音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■伝通院納涼コンサートは、大成功でした■

2008-07-21 20:35:31 | ■ お薦めのコンサート ■
■伝通院納涼コンサートは、大成功でした■
              08.7.21   中村洋子


★伝通院でのコンサート(08.7.19)は、盛況のうちに終りました。

予定の時間も大幅に伸び、シッケタンツさんの楽しいお話もあり、

満員のお客様は、心から楽しんでいらっしゃいました。


★本日(21日)の東京新聞「わが街、わが友」というコラムに、

女優・野際陽子さんが、伝通院について次のように書かれています。

「この辺りは、そこら中に歴史や文学ゆかりの場所がある。

後楽園と茗荷谷の中間というちょっとした不便さが、

いまひとつあか抜けない、ひなびた都会という風情を与えている」。


★演奏会場の本堂は、ご本尊様の安置されている壇上に、

金色に輝く装飾が、たくさん吊り下げられています。

チェンバロの漆黒の本体が、ご本尊様やその飾りと、

見事に溶け合い、全く違和感なく、調和していました。

チェンバロの蓋を開けると、木目のきれいな響板が見えます。

そこには、美しい花の絵が、色とりどりに描かれています。

花の絵が黒い蓋に写り、まるで“極楽”のようです。


★バッハ「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳」の

チェンバロの舞曲を、今回、ヴィオラとチェンバロ用に、

私が編曲して、演奏しました。

シッケタンツさんは、バロック用の弓を用い、いかにも、

バッハが、家庭で楽しんだ音楽会という雰囲気が出ていました。

「ピアノでいま練習している曲を聴けて、嬉しかった」

というお子さまも、いらっしゃいました。


★この5月に録音しました「万葉の歌」の歌曲も、

その一部を、今回、初演いたしました。

CDでは、ソプラノだけ独唱でしたが、

今回は、チェンバロで伴奏を入れました。

五十嵐さんのハミングがとても、柔らかい響きで、

万葉の春の雰囲気が、醸しだされ、皆さまウットリ。

バロック時代のレチタティーヴォのような感じも出て、

万葉、バロック、仏教寺院という

前代未聞の取り合わせでしたが、

心地よく馴染んでおりました。


★私が、ソプラノ、ヴィオラ、チェンバロ用に編曲しました

「赤とんぼ」も、好評でした。

アンコールの「浜辺の歌」は、シッケタンツさんが、

「Am Strand」という訳までつけていただき、

浜辺の“波音”が、ご本堂に響き渡りました。


★チェンバロ独奏は、ガルッピのイタリアらしい

明るい澄み渡った響きのソナタから、始まりました。

プログラムを一部追加し、「2声のインヴェンション」1番を、

私がチェンバロで、独奏しました。

当日、最も怖く、難しいのがこの曲でした。

いまさらながら、この曲の偉大さ、凄さを感じました。

特に、単純極まりない、ハ長調の音階をどう処理するか、

大きな宿題を貰った様な気がします。


★26日の「カワイ・インヴェンション講座」では、

今回の経験も、お話したいと思います。


★シッケタンツさんは「バロック舞踊をバッハの舞曲にどう生かすか」、

というお話と、メヌエットのステップを実演していだき、

とても喜ばれました。


★さらに「日本では、炊飯器、洗濯機などの終了音として、

このバッハのメヌエットなどが組み込まれ、流れてくる。

それは機械的な電子音でしかなく、断じて音楽ではない。

音楽もどきであって、falsch=wrongです」と、辟易した様子で、

指摘されました。


▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ■伝通院で、素晴らしい「ダウ... | トップ | ■伝通院納涼コンサートが、記... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

■ お薦めのコンサート ■」カテゴリの最新記事