■ Sinfonia 14番での、 Sequenz 反復進行の息を呑む美しさ ■
~ Inventionアナリーゼ講座 第14番のご案内~
~ 見事な解釈の Invention ≪ Toulouse 写本 ≫ ~
2014.6.23 中村洋子
★今秋、ドイツで初演していただきます
「 Duo for Cello and Guitar チェロとギターの二重奏 」 の作曲で、
このところ、忙しくしております。
★演奏していただくのは、
Cello : Susanne Meves-Rößeler ズザンネ メフェス レセラーさん、
Guitar : Christian Kulke-Vandegen
クリスティアン クルケ ファンデゲンさん。
Susanne さんは、Boettcher 先生のベルリン芸大での
愛弟子で、現在、ベルリンで活躍されています。
日本人並の小柄な方で、在学中、 Boettcher 先生は、
Susanneさんを " princess " と、呼ばれていたそうです。
彼女は、私の作品の 「 Suite für Violoncello solo Nr.1
無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、この5年間、いろいろなところで、
何度も、弾いていただいています。
お手紙に 「 The most success in the last 5 years I had is
in playing your Cello-Suite Nr.1 」 と、書かれていました。
★ギターの Christian さんは大変な大男、
195 ㎝ もあるそうです。
体に合わせ、通常よりも大きいサイズの、
8弦ギター (deep C and D) を、弾かれます。
チェロに負けない、パワフルな音量だそうですので、
とても楽しみです。
★6月 25日は、KAWAI 名古屋で、
第 14回 「 Bach Invention アナリーゼ講座 」 を、
開催いたします。
★講座では、まず ≪ Bach の自筆譜 ≫ から何が学べるか、を
最優先に、お話いたします。
それに加え、今回は、 Bach が亡くなってから 約 5年後の、
1755年頃に書き写され、その後、1993年になって、フランスの
Conservatoire National de Région de Toulouse
トゥールーズ音楽院 の Biblioteque Musicale で発見されました
Inventionの 「 写本 」 ≪ Toulouse 写本 ≫ も、参照します。
★この ≪ Toulouse 写本 ≫ は、とても興味あるものです。
Bach の自筆譜を、極めて忠実に、写しています。
例えば、 音部記号を、ヘ音記号からアルト記号に変更する点や、
符尾の位置などについては、 Bach そのものです。
★しかし、レイアウトは、大胆に変更しています。
独自の解釈をしたうえでの、変更です。
闇雲に、変えたのではありません。
そのレイアウトから、この写し手が、Bach の音楽を、
深く深く、理解していたことが、一目瞭然です。
大変、立派な音楽家であったことは間違いありません。
興味が尽きない写本である、といえます。
末尾に 「 Darnkohler 」 という、署名があります。
★ Bach の和音は、 Sequenz( 反復進行 ゼクエンツ )と、
結びついた時、その類稀な美しさを、存分に発揮します。
それを、完全に自家薬籠中のものにしたうえで、
「 Suite bergamasque ベルガマスク組曲 」 などの作品に、
消化していったのが、Claude Debussy
クロード・ドビュッシー (1862~1918)です。
★ ≪ Invention & Sinfonia 第 14番 ≫ は、
豊かな和声の Sequenz ( 反復進行 ゼクエンツ ) に、
満ちています。
音楽の表情や、 Höhepunkt 頂点 を形作っていくうえで、
決定的役割を、果たしています。
★例えば、 Sinfonia 14番 ( 全体 24小節 ) で、
曲最後の頂点 Höhepunkt を形作っている、
22、 23小節 を見てみましょう。
★22小節の Sequenz 反復進行を、自動的に繰り返しますと、
実は、このようになります。
★しかし、 Bach はご存じのように、
本来あるべき1小節を削除し、
このように、作曲しました。
★この省略された小節について、聴く人は、 “ こうであろう ”
と、予想するのに対し、
実際は、想像を上回る高い音の
「 b2 」 ( B-Dur の主音 ) から始まる、
実に美しい下行音階で、始まります。
★この意外性、それと同時に、
この曲の Höhepunkt 頂点を形作る、
息を呑むような美しさ、見事さ。
圧巻です。
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● 中村洋子・ Bach Invention アナリーゼ講座
■ 第 14回 Invention & Sinfonia 第14番 B-Dur
~ ドビュッシー「ベルガマスク組曲」の和声は、
14番から最大限に吸収 ~
日時 : 2014年 6月 25日(水) 10:00 ~ 12:30
会場 : KAWAI 名古屋2F コンサートサロン「 ブーレ 」
予約 : Tel 052 -962 -3939 Fax 052 -972 -6427
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■ 講師 : 作曲家 中村 洋子 Yoko Nakamura
東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。
2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。
07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。
08年: CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。
08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
Analysis インヴェンション・アナリーゼ講座 」
全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。
09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 3番 」が、
W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイム で、
初演される。
10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。
10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
「 Regenbogen-Cellotrios 虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。
11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」を、
Musikverlag Hauke Hack Dortmund 社から出版。
13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。
「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、
自作品が演奏される。
★上記の 楽譜 & CDは「 カワイ・表参道 」 http://shop.kawai.co.jp/omotesando/
「アカデミア・ミュージック 」 https://www.academia-music.com/ で販売中
★私の作品の CD 「 無伴奏チェロ組曲 4、 5、 6番 」
Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー演奏は、
全国の主要 CDショップや amazon でも、ご注文できます。
★ disk Union クラシック館で、第1 ~ 6番を購入できます。
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