音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■ 来年は「龍笛とピアノ」、「ソプラノとピアノ」を発表予定です ■

2007-12-21 16:10:49 | ■私の作品について■
■ 来年は「龍笛とピアノ」、「ソプラノとピアノ」を発表予定です ■


★本年は、ベッチャー先生とのCDを出しましたが、

来年は、「龍笛とピアノ」、「ソプラノとピアノ」の

2枚のCDを発表する予定です。

雅楽の笛である「龍笛」と「ピアノ」との二重奏が可能であるか、

先日、雅楽奏者の八木千暁さんと、試してみました。


★一番の問題は、龍笛が、ピアノのピッチに合わせることが可能か、ということです。

それへの対応策は、いろいろな方法が考えられますが、

「合わせる」のではなく、

「ずれを楽しむ」という“技法”を、

二人で練習を重ねながら、編み出していきたい、と思います。


★「龍笛」は、竹製の横笛で、音域は2オクターブ、全長は約40cm。

雅楽では、篳篥が主旋律を歌い、

龍笛はそれを彩るように、細かい動きをめぐらします。

七つの指孔があり、歌口(息を吹き入れる穴)や指孔の周囲は、

樺や籐を巻き、黒い漆で固めています。

孔の内部は朱の漆が塗られ、竹の茶、籐の黒と美しい色彩のコントラストです。

雅楽は本来、屋外で演奏されるものですので、

龍笛は、想像以上に音量が大きく、びっくりします。


★私も少し、龍笛を習い始めましたが、まだ息の出し方が未熟なため、

息漏れが多く、2、3分も吹きますと、頭はくらくら、ギブアップです。

自分でやってみますと、奏者がどれだけ凄いことを、やっていらっしゃるか、

実際によく分かりますね。

お稽古用には、プラスティック製の安価な龍笛がございます。


★二人で実験を重ねますと、龍笛の力強い太古の響きと、

西洋楽器の極致のようなグランドピアノとが、

素晴らしいアンサンブルを、創造できることが分かりました。

自信をもって、曲を作っていきたい、と思います。


★「ソプラノとピアノ」は、素晴らしいピアニストにお願いいたしますが、

「龍笛とピアノ」は、私がピアノを担当いたします。

クラシック音楽の思考では処理しきれない場面が、多々予想され、

まずは作曲家が、自分の考えに沿った演奏を残しておくべきである、

と思うためです。


★ベッチャー先生のCDも、越殿楽を基にして作曲しました

「平成越殿楽」を収録しています。

先生のチェロは、いわばクラシック音楽の極致ともいえる方法の演奏で、

雅楽とは異なった素晴らしい世界です。

しかし、ピアノパートの演奏は、

ややムード音楽的な分散和音になってしまっており、

少し残念に思っております。

雅楽は、笙と篳篥、龍笛の三管と、箏、楽琵琶の弦楽器、

さらに様ざまな打楽器によって構成される、

小編成の室内オーケストラともいえます。

このため、ピアノパートは、分散和音であっても、その各楽器を

髣髴とさせるような弾き方が望まれます。

単調に弾いてしまいますと、オペラの全体スコアを見ないで、

ヴォーカルスコア(オーケストラ部分をピアノに編曲した楽譜)だけを

見て弾くようなものです。


★「龍笛とピアノ」のCDでは、雅楽の「唱歌(しょうが)」も研究して、

みたいと思います。

雅楽では、楽器で雅楽を演奏する前に、手で拍子を取り、声を出して歌います。

それが「唱歌」です。

歌うことにより、その流れをつかみ、暗譜できます。

また、どこで息を取るかも、覚えます。

★この冬休みは、日本の1000年の昔の音楽「唱歌」と、

西洋クラシックの長い歴史のある「ソプラノ」の2つの世界で

創作する仕事を楽しみたい、と思います。



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