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■ブラームス Brahms 3つの間奏曲 Drei Intermezzi Op.117 の楽譜について■
09.6.25 中村洋子
★一昨日のブログで、書きました ルービンシュタインの CDには、
ブラームスの作品が、12曲、収録されています。
2曲を除き、残り10曲は、ルービンシュタインが、
84歳だった、1970年6月10日~12日にかけて、
ローマの RCAイタリアスタジオで、録音されています。
いままで、何歳の時の録音か、あまり、
気に留めていませんでしたが、
今回、CDのブックレットを見て、
その84歳というお年に、感嘆いたしました。
★一度、世に出た後、ひたむきな勉強をしないで、
大輪の花を、咲かせることなく、
蕾のまま萎れてしまう演奏家も、多いのですが、
ルービンシュタインは、年齢とともに、
さらに、輝きを増していった、
ということが、よく分かります。
★ルービンシュタインは、あるインタビューで、
「若いピアニストが上達する秘訣とは?」と聴かれ、
「毎日、バッハの平均律クラヴィーア曲集を練習すること」と、
答えています。
★ピアノの「マエストロ」といえば、アルフレッド・コルトー
Alfred Cortot も、忘れることができません。
私は、ブラームスの 3つの間奏曲 Drei Intermezzi Op.117
の校訂譜として、コルトーの版を、
ずいぶん、勉強いたしました。
出版社は「 Edizioni Curci-Milano 」社(クルチ社)です。
この出版社は、シュナーベル校訂の、
ベートーヴェンソナタ全集も、出しています。
★このコルトー版と、ヘンレ版のUrtext を比較しますと、
コルトー版は、ブラームスの自筆手稿譜(Autograph)を基に、
コルトーの校訂を、加えています。
ヘンレ版は、ブラームスの Handexempler(Auther'copy)を
基にしています。
このHandexemplerは、ベルリンのSimrock ジムロック社から、
ファーストエディションが、出版される折、
ブラームスが修正を加えた、ブラームス自身によるコピーです。
★ブラームス自身によって書かれた、
2種類の楽譜が、存在するのです。
一般的に、作曲家が版を重ねるごとに、手直しをすることは、
よくありますが、一番新しいものが、
優れているとは、言い切れない面があります。
★ベッチャー先生から、うかがった話ですが、
コダーイの「無伴奏チェロソナタ」は、第一版と、
後の版とでは、相違する点があるそうです。
シュタルケルが、コダーイの前で、第一版を演奏し、
「後の版と、どちらが正しいのか」と、
本人に直接、尋ねたそうです。
コダーイは、「It's OK」としか、いいませんでした。
それは、シュタルケルの演奏が、素晴らしかったので、
作曲家として納得した、ということなのでしょう。
質問には、答えてはいなかったようです。
★ブラームスの Drei Intermezzi に、話を戻しますと、
どちらがいいかは、別にして、
そのNo.2 について、両者を比較してみます。
★①=ブラームスの自筆手稿譜(Autograph)
②=ブラームスの Handexempler(Auther'copy)と、します。
22小節目で、
①には、フェルマータは記載されていない。
②には、P記号の直前に、上声と下声に、
1つずつフェルマータが、記載されている。
42小節目で、
①には、crescendoのみ記載。
②は、3.5拍目の位置に、fが記載され、そのfの直前まで、
crescendoが続いている。
84小節目の第1拍目、
①では、B♭/d♭/b♭ シ♭、レ♭、シ♭の和音。
②では、B♭/b♭ シ♭、シ♭のオクターブ。
★以上の3点が、大きな相違点です。
ずいぶんと、曲の表情が変わりますね。
両方弾いて、確かめてください。
(花梨の若い実)
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲
09.6.25 中村洋子
★一昨日のブログで、書きました ルービンシュタインの CDには、
ブラームスの作品が、12曲、収録されています。
2曲を除き、残り10曲は、ルービンシュタインが、
84歳だった、1970年6月10日~12日にかけて、
ローマの RCAイタリアスタジオで、録音されています。
いままで、何歳の時の録音か、あまり、
気に留めていませんでしたが、
今回、CDのブックレットを見て、
その84歳というお年に、感嘆いたしました。
★一度、世に出た後、ひたむきな勉強をしないで、
大輪の花を、咲かせることなく、
蕾のまま萎れてしまう演奏家も、多いのですが、
ルービンシュタインは、年齢とともに、
さらに、輝きを増していった、
ということが、よく分かります。
★ルービンシュタインは、あるインタビューで、
「若いピアニストが上達する秘訣とは?」と聴かれ、
「毎日、バッハの平均律クラヴィーア曲集を練習すること」と、
答えています。
★ピアノの「マエストロ」といえば、アルフレッド・コルトー
Alfred Cortot も、忘れることができません。
私は、ブラームスの 3つの間奏曲 Drei Intermezzi Op.117
の校訂譜として、コルトーの版を、
ずいぶん、勉強いたしました。
出版社は「 Edizioni Curci-Milano 」社(クルチ社)です。
この出版社は、シュナーベル校訂の、
ベートーヴェンソナタ全集も、出しています。
★このコルトー版と、ヘンレ版のUrtext を比較しますと、
コルトー版は、ブラームスの自筆手稿譜(Autograph)を基に、
コルトーの校訂を、加えています。
ヘンレ版は、ブラームスの Handexempler(Auther'copy)を
基にしています。
このHandexemplerは、ベルリンのSimrock ジムロック社から、
ファーストエディションが、出版される折、
ブラームスが修正を加えた、ブラームス自身によるコピーです。
★ブラームス自身によって書かれた、
2種類の楽譜が、存在するのです。
一般的に、作曲家が版を重ねるごとに、手直しをすることは、
よくありますが、一番新しいものが、
優れているとは、言い切れない面があります。
★ベッチャー先生から、うかがった話ですが、
コダーイの「無伴奏チェロソナタ」は、第一版と、
後の版とでは、相違する点があるそうです。
シュタルケルが、コダーイの前で、第一版を演奏し、
「後の版と、どちらが正しいのか」と、
本人に直接、尋ねたそうです。
コダーイは、「It's OK」としか、いいませんでした。
それは、シュタルケルの演奏が、素晴らしかったので、
作曲家として納得した、ということなのでしょう。
質問には、答えてはいなかったようです。
★ブラームスの Drei Intermezzi に、話を戻しますと、
どちらがいいかは、別にして、
そのNo.2 について、両者を比較してみます。
★①=ブラームスの自筆手稿譜(Autograph)
②=ブラームスの Handexempler(Auther'copy)と、します。
22小節目で、
①には、フェルマータは記載されていない。
②には、P記号の直前に、上声と下声に、
1つずつフェルマータが、記載されている。
42小節目で、
①には、crescendoのみ記載。
②は、3.5拍目の位置に、fが記載され、そのfの直前まで、
crescendoが続いている。
84小節目の第1拍目、
①では、B♭/d♭/b♭ シ♭、レ♭、シ♭の和音。
②では、B♭/b♭ シ♭、シ♭のオクターブ。
★以上の3点が、大きな相違点です。
ずいぶんと、曲の表情が変わりますね。
両方弾いて、確かめてください。
(花梨の若い実)
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲