音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■「東北(とうぼく)への路」~松尾芭蕉によせて~■ その1

2007-12-24 16:46:11 | ★旧・曲が初演されるまで
2006/4/14(金)

▼ことし7月1日(土曜日)午後7時から、東京・小石川の伝通院・本堂で、私の全曲初演による

個展コンサート「東北(とうぼく)への路」を開きます。

伝通院は、徳川家康の生母「於大(おだい)の方」の菩提寺。

格式の高いお寺です。

揺らめく蝋燭の明かりを前にして、本堂の荘厳な空間での演奏会は、幻想的です。

この本堂での個展コンサートは、ことしが3年目になります。

お蔭様でとても好評です。

音響も、能楽堂に匹敵する素晴らしさ。

有名なホールより優れているかもしれません。

今回は、松尾芭蕉「奥の細道」をテーマに、時空を超えた東北への旅を、音楽により表現いたします。

東北を「とうぼく」と呼ぶのは、お能の「東北(とうぼく)」から取りました。

発音が典雅ですね。


▼斎藤明子さんの10弦ギター独奏で、「春三月の旅立ち」から始まります。

「あらたふと青葉若葉の日の光」の日光、「五月雨の降り残してや光堂」の平泉。

「荒海や佐渡に横たふ天の河」の越後路へと旅をいたします。

斎藤さんは、日本人ギタリストとして初めてニューヨーク・カーネギーホールでリサイタルをなさった

実力のある音楽家です。


▼第2幕は歌です。

私の知人で鶴岡出身の婦人がいらっしゃいます。

民謡の名人です。

彼女は、小さい頃から大変苦労された方です。

「民謡を歌って慰めることで、日々の辛い労働を乗り切ってきた」と話されていました。

お母さんが歌う民謡を耳で聴いて覚えたそうです。

それは「最上川舟歌」です。

鋼鉄のように張りのある声で歌っていただきます。

鑑賞用ではない本当の民謡、生きる糧として歌い継がれてきた歌です。


▼次に、「最上川舟歌」の主題をテーマにした曲を、斎藤明子さん尾尻雅弘さんご夫妻のギター二重奏で

演奏いたします。

斎藤さんの10弦ギター、尾尻さんの7弦ギターという大変珍しい組み合わせです。

10弦ギターは特に低音が豊かで、オーケストラの響きにも匹敵しそうです。

「五月雨を集めて早し最上川」。

最上川のとうとうとした流れが髣髴とするといいですが・・・。

尾尻さんは、バッハから現代曲まで幅広いレパートリーで活躍中のギタリストです。

その真摯な演奏がいま、注目されています。


▼旅の終わりは、また舟に乗りて「蛤のふたみに分かれ行く秋ぞ」。

大きな旅を終えた安堵感と一抹の秋の寂しさ。

この世界を、八木千暁(せんぎょう)さんの樂琵琶と竜笛で表します。

八木さんは、雅楽の演奏団体「伶樂舎」のメンバーです。

古典や新作の雅楽演奏、さらに世界各国での演奏や、CD録音など多彩に活躍中です。


★中村洋子ホームページ http://homepage3.nifty.com/ytt/yoko_r.html

★「東北への路」チケットお申込みは...
  平凡社出版販売株式会社 中崎 まで。 電話 03-3265-5885 FAX 03-3265-5714


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