間で一世を風靡、ゲーテ、カント、ヴォルテール、モンテスキューらも愛読し、19世紀のジャポニスムへと繋がってゆく。
絶滅したと考えられていたイチョウが日本に生えていることも報告。
ケンペルに遅れること約140年後、日本に渡ったシーボルトにも大きな影響を与えた。

■ケンペルは著書の中で、日本には、聖職的皇帝(=天皇)と世俗的皇帝(=将軍)の「二人の支配者」がいると紹介した。その『日本誌』の中に、付録として収録された日本の対外関係に関する論文は、徳川綱吉治政時の日本の対外政策を肯定したもので、『日本誌』出版後、ヨーロッパのみならず、日本にも影響を与えることとなった。
 

■『日本誌』のオランダ語第二版(De Beschryving Van Japan)(1733)を底本として、志筑忠雄は1801年(享和元年)、この付録論文を訳し、「鎖国論」と名付けた。本来の題があまりに長かったため、文中から「鎖国」という言葉を取り上げ、題名とした。日本語における「鎖国」という語は、ここから誕生した。

■スローンが購入した「ケンペル収集品」の大部分は、大英博物館が所蔵している。ドイツに残っていた膨大な蔵書類は、差し押さえにあい、散逸してしまった。ただし彼のメモや書類はデトモルトに現存する。

 

 


★このように、日本を最初に体系的に紹介した Kaempfer

ケンペル ( ケンプファー )に関する 「 展示 」 にちなみ、

≪ 是非、日本人作曲家の作品を演奏して欲しい ≫ という依頼が、

ことし二月、Yumi Tajima 田島有美さんに主催者からあったそうです。


★≪ 私の作品をお弾きになりたい ≫ という、

有美さんからの、嬉しいご依頼に応え、

Ceremony にふさわしい曲を選び、今回の趣旨に合うよう、

作り変える作業を、2ヶ月ほど続けました。


★有美さんの夫  Violinist  Takahiro Tajima 田島高宏さんは、

Nordwestdeutsche Philharmonie

北西ドイツフィルハーモニー管弦楽団の  concertmaster

コンサートマスターです。

この夏、お二人で帰国し、Sapporo Symphony Orchestra

札幌交響楽団の concertmaster に就任されます。

Nordwestdeutsche Philharmonie 北西ドイツフィルハーモニー管弦楽団は、

私の尊敬する、作曲家で指揮者の Hermann Scherchen

ヘルマン・シェルヘン ( 1891 - 1966 )  が、

1959 ~ 1960年に、主席指揮者を務めたオーケストラです。

 

 


Opening Ceremony では、 „ Der Tanz vor dem Shōgun “

“ 将軍の前でダンス ” という題で、

Kaempfer の日本へ到達するまでの来歴、

日本での活動と研究、江戸時代の日本文化、生活様式などを、

ケンペルの見聞と重ねながら説明され、その区切り区切りで、

私の曲を、有美さんが Piano ピアノ独奏されました。

-------------------------------------------------------------------------------

★ Program:
Ausstellungseröffnung   
"Der Tanz vor dem Shogun"   
Lesung mit Hans Peter Hallwachs  
im Kulturgut Haus Nottbeck Oelde am 22. Mai 2014
ABLAUF   

Grüßwort
   
1. Musik:  aus Japanisches Wandererlied-Variationen für
Klavier Thema-Var.1 Moderato-Var.2 allegro con fuoco

2. Lesung: Einführung und Heuss
3. Lesung: Flucht aus der Gefangenschaft 1684 

4. Musik:  the Ise-Ondo

5. Lesung: Nacht auf dem Meer 1690  
6. Lesung: Vorrede zum Japan-Werk 1712 

PAUSE

7. Musik:  Variationen über Hietsukibushi  
Thema, Andante tranquillo - Var.1 - Var.2 Allegro

8. Lesung: Affenpossen 1691  
9. Lesung: Gedichte1691 

10. Musik:  Heisei Etenraku for Piano solo Lento

Musik von der Komponistin Yoko Nakamura
Pianistin: Yumi Tajima

 

------------------------------------------------------------------------------

 

 


★演奏会は、とても好評だったそうです。

有美さんが直接、お聴きになった感想を送って下さいました。

ご紹介させていただきます。


■"pentatonische Melodie und Klänge haben mich in die Ferne begleitet,
aber gleichzeitig kommt die Musik zu uns im Herzen ganz nah durch
vielseitige musikalische Nuancen. Zum Beispiel habe ich manche Klänge
durch Debussy oder andere Komponisten ganz nah gefunden,
obwohl die motivische Melodie aus ferner Ost stammte."

ペンタトニックのメロディーと響きが、遠く(遥か東の日本)へと
導いてくれた。それと同時に、この音楽は様々な音楽的な
ニュアンスによって、私たちの心にとても近く感じられた。
例えば、(中村洋子さんの)作品のある一部の響きから、
ドビュッシーや他の西洋の作曲家を、連想することができ、
モチーフのメロディは、遥か遠くのものであるにもかかわらず、
親近感をもって迫って来た。

                          ( 田島有美訳 )

■"Die Musik hat mich so beeindruckt. Auch das Programm fände ich
ganz besonders. Es war unbeschreiblich gute Gefühl zwischen
Freundlichkeit, Ernst, Leichtigkeit, Schwer und Einfachheit..."

音楽にとても感動した。(4曲で構成された)プログラムも
絶妙に思えた。

それは言い表すことのできない、親しみ、厳しさ、軽やかさ、重み、
そして、
簡潔さの間にある、なんとも幸せな気持ちであった。
                       (
田島有美訳 )


■「 無駄の一切無い音楽、エッセンスの詰まった作品、
                                                 
いとおしく思います 」  
                                                                          
(有美 )

 

 


★私のピアノ作品が、このような由緒ある場で、

ドイツ初演されたことに、言い知れぬ感動を、覚えます。

 

 



 


 

 

 ★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 4、 5、 6番 」

 

  Wolfgang  Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、

 

   全国の主要 CDショップや amazon でも、ご注文できます。

 

 ★ disk Union クラシック館で、第1 ~ 6番を購入できます。

 

 

 

 

※copyright © Yoko Nakamura    
             All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ■ Chopin の楽譜書き込みは、... | トップ | ■ Sinfonia 14番での、 Seque... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

■私の作品について■」カテゴリの最新記事