音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■モーツァルトのソナタ ニ長調 K448 ≪2台ピアノ≫■

2009-03-28 23:49:24 | ■ 感動のCD、論文、追憶等■
■モーツァルトのソナタ ニ長調 K448 ≪2台ピアノ≫■
                 09.3.28 中村洋子


★2001年に、書きました音楽会の解説より(3月20日の続きです)。

モーツァルトのソナタ ニ長調 K448 ≪2台ピアノ≫が、

作曲された1781年は、モーツァルトが、故郷ザルツブルグの

大司教と、決裂した年です。


★モーツァルトはその手紙で、大司教のことを「大きな邪魔者」、

さらに、「人間の敵」とまで書いている人物で、

当時ザルツブルグの町は、宗教だけでなく、

政治までこの人物の支配下に、おかれていました。


★外国に演奏を兼ねて、勉強に出かける際も、

この人物の許可が、いるほどでした。

(郵便も大司教の統制下にあり、モーツァルトの手紙は、

差し障りのある部分が、暗号で書かれています。

死後、これらが解読されています。)


★第一楽章は、モーツァルトの交響曲を思わせるような、

骨太な構成で、オーケストラの金管、木管楽器や弦楽器、

さらに、全楽団員によるトゥッティ(総奏)の響きまで、

彷彿とさせます。


★ゆっくりと、歩くような速さのアンダンテの第二楽章は、

ピアノ協奏曲の、独奏パートのようなパッセージを、

2台のピアノが、掛け合いで奏でます。


★アレグロモルト(かなり快速で)の第三楽章は、

ホルンの音を模した「ホルン5度」という音型が、

何度か、出てきます。

馬車のホルンなのでしょうか、狩りのホルンなのでしょうか。

モーツァルトは、幼少期から音楽の勉強で、

イタリアなど外国に、出掛けました。


★当時、旅は狭い馬車に揺られての長い道のりです。

馬車のホルンは、格別な思い出があったことでしょう。


(花梨の花と新芽)

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