音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■第13回 インヴェンション講座、「バッハの対位法」を分かりやすく身近に■

2009-07-30 10:14:30 | ■私のアナリーゼ講座■

■第13回 インヴェンション講座、「バッハの対位法」を分かりやすく身近に■
                     09.7.30 中村洋子


★「インヴェンション講座」も、あと3回となりました。

インヴェンション13番は、インヴェンション8番 ヘ長調と並び、

最も、有名な曲です。

どなたも、どこかで耳にしたことがあるこの名曲を基に、

≪「バッハの対位法」とは、何であるか≫を、

分かりやすく、お話します。


★「対位法」 (counterpoint) とは、

点対点 (point counter point) という語を、

起源にして、生まれた楽語です。

point は、音符を意味します。

和音をどのように連結していくかが、「和声法」ですが、

「対位法」は主に、音の流れの横の線のための、書式です。

カノンやフーガに代表されるように、横の流れ、すなわち、

それ以前に出た「旋律」や「動機」を記憶し、

展開して、演奏しなければなりませんので、

ある程度、音楽的素養が必要であるとはいえます。


★この「対位法」の敷居で、つまずき、

それを、乗り越えられず、

結果的に、「インヴェンション」を、

敬遠してしまうことに、なり勝ちです。


★この講座では、どうやって、苦痛なく「対位法」に親しみ、

自然に、知らないうちに「対位法」を身につけていくか、

それを、お話します。

また、「シンフォニア13番」で、

対位法の拡大形、縮小形、反行形などの技法を、

具体的に、見てみます。


★バッハの最高の演奏家であったアルベルト・シュヴァイツァーは、

次のように著書で、書いております。


★(ここでの【多声部】とは、【対位法】にほかなりません)

≪作曲理論の知識が乏しい、平均的な音楽家が、もし、

本物の芸術と偽物の芸術とを、厳しく見分ける能力を、

もっていたならば、それは、まさに、

バッハのインヴェンションのお陰である、

ということが、できる。

インヴェンションを、練習したことがある子どもは、

ピアノ習得のための、機械的な練習だったとしても、

多声部の作曲法を、既に、身につけたといえる。

それは生涯、消えないものである。

それを習得した子どもは、どんな音楽に接しても、

本能的に、その音楽の中で、インヴェンションと同じように、

多声部が、巧みに見事に、織り込まれているかどうか、

探求するようになる。

多声部が、紡がれていない部分は、

貧困な音楽である、と感じるのである≫。


★この言葉を、単純化しますと、次のようになります。

≪子どもに限らず、大人でも、インヴェンションを、

対位法を、学びさえすれば、本物の芸術と偽物とを、

区別できる能力が、自然に養われる。

そして、それは、終生、消え去らないのである≫。


講師:中村 洋子
日時:2009 年 9月 29日(火)午前10 時~12 時30 分
会場:カワイ表参道 2F コンサートサロン「パウゼ」
会費:3000 円 (要予約)
参加ご予約・お問い合わせは カワイミュージックスクール表参道
Tel.03-3409-1958 omotesando@kawai.co.jp


★第14 回は、10月 29日(木)インヴェンション第14 番、
              シンフォニアの第14番の変ロ長調です。

★第15 回は、12月 4日(金)インヴェンション第15 番、
              シンフォニアの第15番のロ短調です。

■カワイ表参道・特別講座「シューベルトの即興曲Op90-2番、4番」
         9月 13日(日)午後3時~6時

■カワイ名古屋 第1回インヴェンション講座:
            「インヴェンション&シンフォニア各1番」 
          10月 21日(水)午前10時~



講師:作曲家 中村 洋子
東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。日本作曲家協議会、日本音楽著作権協会(JASRAC)の各会員。ピアノ、チェロ、ギター、声楽、雅楽、室内楽などの作品を発表。2003 年~05 年、アリオン音楽財団《東京の夏音楽祭》で、新作を発表。自作品「無伴奏チェロ組曲」などをチェロの巨匠W.ベッチャー氏が演奏したCD『W.ベッチャー 日本を弾く』を07 年に発表する。このチェロ組曲やチェロアンサンブル作品がドイツ各地で演奏されている。08年9月、CD「龍笛&ピアノのためのデュオ」とソプラノとギターの「星の林に月の船」を発表。
 




                        (ギボウシの花)
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