音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■今後のアナリーゼ講座の予定、~Marie-Claire Alain が亡くなりました~ ■

2013-03-05 23:04:51 | ■私のアナリーゼ講座■

■ 今後のアナリーゼ講座の予定です ■

~Marie-Claire Alain が亡くなりました

                       2013.3.5        中村洋子

 

★お雛さまの祭りが終わり、本日は啓蟄でした。

吹く風はまだ冷たいものの、陽光は春のようにきらめいています。

桃の花が間もなく咲き始め、寒かった冬も、

ようやく、終わりのようですね。

★先週 2月 26日は、フランスの organist オルガニスト 

Marie-Claire Alainマリー=クレール・アラン (1926年生まれ) が、

 86歳で、亡くなりました。

私にとりましては、作曲家 Jehan Alain ジャン・アラン(1911~1940) の妹、

というイメージが、強く焼き付いています。

Jehan Alainは、オルガニストでもあり、

「 Litanie (リタニー) 連祷 」  という曲は、私も好きな曲です。

彼は、第二次世界大戦中、ドイツ軍に射殺され、39歳の若さで亡くなっています。

 

 

Anton  Webern アントン・ヴェーベルン(1883~1945年9月15日)も、

第二次世界大戦の終戦直後、逆に、連合国側のアメリカ兵に撃たれ、

亡くなっています。

Webern が、戦後も作曲を続けていたならば、

音楽史は、もっと素晴らしい道筋を示していたことでしょう。

なぜなら、 Webern は  Arnold Schönberg

アルノルト・シェーンベルク (1874~1951) の弟子であり、

その Schönberg は、 Johannes Brahms

ブラームス (1833~1897) の、正統な、後継者だったからです。

 

★Brahms は、 Bach の豊かな土壌から育った大樹です。

歴史を刻むような偉大な才能の持ち主たちが、このように暴力によって、

いとも簡単に、作曲家生命を断たれてしまったことは、

とても悲しく、惨いことです。

これが戦争というものの正体です。


★ Maurice Ravel モーリス・ラヴェル(1875~1937) も、

ピアノ独奏曲 「 Le Tombeau de Couperin クープランの墓 」 (全 6曲) を、

第一次世界大戦で命を落とした 六人の知人に献呈しています。

その第 6曲目の Toccata トッカータ は、

á la memoire de capitaine Joseph de Marliave と記されています。


★この Marliave は、有名な Marguerite Long

マルグリット・ロン ( 1874~1966) の夫です。

彼も、戦争の犠牲者で、若くして亡くなっています。


★ 第一次世界大戦に、トラック運転手として従軍した Maurice Ravel

モーリス・ラヴェル(1875~1937) の写真は有名です。

ヘルメットに迷彩の毛皮のようなものを纏った姿は、まるで舞台衣装のよう。

世紀の大作曲家がこのような姿を残すのは、滑稽でもあり、どこか、残酷です。

「 Le Tombeau de Couperinクープランの墓 」 は、

クープランを称える曲としていますが、実は、6曲から成る 「 組曲 」 なのです。

このクープランの墓 第 6番 Toccata トッカータ は、

ラヴェル流に一ひねりしてありますが、

Bach の組曲のジーグに対応する曲とみていいと思います。

 

Claude  Debussy  クロード・ドビュッシー (1862~1918)

「 Suite bergamasque ベルガマス組曲 」全 4曲の組曲です。

いずれも、規範は Bach であることは、いうまでもありません。

 

3月28日、カワイ表参道での 「 第 3回フランス組曲・ アナリーゼ講座 で、

「 組曲 」 とは何か、を詳しくご説明しますが、フランス組曲を学ぶことにより、

Debussy や Maurice Ravel モーリス・ラヴェル (1875~1937) の、

組曲まで見通すことができるような視点を、ご提示したいと思います。

 

 

春から夏にかけての講座の予定を、お知らせいたします。

■ 4月14日 ( 日 ) 午後 2時~4時半、 「 Chopin の見た平均律アナリーゼ講座 」 

            平均律第 1巻 11番 へ長調 F-Dur : KAWAI 横浜・みなとみらい 

 

 ■ 5月から、KAWAI 東京・表参道で、

「 平均律クラヴィーア曲集 第 2巻・アナリーゼ講座 」 が、 新たに始まります。

・  5月 21日(火)   2巻 第 1番  ハ長調 C-Dur 
・ 6月 13日(木)   2巻 第 2番 ハ短調  c-Moll
・ 7月  9日 (火)   2巻 第 3番 嬰ハ長調 Cis-Dur
                                               いずれも 午前10時~12時半

■ 6月 26日 ( 水 )  「 インヴェンション・アナリーゼ講座 」  
Inventio & Sinfonia 第11番 g-Moll ト短調 とブラームスとの関係について
                               KAWAI 名古屋 午前10時~12時半                          

                                                                             などです。

 

 

※All Rights Reserved, Copyright Yoko Nakamura

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1 コメント

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はじめまして (檜 豊太郎)
2013-03-31 15:57:12
中村 洋子 様

はじめまして、檜 豊太郎と申します。
(このコメントは表示されないようお願いします)

いつも中村様のブログを見させていただいております。
私はクラシック音楽が大好きで、ピアノを中心によくコンサートを聴きに行っています。

中村様のブログの内容は素人の私には難しすぎますが、真摯に音楽を探求されていることが良くわかります。

この記事では作曲家が戦争でその無限の可能性を持った作曲活動が絶たれたことを悲しく思いました。

また、いつも写真の素晴らしさにも感心しております。私も写真が好きでマクロレンズを使って蝶や花の写真を撮っていますが、中村様のように継続的に質の高い写真を撮り続けられることは本当に素晴らしいと感じています。

この記事の冒頭の写真、マンサクの花だと思いますが、春一番に咲くマンサクの花は可憐で私も大好きです。

今後とも、ブログの記事と写真を楽しみにしております。

私は、檜書店の椙杜 久子さんの従弟ですので、どこかでお会いする機会もあるかと思いますが、宜しくお願いします。
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