音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■確実な「暗譜」の方法~第12回 インヴェンション・アナリーゼ講座■

2009-07-29 22:47:31 | ■私のアナリーゼ講座■
■確実な「暗譜」の方法~第12回 インヴェンション・アナリーゼ講座■
                    09.7.29   中村洋子



★「第12回 バッハ インヴェンション・アナリーゼ講座」を、

昨日28日午前、カワイ表参道で、開催しました。

その朝、地下鉄が事故で止まり、私はバスや徒歩で、やっと、

「表参道カワイ」に、ぎりぎり、辿り着きました。

そんな事情や、夏休みにであるにもかかわらず、

熱心な皆さまが、本当に、多数おいで下さいました。


★毎回、サブタイトルで、インヴェンションに関連する、

興味深いお話を、しております。

今回は、「暗譜をどのようにするか」でした。

私が実践しています「暗譜の方法」を、

シンフォニア12番(3声の対位法楽曲)を、例にとり、

具体的に、詳しく、ご説明いたしました。


★簡単に、申しますと、

自分にとって「最も弾きやすい指使い」と、

「実際に弾く際の指使い」の両方で、

毎日、数小節ずつ、暗譜していく、ということです。


★テンポも、「ゆっくり」と「実際の演奏のテンポ」の、

二通りで、練習します。

その結果、数小節を、計30通りの方法で、

アプローチすることになります。

数小節ですので、集中しますと、

毎日、20分弱で、着実に身についていきます。


★この方法ですと、一週間で、難なく確実に、

バッハの音楽が、記憶に焼き付きます。

いったん、焼き付いた後は、

一枚ごとのカードに、1から30までの数字を、

一つずつ記入します。

毎日、そこから、無作為に一枚のカードを抜き出し、

その番号の方法による「暗譜」で、演奏します。


★以上の方法は、多声部~対位法の音楽の、

暗譜に適しているばかりでなく、例えば、

ショパン「エチュード Op25-1」の暗譜にも、

応用できます。

この曲を、右手の部分を、ソプラノとアルト、

左手の部分を、テノールとバスから成る「4声」の曲と、

解釈すれば、上記の暗譜方法を、そのまま当てはめて、

練習することが、できます。


★さらに、意外にも、このエチュードが「対位法」の曲でもある、

ことも、分かってくるのです。

ショパンの音楽が、単なるサロン音楽でもなく、

ロマンティックな曲でもなく、

超一流の芸術作品である所以の、一端は、

「対位法」を駆使している点に、あるからです。


★次回の「第13回 インヴェンション・アナリーゼ講座」では、

インヴェンション&シンフォニア13番を基に、

≪バッハの「対位法」とは、どういうものか≫を、

サブタイトルにして、お話いたします。

■日時:2009 年 9月 29日(火)午前10 時~12 時30 分


                      (酢橘の青い実)
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