音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■中山靖子先生の「リート」、中山悌一先生の「ピアノ」、忘れ得ない体験■

2015-01-19 20:55:25 | ■楽しいやら、悲しいやら色々なお話■

中山靖子先生の「リート」、中山悌一先生の「ピアノ」、忘れ得ない体験■
     ~Berlinで、私のCello四重奏曲を演奏~

                                     2015.1.19   中村洋子

 

                

★故「中山悌一」先生の奥さまの「中山靖子」先生が、

お亡くなりになりました。


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訃報:中山靖子さん93歳=東京芸大名誉教授、ピアニスト
毎日新聞 2015年01月16日 
 中山靖子さん93歳(なかやま・やすこ=東京芸大名誉教授、ピアニスト)16日死去。通夜は18日午後6時、葬儀は19日午前11時半、東京都台東区上野公園14の5の寛永寺輪王殿第2会場。葬儀委員長は迫昭嘉(さこ・あきよし)東京芸大教授。喪主は長男欽吾(きんご)さん。     
 日本の音楽界に寄与したロシア出身のピアニスト、レオニード・クロイツァーに師事し、クロイツァー記念会名誉会長などを務めた。夫はバリトン歌手の故中山悌一。2005年に瑞宝小綬章。
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故悌一先生がお元気でしたころ、二期会「ドイツリート研究会」を、

私も、勉強のため聴講させていただきました。

そこでの、悌一先生による素晴らしい講義については、

以下のブログで、詳しくご紹介しております。http://blog.goo.ne.jp/nybach-yoko/e/87b52c5e9163a9a3bab1bad7b933ea17

http://blog.goo.ne.jp/nybach-yoko/e/b58c0b3803815a32b41acf428860da63

 

★「ドイツリート研究会」の分科会のような形で、靖子先生による、

ピアノ伴奏の勉強会も時々、開催されていました。


★その勉強会に、普段は顔をお見せにならない悌一先生が、

ある時、靖子先生と一緒にいらっしいました。

どうも、靖子先生の体調がいま一つだったためのようですが、

その講義では、一生忘れえない体験をいたしました。

 

 


Schubert のリートを、靖子先生が歌い、

ピアノ伴奏を、悌一先生がなさったのです。

逆の組み合わせです。

悌一先生のピアノは、「素晴らしい」という月並みの表現では

言い表せない程、感動的なものでした


先生のリートと同様、ピアノの一音一音が、

全体の曲の構造の中で、明確に位置付けられ、

どれ一つ欠かすことのできない音であることが、

手に取るように分かる演奏でした。

Schubert の短い歌曲が、強固な構造体で出来ていることが、

実感できたのです。

そして、端正で清々しく、はったりがなく、

誠実で暖かい演奏でした。

当たり前のことですが、超一流の芸術家は、

どんな楽器であろうとも、超一流なのです。


★靖子先生のリートも、細い声でしたが、

透明感のある見事な歌でした。

 

 


★「ドイツリートは、他の国の歌とは違う」と、

悌一先生は、絶えずおっしゃっていました。

つまり、Bach の音楽に通じるからです。

リートで歌われる言葉の一つ一つが、

音楽全体を構成する motif モティーフとなっているからです。

ドイツリートの揺るぎなき礎を築いたのも、

Bachである、と言えるのです。

 

★悌一先生のおっしゃるドイツリートとは、

Wolfgang Amadeus Mozart モーツァルト(1756~1791)、

Franz Schubert シューベルト(1797~1828)、

Robert Schumann  シューマン (1810~1856) 、

Johannes Brahms ブラームス(1833~1897)、

Hugo Wolf ヴォルフ (1860~1903)、

Richard Strauss リヒャルト・シュトラウス (1864~1949)

を指します。

 


★いつものことですが、靖子先生の訃報記事には、

「夫はバリトン歌手の故中山悌一」と書いてあるだけ。

歴史を知らない若い方には、単なるバリトン歌手であったとしか、

受け止められないでしょう。

日本人で初めて、世界に通用する本当の音楽家であった、

という位置づけが欠落しています。

せめて、≪「二期会」を創設、日本でのクラシック音楽の普及、

教育に尽力した≫ぐらい、書いて欲しいものですね。

読者が、日本でのクラシック音楽の歴史を知ることにも、

なるからです。

 

 

★先日、Berlinの女性cellist Susanne Meves-Rößeler先生から

お便りがあり、可愛いお弟子さんのお嬢さん四人が、

コンサートで、私のCello四重奏曲

"Vier Paar Kastagnetten" (Nr.5) aus: Zehn Fantasien

für Celloquartett を、弾いてくださるという、

嬉しいお話でした。

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Konzert
Der Fachbereich Streichinstrumente
präsentiert Ensembles,
Schülerinnen und Schüler
Musik für Streicher
Mittwoch, 21.01.2015 um 19.00 Uhr
Festsaal im Rathaus Charlottenburg
Otto-Suhr-Allee 100
Eintritt frei !
www.ms-cw.de
Programm
Karoline Kyrieleis, 12 J; Cäcilie von Galen, 13 J;
Maruscha Obuhov, 11 J;Katharina von Stackelberg, 13 J,
alle Violoncello Einstudierung: Susanne Meves-Rößeler
Yoko Nakamura :
"Vier Paar Kastagnetten" (Nr.5) aus: Zehn Fantasien für Celloquartett

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★この曲 "Vier Paar Kastagnetten" (Nr.5) は、 

Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)    

チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)

の一曲で
Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から

出版されています。

 

★いま、Berlinは “Celloの都” と言われるほど、

Cello が盛んだそうです。

Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー先生のお人柄と

熱心な指導に負うところが、大のようです。

若い芽がすくすくと育ち、早く私の「 無伴奏チェロ組曲 」も

弾いて欲しいものです。


24日土曜日は、 Wolfgang Boettcher ベッチャー先生が

Berlinで、私の「Suite für Violoncello solo Nr.4 

無伴奏チェロ組曲 第4番」を premiere 初演されます。

「 Musikverlag  Ries & Erler  Berlin

リース&エアラー社 」で、私の作品の楽譜編集を担当して下さった、

editor でcellistの Thomas Schwalbe トーマス・シュヴァルベさんたちも、

楽しみに、演奏会に行かれるそうです。

 

 


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