音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■ドイツで、私のチェロ四重奏曲集が出版されました■

2017-12-16 20:43:02 | ■私の作品について■

■ドイツで、私のチェロ四重奏曲集が出版されました■
~≪Zehn Phantasien für Celloquartett(Band 2, Nr.6-10)
                                                 für junge Cellisten
   チェロ四重奏のための10のファンタジー(第2巻、6-10番)
                若いチェリストのための≫~

             2017.12.16  中村洋子

 

 

 

 

★つい半月前まで、錦秋に輝いていました山々が、

白く雪を被り、冬の装いです。

あと数日で、12月22日の「冬至」。

≪年暮ぬ笠きて草履はきながら≫ 芭蕉


★年の暮れであっても、旅の途上である、すなわち、

暮れであっても、休むことなく、句作の創造を

続けている、という決意とその行いを、

芭蕉は詠っているのでしょう。


★おおよそ1年半かけて書きました

「Bärenreiter ベーレンライター・平均律第1巻楽譜」添付≪解説書

http://www.academia-music.com/shopdetail/000000177122/は、

お陰さまで、皆さまから暖かく迎えていただきました。


★1行を書くのに、その傍証を固めるため、1ヶ月かかる・・・

というような、遅々とした歩みの末に完成しました。

昨年の大晦日は、執筆中に除夜の鐘が聞こえていました。 

 

 


★私にとって幸いでしたのは、その執筆と並行しまして、

「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」の、

アナリーゼ講座を、開催していたことでした。

「Goldberg-Variationen」を深く読み込みますと、

「平均律クラヴィーア曲集第1巻」が、厳かに顔を現します。

それは、私がいままで見て勉強しました「平均律第1巻」の姿を、

さらに輝かしく照らすものでした。


★私の≪解説書≫2~8ページにかけてをご覧ください。

「平均律第1巻」の冒頭に、Bachが自ら書いた≪序文≫の訳と、

その訳に対しての、詳細な分析・解説が施されています。


★ここでBachは、【長3度】即ち「ド レ ミ」と、

【短3度】即ち「レ ミ ファ」を、

平均律第1巻の「核心」としています。


★それでは、「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」は、

どうでしょうか?

【長3度】即ち「ソ ラ シ」と、【短3度】即ち「ソ ラ シ♭」です。


★それを手掛かりに、「Goldberg-Variationen」を読み解きますと、

この変奏曲集が「平均律第1巻」を更に、推し進めていった曲集

であることが、分かってきます。


★「平均律第1巻」の二つの方向指示器は、真っ直ぐに、

「平均律第2巻」と、「ゴルトベルク変奏曲」を指し示しています。

来年1月から始まります「平均律第1巻・アナリーゼ講座」で、

それを詳しく、お話いたします。

http://www.academia-music.com/new/2017-10-26-151213.html

 

 

 


★さて、私の本分は「作曲」です。

ドイツで、チェロ四重奏のための作品が、出版されました。

≪Zehn Phantasien für Celloquartett(Band 2, Nr.6-10)
                                                 für junge Cellisten
 チェロ四重奏のための10のファンタジー(第2巻、6-10番)
                若いチェリストのための≫
http://www.academia-music.com/shopdetail/000000177497/


★「若いチェリストのための」としていますが、

敷居を低く、門戸を広く開放するためです。

事実、私の「チェロ二重奏」

≪10 Duette für 2 Violoncelli (Ries & Erler Berlin)≫は、
http://www.academia-music.com/shopdetail/000000059545/

Wolfgang.Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー先生をはじめ、

ヨーロッパで大人の演奏会に組み込んで頂いています。


Robert Schumann ロベルト・シューマン(1810-1856)の

「ユーゲント・アルバム」が実は、大人のピアニストにとっても、

大切な曲集であるように、私のこのチェロ四重奏も、

合奏の喜びを、チェリストの皆さまにお届けできることを、

願っております。

 

 


★≪Zehn Phantasien für Celloquartett(Band 2, Nr.6-10)
                                                 für junge Cellisten
 チェロ四重奏のための10のファンタジー(第2巻、6-10番)
             若いチェリストのための≫に、

収録されています曲を、順番にご紹介いたします。


★第6番:Ⅵ Vier Kanarienvögel - Four canary birds
                  四羽のカナリア

Bachの妻・ Anna Magdalena Bach アンナ・マグダレーナ・バッハが、

カナリアを愛していたいたことと、

Gigue=CANARYの「カナリア」を、もじっています。

CANARYとは、" A dance popular in Europe during the Baroque

period・・・ that come to Spain from the Canary Island.
                    (The New Grove Dictionary of Music&Musicians)

 

 

付点のリズムと軽快なテンポが、特徴的です。

Bach「無伴奏チェロ組曲」は、

第5番c-MollのGigueがこのCANARYです。

 

★第7番:Ⅶ Abendämmerung 夕暮れ

しみじみとした夕暮れ。

実はこの曲は、ピアノソロで完全に弾くことができます

チェロ四重奏をピアノ用に、そのまま大譜表に書きますと、

このようになります。

 

 

★Maurice Ravel モーリス・ラヴェル(1875 - 1937)の、

「Ma Mère l'Oye マ・メール・ロワ」の第1曲、

≪Pavane de la belle au bois dormant

                             眠りの森の美女のパヴァーヌ≫

が、連弾曲でありながら、もし、指を広げて10度音程を

弾くことが可能でしたら、

ソロとして弾くことも、出来るのと同じです。


★この「夕暮れ」は、自分の曲ですが、秘かな「お気に入りの曲」です。

一人で時々、弾いております。

ピアニストのリサイタルで、アンコールとしてコンサートの最後に

演奏することも可能です。

 

 


★冬至に近づき夕暮れは、光がどんどん乏しくなっていきますが、

その後には、明るい春や朝日が待っています。


★第8番:Ⅷ Spanischer Garden スペインの庭

これも、ピアノ独奏で弾けそうです。

しかし、これは四人で合奏しましたら、

どんなにか楽しいことでしょう、という曲です。

スペイン風の後打ちのリズムを、和気あいあいと合奏する楽しみ、

これを、味わってください。

 

 

 
★第6、7、8番は、調性の曲でしたが、第9番は「無調」の曲です。

Ⅸ : Drache im Zauberland 魔法の国のドラゴン

dodecaphony 十二音技法の対位法を、楽しく学べます

 

 


★いよいよ、全10曲の最後の曲となりました。

Ⅹ: Postludium, Krokusblüte Frühlingserwachen

後奏曲 クロッカスの花 

明るく、爽やかな春の始まりです。

 

 

 Sehnsucht nach dem Frühling  春への憧れ


チェロ四重奏だけでなく、いろいろな楽器の組み合わせや、

ピアノソロでも是非、弾いてみて下さい。

一人でも、合奏でも、楽しむことができます。

 

また、ソルフェージュのレッスンにも是非、お使いください。

楽譜を読むこと、書き取ることの練習は、

通常、「ト音記号」から始めることが多いのですが、

レッスンの早い段階で、「ヘ音記号」に慣れることも大切です。

四人のチェロのパートの一人分を、

生徒さんに歌わせたり、書き取りをさせてください。

残り三人分(三声)を、先生がピアノで弾けばよいのです。

楽しい音楽のひと時。

Moments Musicaux です。

 

 

 


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■銀座「山野楽器」3F楽譜売場で、≪ベーレンライター平均律「解説書」付≫を特集■

2017-11-15 15:18:21 | ■私の作品について■

■銀座「山野楽器」3F楽譜売場で、≪ベーレンライター平均律「解説書」付≫を特集■

           2017.11.15  中村洋子

 

 

 

★北国では初雪の便り、山々には初冠雪、

次々と、冬の便りが聞かれます。


銀座「山野楽器」本店3F、楽譜売場で、

私が「解説書」を書きました

≪ベーレンライター原典版「平均律第1巻」解説付き楽譜≫が、

平台で大きく、展示されています。

「解説書」のサンプルも手に取ってご覧になれるよう、

準備されています。

 

 

 


★私の著書の≪クラシックの真実は大作曲家の「自筆譜」にあり!≫

≪ベーレンライター「ゴルトベルク変奏曲 :クラヴィーア練習曲集第4部≫

日本語解説付も、同様に展示されております。

銀座にお立ち寄りの際は、どうぞご覧ください。

 

★「霜の花」という、美しい日本語があります。

私が作曲しました「無伴奏チェロ組曲第2番第4曲」は、

「霜の花」を、頭に浮かべて書きました。

この言葉は、真っ白に積もった霜のはかない美しさを、

花に譬えています。


★この楽譜は、

「Musikverlag  Ries & Erler  Berlin  リース&エアラー社」から、

出版されていますが、当然、日本語の表記はありません。

ただ、表紙はもの珍しいのか、漢字がデザインとして使われています。

http://shop.rieserler.de/index.php?cat=c90_Violoncello-solo-Violoncello-solo.html&sort=&XTCsid=a615a02d02b8c7474c8ec2e14b616e87&filter_id=729

http://shop.rieserler.de/product_info.php?info=p2917_suite-nr--2-fuer-violoncello-solo.html

http://www.academia-music.com/html/page1.html?s1=Nakamura%2CY.&sort=number3,number4,number5

http://www.academia-music.com/shopdetail/000000154722/


★「霜の花」をそのまま訳しても、ドイツ人には何のことか

分からないでしょう。

英語で「Frosty Flowers」としても、同様に意味をなしません。

そこで、いささか情緒には欠けますが、

「Frostige Nacht - Frosty Night」と、しました。

これが最も直截な訳といえましょう。


★霜が降るのは、しんしんと冷えた夜。

翌朝、美しい霜の花が咲き、朝日に輝きます。

それもつかの間です。

 

 

 
★是非、楽譜を見ながら、CDをお聴きください。

http://diskunion.net/diw/ct/list/0/72362809

http://diskunion.net/diw/ct/detail/1006437641

★出版された楽譜、それも自分の作品を手書きで写す、

ということは、なかなか面白い体験です。

 

 


Bachは65年の生涯で、出版された曲はごく僅かでした。

これにつきましては、私の平均律第1巻「解説書」の

18ページを、お読みください。

Bachが生前、自らの意思で出版した

「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」は、

 「Manuscript Autograph 自筆譜」が行方不明です。

同じく生前出版の「Italienisches Konzert イタリア協奏曲」も、

自筆譜は失われています。

二つとも、彫り師Engraverに渡した「自筆浄書譜」が、

不明ということです。


★作曲家は、自分の曲が出版されますと、安堵するものです。

たとえ自筆譜が不明でも、出版物により、その作品は確実に

生き残るからです。


★Bachがそうであったかは、断定できませんが、

出版により、その作品の生命が保証されたと、思うことは、

間違いではないでしょう。


★そのような見方からしますと、生前に出版されなかった

 「Wohltemperirte Clavier 平均律クラヴィーア曲集」の自筆譜を、

Bach本人、そして息子たち家族やお弟子さんたちは、

出版されるまでの約50年間、

どんな思いで大切に扱っていたかは、想像に難くありません。


★その自筆譜にこそ、平均律の心髄が宿ることは、

言うまでもないことです。

それをどう理解し、演奏や鑑賞に活かすかを、

今回出版されました、私の「解説書」に詳しく、書きました。

 

 

 

★私は、生活環境にクラシック音楽がほとんどない環境で、

育ちました。

しかし、1980年代ごろまでのNHK/FM放送は、現在と異なり、

クラシック音楽に対して、畏敬にも似た尊敬と愛情をもった方々が、

担当されていたと、思います。

クラシック音楽の放送時間もとても長く、歴史的な名演奏なども

熱意ある解説とともに時折、放送されていました。

それらを聴くことで、知らず知らずのうちに、

クラシック音楽の基礎的知識が、身についていきました。

服部幸三先生の「バロック音楽の楽しみ」や、

河本喜介先生の、フランス歌曲に対する、

愛情溢れたお話は、いまでも懐かしく、耳に焼き付いています。


★しかし、最近はどうでしょうか?

孫引きを淡々と読み上げるだけの、若い解説者のお話からは、

「クラシック音楽はなんて素晴らしいのだろう!」という、

情熱や感動は伝わってきません。

取り上げられる演奏家も、“いま売り出しの”という類ばかりです。

現代の若い世代の方々は、“どう勉強していいのか”

分からないのではないかと、心配になります。


クラシック音楽の魅力に、目と耳と心を奪われ、

もっと深く知りたい、学びたいという方に対し、

「独学」、つまり「自力」で、

平均律の勉強法が習得できることを願い、

私は平均律第1巻「解説書」を、書きました。


★ここで書きました、「自筆譜の読み方」を、ご自分で応用され、

是非Bachの圧倒的な、音楽の豊かさを味わっていただきたい、

と思います。

 

 


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■ベーレンライター平均律第1巻楽譜に添付の「解説書」を出版しました■

2017-11-11 19:22:46 | ■私の作品について■

■ベーレンライター平均律第1巻楽譜に添付の「解説書」を出版しました■
  ~「クラシックの真実は大作曲家の自筆譜にあり」も第3刷を刊行~
  ~来年1月から、新しい「平均律第1巻アナリーゼ講座」を開催~

            2017.11.11        中村洋子

 

 


★今月は、1日の「十三夜」に秋の月を愛で、7日ははや立冬」

11月も、もう半ばです。

銀杏の葉の黄金色と、ツワブキの花の黄とが、

天と地で呼応しています。


私が解説を書きました

  【ベーレンライター原典版  
    バッハ、平均律クラヴィーア曲集 第1巻
       日本語による詳細な解説付き楽譜】 が、

 このほど出版されました。  
      http://www.academia-music.com/
http://www.academia-music.com/shopdetail/000000177122/

 

 

 

★楽譜に添付されたこの「解説書」では、

まずは、Bachが自ら書き記した、わずか21行の【序文】を翻訳しました。

しかし、この「序文」は謎解きのような文章であるため、

そのまま訳しましても、Bachが言いたかったことを、

現代の私たちは、とうてい理解できないと思われます。


★この「序文」は、簡単に申しますと、

≪「平均律第1巻」がどのような曲集であるか≫、

を規定しているばかりか、

≪「調性」とは一体何であるのかを、Bachが定義している文章である≫、

と言うことができます。


★「解説書」では、どなたがお読みになっても、それを理解できるよう、

詳細に分析し、ご説明いたしました。

この試みは、これまで、あまり例がないと思います。

 

 


★これは、衒学や、

音楽学者の陥りがちな、重箱の隅をつつくような内容では

決して、ありません。


★この「序文」こそが、Bachを理解する出発点であり、

さらに、Bachのみならず、クラシック音楽の素晴らしい世界へと、

足を踏み入れることができる入口なのです。


★現在の日本で、“クラシック音楽” と言われる領域をみましても、

ケバケバしい、厚塗りの “クラシックもどき” が、

巷に、溢れています。

それらとBachの作品との距離は、月と地球ほどあるでしょう。


序文の意味を理解し、Bachと“クラシックもどき”との距離を

実感されますと、

「Bachを演奏することが、ますます楽しくなり、さらに、

鑑賞する際の、正しい道標にもなる」ことでしょう。

これは、Bachに限らず、クラシック音楽の名曲すべてについても、

同じことが言えるでしょう。

 

 


★「序文」の解説から導き出される結論は、

≪平均律第1巻は、全24曲ではない≫ということです。

では何曲なのでしょうか?


★≪平均律第1巻は、「1曲」なのです≫。

皆さまは、「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」を

「全30曲」、または「アリアと全30曲」とは、おっしゃらないでしょう。

「Goldberg-Variationen」は、「1曲」です。


★「ゴルトベルク変奏曲」という名前も、Bachがあずかり知らない、

後世のニックネームです。

正式には「Clavier- Übung クラヴィーア・ユーブング(練習曲集)」

四部作の最後の1巻です。

 http://www.academia-music.com/shopdetail/000000174751/ 

http://www.academia-music.com/shopdetail/000000174750/

http://www.academia-music.com/html/page1.html?q=%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF&sort=number3,number4,number5&searchbox=1

 

★第1、2、3には、それぞれ「1巻」、「2巻」、「3巻」と書かれていますが、

「ゴルトベルク変奏曲」については、Bachは何故か、

「第4巻」あるいは「最後の巻」とは記入していませんでした。


★engraver(彫版士)の彫り忘れを、完全には否定はできませんが、

四部作の最後という位置付けから、更に一歩飛躍して、

「集大成」として、あえて、「第4巻」としなかったのではないか

とも思います。

 

 


★お話を戻しますと、

平均律第1巻の「序文」に記された1722年からほぼ20年弱後の、

1741~42年に出版された「ゴルトベルク変奏曲」を勉強しますと、

「平均律第1巻」、そして「ゴルトベルク変奏曲」とほぼ同時期に完成した

「平均律第2巻」をも、明確に理解することができます。


★私は、2016~17年の2年間にわたり、

全10回「ゴルトベルク変奏曲・アナリーゼ講座」を開催し、

「ゴルトベルク変奏曲」を綿密に勉強することが、できました。


★それにより、平均律第1巻に対する見方が、これまでとは、

がらっと変わりました。

それが、今回出版しました「解説書」に、結実したとも言えます。


Bachは用意周到に、手抜き無く、

自分の生涯にわたる作曲の計画を練り、

たゆまぬ努力の上に、じっくり仕事を進めた人です。


★そのような視点で、Bachの作品群を勉強していきますと、

音楽学者による解説は滑稽なものが多いのです。

例えば、Bachの他の曲集について、

「この曲集は、書いた後、放置されていた作品を

寄せ集めて使っている」・・・など、可笑しさを通り越して、

憐みすら感じてしまいます。

これは、音楽学者の間で孫引きが繰り返された“定説”でも

あるのです。

 

 

 

 


★「大作曲家」が、どのように作曲を計画し、

作曲を積み重ねていくか、という工程を、

まるで分かっていないようです。

Bachは、その人の身の丈にあった「Bach像」しか、

示さないようです。


★私たちは、自分の「身の丈」を少しずつ、

Bachに近づけるよう、日々の努力が欠かせませんね。

Pablo Casals パブロ・カザルス(1876-1973) が、

毎朝、平均律を弾くことから一日を始めた、

この日課こそが、「身の丈」拡大の近道です。


★今回の「解説書」では、アルフレート・デュルの

「前書き」も、翻訳しました。

この「前書き」で示されたデュルの見解については、

説明不足の点も、かなり見受けられますため、

私は、それらの点について、詳細な「注釈」を施しました。


★例えば、デュルが「5度圏」と、一言だけ記述して済ませている

ところについても、この「5度圏」とはどういう意味なのか、

どなたでも理解できるよう、図も用いて説明し、

Bachが作曲していた当時、どんな意味があったのか

についても、踏み込んで書きました。


★また、17~20ページ(注17)では、

4番 cis-Moll 嬰ハ短調フーガを、Bach自筆譜から勉強しますと、

どんな発見があるのか、それが演奏や鑑賞に、どう役立つか、

具体的に譜例を用いて、詳しく解説しました。


★Bachが同型反復(ゼクエンツ)を、どう演奏して欲しいと、

望んでいたかも、これにより、分かってくることでしょう。


★この同型反復(ゼクエンツ)の扱いにつきましては、

21ページ(注18):7番 Es-Dur 変ホ長調の項でも、

更に発展させてご説明しました。


★これらを理解されますと、

Bachの「Manuscript Autograph  自筆譜 」 facsimile 読み方が、

知らず知らずのうちに、身につく思います。

秋の夜長に是非、じっくりお読みください。

 

 


★10月末には、私が昨年出版いたしました著書

≪クラシックの真実は大作曲家の「自筆譜」にあり
     ~バッハ、ショパンの自筆譜をアナリーゼすれば、
                  曲の構造、演奏法まで分かる~≫
                       (DU BOOKS刊)が、

「第3刷」の刊行となりました。

根強いご支持で、ジワジワと継続的にお買い求めいただいているようで、

とても嬉しいことです。


★来年1月からは、新たに「平均律第1巻アナリーゼ講座」も、

開催されます。
http://www.academia-music.com/new/2017-10-26-151213.html


★「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」から、逆照射された

「平均律第1巻」は、今度はどんな輝きを見せてくれるのでしょうか。

この講座を一番楽しみにしているのは、実は、私なのです。

 

 


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■ベーレンライター「平均律1巻」付属の解説書が間もなく刊行■

2017-08-11 14:35:03 | ■私の作品について■

■ベーレンライター「平均律1巻」付属の解説書が間もなく刊行■
~ 「ゴルトベルク変奏曲」アナリーゼ講座も、9月に最終回迎える ~
                2017.8.11   中村洋子

 

 


★≪蝶の舌 ゼンマイに似る 暑さかな≫
                     芥川龍之介

連日の酷暑、

蝶の舌のように、人の目も、グルグル眩暈を起こしそう。

この夏も、揚羽蝶は、柚子、橙、レモンなど柑橘の葉に、

卵を産みつけることに余念がありません。


★秋が来ないうちに、葉がまだ若く、

幼虫が食べられるような柔らかさのうちにと、

羽ばたきながら、真珠のような黄色い卵をさっと、くっつけます。

一瞬の早業。

人が近づいても逃げずに、本当に忙しそう。

その合間、ゼンマイの舌を伸ばし、水滴を啜る。

夏の一齣を、龍之介は鋭く切り取りました。



 

 


★夏の蝶ほどではないかもしれませんが、

私も、忙しい毎日です。

「新バッハ全集」を編纂しているドイツの出版社

 「Bärenreiter-Verlag ベーレンライター社」から出版されています

「平均律1巻」の楽譜に添付する解説を、私が担当することになり、

原稿は完成し、いま最終校正に入っています。


★この解説は、5項目から成ります。

①バッハが自分で書きました「序文」の日本語訳

②その「序文」が何を意味しているかという解説と、詳細な分析

③この楽譜に付けられている Alfred Dürr アルフレート・デュルによる
                  「Vorwort 前書き」の日本語訳

④その「Vorwort 前書き」に対する、私の詳しい注釈

⑤楽譜に付けられた「Fußnote 脚注」の日本語訳

 

★校正を繰り返すたびに、文章はより分かりやすく、

磨かれていくものですが、骨の折れる仕事です。


バッハ本人の謎めいた「序文」は、わずか1ページ21行に過ぎず、

また、デュルの「前書き」は、ドイツ語で4ページですが、

私の解釈や注釈は合計しますと、40ページを超えてしまいました。 

 

 

 


★私がこのお仕事を引き受けました理由は、

バッハの、この美しく偉大な曲集を理解するために、

巷に溢れる"衒学の海"に惑わされ、溺れることなく、

どうすれば、バッハの大宇宙に、素直に達することができるか・・・

それを、学者の論文の孫引きをするのでなく、

私自身の言葉で、訴えたかったからです。


★東京で以前に開催しました「平均律1&2巻」の

全曲アナリーゼ講座で、1&2巻の全48曲すべてについて、

私は、バッハの 「Manuscript Autograph 自筆譜」 facsimile

から、写譜しました。


バッハの肉声を、己がものとするためです。

今回は、ベーレンライター社から出版中の、

平均律1巻 「Manuscript Autograph 自筆譜」 facsimileを

更に深く、検討しました。


★私の「解説と注釈」では、私の手書き譜例も満載し、

どなたが手に取られても、納得の頂ける内容になっていると、

思います。


★例えば、擦り切れるほど孫引きされている

≪バッハは、紙を惜しんで五線譜の下の余白にまで書いている≫

つまり、"バッハは大変に吝嗇であった"、などの俗説に対しては、

バッハがどうして、余白にまで譜を書き込んだのかを分析し、

奇妙ともいえる楽譜のレイアウトは、

≪曲の構造そのものを指し示す≫ための、周到な設計」であったことを、

完全に、証明しました。


★これらをお読みいただけましたら、

バッハの自筆譜の読み方、解釈の方法が、

自ずと、身についていくことでしょう。

 

 

★40数ページといいましても、平均律という氷山の、

ほんの一かけらです。

しかし、その方法を身に付けますと、ご自分でバッハを解釈し、

演奏や鑑賞に生かすことができます。


★干からびたバッハの残骸ではなく、

お一人お一人の独自の、いまに生きる Bach像

打ち建てることができるのです。


★9月の刊行を目指し、もう一歩です。

さて、9月は16日(土)が、「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」

のアナリーゼ講座全10回の「最終回」です。

これも大団円です。


★今回は、全30変奏の最後の三つの変奏曲「Variatio 28、29、30」

の講座の後、特別講座を開催し、「Goldberg-Variationen」の

全体像に迫ります。

http://www.academia-music.com/new/2017-07-10-113903.html

 

 

 


★ここで、これまでお話してまいりました30の変奏曲全体を、

俯瞰することになります。

第30変奏は、有名な 「Quodlibet クオドリベット」

(滑稽な俗謡を混ぜ合わせた曲)です。

 

 


「君のそばに、長い間いなかったね・・・」

 

 

「この Ich bin so lang nicht bei dir ・・・」は、

突然に現れた訳ではありません。

 

 

★「Variatio9 第9変奏」の1小節目バス声部最後の音「d」に続く、

2小節目「g a h c¹d¹ ソ ラ シ ド レ」に、しっかりと顔を出しています。

 

 


★「Goldberg-Variationen」は、「3曲1セット」で作曲されていますが、

この「Variatio9 第9変奏」を含む第3セット(Variatio7、8、9)が、

なかなか曲者です。

「Variatio7 第7変奏」に、BACHが「tempo di Giga」と記した理由は、

平均律第1巻にも通じるものです。

その理由は、講座でご説明いたします。


★このお話は、10月25日(水)に開催の KAWAI 名古屋での

「平均律1巻第7番 Es-Dur  Prelude & Fuga」アナリーゼ講座

にも、つながっていきます。


★BACHの作品は、広大無辺の宇宙のような世界です。

そして、その一つ一つの作品、「平均律」、「ゴルトベルク変奏曲」・・・を、

光り輝く恒星に譬えるならば、その恒星は、お互いにつながり、

大星座を形成しているといえます。

 

 

 


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■スイスのチェリストが私の作品をレパートリーに、「もがみ川」が9月、山形で演奏■

2017-05-30 02:45:52 | ■私の作品について■

■スイスのチェリストが私の作品をレパートリーに、「もがみ川」が9月、
山形で演奏■

             2017.5.30    中村洋子

 

 


★アヤメ(菖蒲)やハナショウブ(花菖蒲)も咲き、

梅雨間近です。

5月30日は、旧暦の「端午」です。

なるほど五月の節句(端午)のゆかりの花が、

菖蒲である訳ですね。


★スイスやドイツ、日本から嬉しいお便りやお知らせが、

続いています。


★スイスのチェリストから、お手紙をいただきました。

実は二年前にも、ご丁寧なお手紙を頂いていたのですが、

差出人のお名前が、達筆な筆記体で書かれていましたので、

判読できず、残念ですがお返事できないままでした。


★日本でも、昔はお年を召した方の草書体が読めずに、

困ったことがよくありましたが、

いまは、その草書体をお書きになる方も珍しくなっていますね。

 

 


★2015年4月23日付けのスイスからの、そのお手紙には、

≪・・・先週、私はあなたの六曲の「無伴奏チェロ組曲」を、

楽譜を手にして、ミスター・Boettcher ・ベッチャーのCDで、

聴きました。

おめでとう、あなたは extrordinarily に作曲しましたね。

この音楽はとても fascinatedly 魅力的です。

・・・・・・私は、今週末フランスに行き、この秋の二つの異なった

コンサートプログラムの準備をします。

その後、私はあなたの音楽に集中します。

私はそれを、私のレパートリーにし、

次のシーズンに演奏するつもりです・・・・・・≫

という内容でした。


★お返事を出すことができませんでしたので、

さぞ、がっかりされていたことでしょう。


★二回目の2017年5月6日付けのお手紙には、

≪・・・もし、あなたが私のお手紙を受け取っていないのでしたら、

あなたの美しい音楽に、もう一度お礼を言いましょう・・・≫

という、心のこもったものでした。


★このように、自分の分身である作品が、異国で、

素晴らしい音楽家と「対話」し、「真の友」を得ていることは、

心からの喜びです。

 

 

 

https://twitter.com/ochaclassic/status/569805986912804864

 

 

ベルリンで4月、二人のギタリストのための「もがみ川」を、

「チェロとギター」で、演奏していただいたこともあります

このようなプログラムでした。

----------------------------------------------
Konzertsaal Platanenallee 16 Donnerstag,
 20. April 2017 Berlin

Crossover für Cello und Gitarre
        (チェロとギターのためのクロスオーバー)

■Heitor Villa-Lobos (1887-1959)
Bachianas Brasileiras No. 5
 Aria

■Robert de Visée (um 1660 -1732)
 Suite D-Dur

■Radamés Gnattali (1906-1988)
 Sonata

*Pause 休憩 *

■Walter Thomas Heyn (*1953)
 Drei Impromptus

■Guilherme Castro (*1956)
 Carioca Andaluz

■Antje Rößeler (*1989)
 En Dans

Yoko Nakamura
 Der Mogami Fluss(もがみ川)
 ・ Thema Lento Barcarolle(舟歌 レントで)
 ・ Var.1 fließend(第1変奏 流れるように)
 ・ Thema mit Ruhe(テーマ 安らいで)
 ・ Var. 2 (第2変奏)
 ・ Zwischenspiel(間奏曲),
 ・ Var.3 Wiegenlied(第3変奏 子守唄)
 ・ Var. 4 Furioso Vivo(第4変奏 荒々しく、生き生きと)

●Susanne Meves-Rößeler(ズザンネ・メーフィス・レセラー)
                           Violoncello

●Christian Kulke-Vandegen(クリスティアン・クルケ・ファンデゲン)
                           Gitarre

*アンコール*
★Yoko Nakamura
Choco Chip Cookie(チョコチップクッキー)

------------------------------------------------

実に立派なプログラムです。

この「もがみ川」「Choco Chip Cookie」は、

CD「夏日星」に収録されています。


★CDで、「もがみ川」を演奏されています尾尻雅弘さんが、

9月2日(土)に山形県にあります最上川美術館・真下慶治記念美術館で、
http://www.massimo-k.org/p_murayama/

やはりチェロとギターの二重奏で、「もがみ川」を、

演奏されることになりました。

詳しいことが分かりましたら、お知らせいたします。


★「もがみ川」の滔々と流れる様は、

チェロの深々とした音を連想させるのかもしれません。

『五月雨を集めて早し最上川』

 

 

★このCD「夏日星」は、以下で購入できます。

●アカデミア・ミュージック
http://www.academia-music.com/
http://www.academia-music.com/html/page1.html?q=%E5%A4%8F%E6%97%A5%E6%98%9F&sort=number3,number4,number5&searchbox=1
Tel.03-3813-6754  Fax.03-3818-4634

●銀座山野楽器 2Fクラシックフロア
http://www.yamano-music.co.jp/a/shops/ginza/

 


★6月14日、名古屋KAWAIで、

「平均律1巻6番 d-Moll アナリーゼ講座」を開催します。
http://shop.kawai.jp/nagoya/lecture/pdf/lecture20170614_nakamura.pdf

きょうは、その勉強をしていました。


★「Bärenreiter 平均律第1巻」の「前書き」の翻訳(中村洋子訳)と、

訳者・中村洋子による注釈が、近く出版予定ですが、

ここで、Bachが自分で書きました「序文」の意味を、

詳しく、解説しております。


Bachの「序文」は、スフィンクスの謎のように、

“分かりそうで分からない”存在でした。

その言わんとすることが、前回の名古屋アナリーゼ講座で、

≪平均律第1巻5番D-Dur≫の説明をしていますとき、

立ち込めていた霧がサーッと晴れていくように、

氷解していきました。

 

 


★東京、横浜に続く三度めの講座ですが、

今回は、テキストも一新し、Bachの「序文」を常に念頭におきつつ、

この素晴らしい6番d-Mollを、

“干からびた練習曲とフーガ”ではなく、いかに、生きた音楽として

演奏するかを、お話いたします。


★大作曲家Gabriel Fauré ガブリエル・フォーレ(1845-1924)が

校訂しました平均律第1巻にも、

「本当のBach」を弾く提案(サジェスション)が、満ち満ちています。

それをどう解き明かし、演奏に結び付けるかです。


スイスの未知のチェリストが、地球の裏側で、

私の音楽を暖かく迎え入れて下さいました。

音楽には、国境も時空も、軽く飛び越える力があります。


★Bachの音楽は、永遠に消えない、燃える生命体ですね。

 

 

 


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■銀座・山野楽器とヤマハで、私の著書とCDが大きく展示販売されています■

2017-04-19 23:58:32 | ■私の作品について■

■銀座・山野楽器とヤマハで、私の著書とCDが大きく展示販売されています■
~ドイツのハウケハック社から近く、私の「チェロ四重奏曲第2部」が出版~

                2017.4.19  中村洋子

 

 

★昨日は大風が吹き、花の嵐、まるで夏のような暑さでした。

春は穏やかなイメージが強いのですが、

実は、随分と不安定ですね。


★銀座の二つのお店で、

私の著書とCDを、大きく展示販売して頂いております。

銀座・「山野楽器本店」の2F クラシックCD売場では、

私のCD「夏日星」に、以下の立派な解説が添えられています。

 

 

★≪『無伴奏チェロ組曲』のSACD盤で、レコード芸術特選盤を獲得した
中村洋子氏による、ギター作品集。

情景描写に優れた『10のデュエット』から楽しく、のどかな愛らしさが香ってくる
『チョコチップクッキー』、風に乗って並んで走る様が爽快な『2台の自転車』と、
冒頭2曲から引き込まれます。

原曲はチェロのために書かれた作品ですが、
爪弾くギターならではの音色がどの楽曲でも活かされています。
『暑くけだるいインドの午後』では、ゆったりとした舞踊を想起させる世界観が
広がっている点も聴き所。

続いて、アルバムの題名にもなっている『夏日星』は10弦ギターのために
書かれた大作で、宮沢賢治の童話『双子の星』に触発されたもの。

全般的に1台のギターが紡ぐ壮大な宇宙のようでもあり、
“個”を見つめる厳粛さもあり、作曲者の『無伴奏チェロ組曲第5番』の原曲
でありながら、また異なる魅力を放つ屹立した佳品。

斎藤明子氏のソロが光っていて、2回登場する『赤目の蠍星』が印象深く、
この作品の核となっているような趣。

『最上川』では、『10のデュエット』同様、
2台のギターが醸す風合と響きが心地良く、川のうねりや囁きが
聴き手の身体に浸透してきます!≫


★曲を大変良く理解され、このような心温まるご紹介文を書いて頂き、

本当にうれしいことです。

 


★なお、山野楽器本店」3F 輸入楽譜売場では、

私の「伴奏チェロ組曲 第 1~6番」全6曲と、

「夏日星」の原曲である

「10 Duette fϋr 2 Violoncelli チェロ二重奏のための10の曲集」

(ともに「 Musikverlag Ries & Erler Berlin リース&エアラー社 」)

 が、展示販売されています。


 

 


★また、銀座・ヤマハ店の3階「楽譜・音楽書売場」では、

「アナリーゼ特集」が開催されており、

私の著書「クラシックの真実は大作曲家の自筆譜にあり」を、

平積みに、置いていただいております。


★この著書につきましては、読まれた方が、それをきっかけに、

作曲家の“生の叫び”とも言える「自筆譜」に、興味をもたれ、

勉強を深められる方が多いと、聞いております。

 

 

★例えば、Bach「平均律クラヴィーア曲集」の自筆譜にしましても、

大きな丸で黒々と書かれた全音符を見ますと、

その迫力は、現在の印刷された実用譜から、

決して伝わってきません。

実用譜では、全音符の符頭も、8分音符の符頭も、

同じ大きさに成らざるを得ません。


★自筆譜での、一番分かりやすい例として、

フーガやプレリュードの最後の音符は、全音符であることが多く、

その黒々とした大きな丸を見ますと、どれだけ力強く、

持続する音であるかが、一目で実感できるのです。


★また、Chopinのとても小さな音符で書かれた、

繊細な自筆譜を見ますと(それは、Schumannにも言えますが)、

この大天才がまだまだ若く、「老眼」とは無縁だった、

最盛期を迎えていた頃の作品であった、即ち、

本当に若くして亡くなってしまった、という感慨を、

覚えざるを得ません。

 

 


★そのようなことを思っていましたら、

ドイツのDortmund ドルトムントにあります音楽出版社

「Musikverlag Hauke Hack Dortmund ハウケハック社」から、

近く出版されます、私の「チェロ四重奏曲」第2部についての

ゲラ刷りと、それについての細かい質問が、舞い込みました。


★私の「Suite Nr.1、2、3、4、5、6 für Violoncello

無伴奏チェロ組曲 第 1、2、3、4、5、6番」と、

上記「夏日星」に収録されています二重奏の原曲「チェロ二重奏曲」は、

ベルリン「Musikverlag  Ries & Erler  Berlin  リース&エアラー社」

から、出版されていますが、この「ハウケハック社」からも、

既に、「Regenbogen-Cellotrios 虹のチェロ三重奏曲集」と、

「Zehn Phantasien fϋr Celloquartett(Band1,Nr.1-5)

チェロ四重奏のための10のファンタジー(第1巻、1~5番)」が、

出版されています。

この曲につきましては、ドイツのSchott社のホームページでも

紹介されています。
http://www.schott-musikpaedagogik.de/de_DE/material/instrument/um/current/showarticle,32865.html

https://www.google.co.jp/webhp?nord=1&gws_rd=ssl#q=Hauke+Hack+Yoko+Nakamura&nord=1&start=0&spf=1

 


 

今回の出版は、「Zehn Phantasien fϋr Celloquartett(Band1,Nr.1-5)

チェロ四重奏のための10のファンタジー(第1巻、1~5番)」に続く

「チェロ四重奏曲6~10番」です。


★Dortmund ドルトムントと言いますと、この間、

そのサッカーチームへのテロ事件があり、心を痛めていますが、

クラシック音楽がとても盛んな都市です。


★この「チェロ四重奏曲6~10番」は、2010年の作品ですので、

7年前になります。

きょう送られて来ましたゲラ刷りを眺めますと、

ここで、いつも私が講座や当ブログで問題にしています、

作曲家の意図は、自筆譜にあるのか、初版譜にあるのか、

あるいは、現在の実用譜が最も具現しているのか・・・

という問題が、私自身に降り掛かってきています。


★Hauke Hack ハウケハック社からのゲラ刷りを見ますと、

やはり、現在の私は、二つの点で直したい所が出て来ています。

一つは、当然ですが、単純ミスの訂正、

あるいは、向こうのエディターが提案してきました修正、

具体的には、「このテノール記号をバス記号の方が見やすいのでは?」

などです。


★その修正により、より良いものになりますので、当然、受け入れます。

やっかいなのは、もう一つの“現在の私が7年前の作品を推敲したい”

という気持ちです。

その「推敲」つまり「変更」が、7年前のオリジナルと比べ、

優れたものであるかどうか、この判断は容易にはつけられません







★そこで、皆さまから講座などでよく頂くご質問、

「自筆譜、初版譜、あるいは現在の実用譜のどれを、

採用すべきでしょうか?」に、行き当たります。


★その回答は、ケースバイケースとしか言いようがないのですが、

勉強方法としましては、取り組まれる曲の「自筆譜」ファクシミリが

あれば、まずは必ず入手します。

さらに、可能な限り「初版譜」とそれに類する譜にも、

目を通し、また、現在の定評ある「ベーレンライター版」、

「ヘンレ版」、「ヴィーン原典版」なども参照する・・・

最低限、これだけのことはするべきでしょう。


★上記の勉強をされた後、やはり、作曲家の自筆譜に則り、

演奏したいという欲求が、“沸々と”湧き上がりましたら、

プログラムにその旨を記載して演奏会を開くことは、

十分可能です。


★“権威ある出版社の楽譜に書かれてあるから、

その通りに弾きます”しかし“私は納得がどうもいきません”

と、不本意ながら演奏されるより、よほど説得力のある、

正直な演奏ができるのは、間違いないでしょう。

聴衆がすぐにそれを、感じとり、そして、何よりも、

喜んでいるのは、作曲家本人であろうと、思います。


★ゴールデンウイークも近づいて来ました。

銀ブラの折には、是非、山野楽器とヤマハを訪れ、

手に取って、ご覧になってください。

 






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■私のギター作品CD「夏日星」が銀座・山野楽器の推薦盤に■

2016-04-21 23:58:57 | ■私の作品について■

■私のギター作品CD「夏日星」が銀座・山野楽器の推薦盤に■
           2016.4.21    中村洋子

 

 


★4月15日に発売されました私のギター作品CD「夏日星」は、

おかげさまで、好評です。

銀座・山野楽器のクラシックフロア・「スタッフ推薦盤」に選ばれ、

「今月の必聴傾聴盤」として、以下のように紹介されました。

 

 

------------------------------------------------
★注目の作曲家、中村洋子氏のギター作品集。

中村洋子:夏日星

斎藤明子&尾尻雅弘(ギター)
YOKO NAKAMURA / NYBACH07

 
『無伴奏チェロ組曲』のSACD盤でレコード芸術特選盤を獲得した
中村洋子氏による、ギター作品集。
情景描写に優れた『10のデュエット』から、
楽しく、のどかな愛らしさが香ってくる『チョコチップクッキー』、
風に乗って並んで走る様が爽快な『2台の自転車』と、

冒頭の2曲から引き込まれます。
原曲はチェロのために書かれた作品ですが、

爪弾くギターならではの音色がどの楽曲でも活かされています。
『暑くけだるいインドの午後』では、ゆったりとした舞踊を
想起させる世界観が
広がっている点も聴き所。

続いて、アルバムの題名にもなっている『夏日星』は10弦ギターのために
書かれた大作で、宮沢賢治の童話『双子の星』に触発されたもの。
全般的に1台のギターが紡ぐ壮大な宇宙のようでもあり、
“個”を見つめる厳粛さもあり、作曲者の『無伴奏チェロ組第5番』の
原曲でありながら、
また異なる魅力を放つ屹立した佳品。

斎藤明子氏のソロが光っていて、2回登場する『赤眼の蠍星』が印象深く、
この作品の核となっているような趣。
『最上川』では『10のデュエット』同様、2台のギターが醸す風合と
響きが心地良く、
川のうねりや囁きが聴き手の身体に浸透してきます!

また、ジャケットは斎藤明子氏の父でイラストレーターの斎藤融氏に
よるもの。
1台及び2台のギターが織り成す雄大で繊細な世界が、

この1枚に凝縮されています!!(佐藤)

http://www.yamano-music.co.jp/a/shops/ginza/2f/selection

-------------------------------------------------------
★山野楽器さんの推薦文は、私の意図を

よく汲んで下さっています。


★また、CD「夏日星」をお聴きになって下さった方から、

早速、嬉しいお便りを頂きました。


★≪作品を拝聴する時、いつも影絵のような優しい光の世界が

浮かんできます≫と、書かれていました。

なんと詩的で美しい言葉でしょう!


★聴いて下さった方の心の美しさが、逆に、偲ばれます。

このCDの最初の曲は、「10 Duette für 2 Violoncelli」が原曲です。


★作曲家はどの曲も全力投球ですが、

この曲は、Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー先生と

お孫さんのために作曲しました。

先生とお孫さんが、仲良く和気あいあいと、

弾くことを楽しみながら、一時を過ごして頂きたいと思い、

ふっと肩の力を抜いて作曲しました。

Robert Schumann  ロベルト・シューマン (1810~1856) の、

「Kinderszenen  子供の情景 Op.15」を目指して作曲しました。

 

 


★ヨーロッパの子供のためのチェロコンテストで、

よく弾かれる一方、

大人の立派なチェリストが、コンサートでも演奏して下さる

理由が分かる気がします。

子供も弾くことができる“大人の曲”と言えます。


★≪優しい光≫といいますと、フェルメールの

「Girl with a Pearl Earring」を思い出します。

上記の感想にあります「優しい光の世界」が、

それなのかもしれません。

私の著書≪クラシックの真実は大作曲家の自筆譜にあり!≫の

P93を、ご覧ください。


★「夏日星」のCDは、山野楽器2FクラシックCD売場だけでなく、

ギターや試聴機コーナーでも、

ほぼ同じ内容のキャプションを付けて、

展示されているそうです。

是非、お出掛けください。


★九州の大震災など、悲しく辛いニュースの多い毎日です。

どうぞ、この曲を聴いてください。

シューマンの音楽につきましては、

「クラシック音楽の真実は大作曲家の自筆譜にあり!」の、

chapter8(P256)に、詳しく書きましたので、

どうぞ、お読みください。


★なお、このCDは、diskUNION 御茶ノ水クラシック館や、

diskUNION 吉祥寺、新宿のクラシック館でも発売中です。

ネット販売はいたしておりませんので、地方でご希望の方は、

山野楽器やdiskUNION にご注文ください、

http://www.yamano-music.co.jp/a/shops/ginza/2f/selection

http://diskunion.net/shop/ct/ocha_classic

http://diskunion.net/shop/ct/shinjuku_classic

http://diskunion.net/shop/ct/kichijyouji_classic

送っていただけます。

 

 


★おかげさまで、

「クラシック音楽の真実は大作曲家の自筆譜にあり!」は、

増刷となり、第2刷が発行されました。

心より、感謝申し上げます。


★「10 Duette für 2 Violoncelli」は、

「6 Suiten für Violoncello solo 無伴奏チェロ組曲 全6曲」同様、

『Musikverlag  Ries & Erler  Berlin  リース&エアラー社』 から、

楽譜が出版されています。

それらは、「アカデミアミュージック」で購入することができます

https://www.academia-music.com/academia/search.php?mode=detail&id=1501678989

https://www.academia-music.com/academia/s.php?mode=list&author=Nakamura,Y.&gname=%A5%C1%A5%A7%A5%ED

 

 

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■私の作品を収録したCD「夏日星」が発売されました■

2016-04-16 23:53:55 | ■私の作品について■

■私の作品を収録したCD「夏日星」が発売されました■

              2016.4.16 中村洋子

 


★熊本でのM7.3の大地震、

そして止まることなく連続して、いまも絶えず起きている余震、

さぞかし地元の皆さまは、不安と恐怖の時間を、

過ごされていることでしょう。

中央構造線に沿って、震源が東に移り、

これ以上、被害が拡大していかないことを、

ひたすら願っております。


私の作品を録音いたしました「CD」が、本日発売となりました。

「夏日星」というタイトルで、ギターによる演奏です


★「夏日星」は火星の和名です。

宮沢賢治が最も好きだったといわれる童話「双子の星」の、

清らかで美しい小宇宙を思い描きながら、作曲いたしました。

そのほか、二曲が収録されています。




----------------------------------------------
■10のデュエット  10 Duette (デュオ)

10 Duette は、2007年にチェリスト Wolfgang Boettcher
ヴォルフガング・ベッチャー先生とお孫さんのAnton
アントン君のために作曲した≪チェロのための10の二重奏曲≫です。

ドイツやスペインなど世界各地で、チェロコンクール参加曲としても、
よく演奏されています。
今回は、ギター演奏版です。
楽譜は、Ries & Erler・Berlin ベルリンのリース&エアラ―社が
≪Yoko Nakamura  10 Duette für 2 Violoncelli≫として出版。


➀チョコチップクッキー: お母さんが焼いてます、とってもいい香り
     Choco Chip Cookie   Schokoplätzchen 

② 二台の自転車: 車輪がクルクル回ります、心地よい午後の青空
     Two Bicycles  Zwei Fahrräder

③ 雪に埋もれた小さな教会: 讃美歌がかすかに聞こえてきます
      A small church in the snow  Kleine Kirche im Schnee

④ スペインのお祭り: 大人も子供も軽快に足を踏み鳴らします
     Spanish Festival  Ein spanisches Fest

⑤ 暑くけだるいインドの午後: 蓮の花咲く池、孔雀がゆっくり舞います
      Peacock's Sarabande in Indian Lotos Garden
      Pfauen - Sarabande im indischen lotoshain

⑥二匹のコオロギ: 秋の庭の片隅でチェロを合奏しています
      A Cello Performance by Two Crickets
     Zwei Grillen beim Cellospiel       

⑦ 静夜: 星がキラキラと瞬きます
       Stars in a Calm Night  Sterne in ruhiger Nacht

⑧ 夏の夜明け: 海辺から太陽が昇り始め、浜辺には雄大な波
        Dawn by the Seashore in Summer 
        Sommerliche Morgendämmerung am Meer

⑨ 秋: 紅葉し始めた樹々の彼方から、狩りの角笛が聞こえます
        Autumn Dance  Herbsttanz
 
⑩ ドデカフォニックダンス:
       Dodecaphonic Dance Tanz in Dodecaphonie
   12音技法(Dodecaphonic)の曲です、
   1オクターブの中にあるすべての音が、分け隔てなく“スター”として
 活躍します


■夏日星 Mars

宮沢賢治の童話「双子の星」の、清らかで美しい小宇宙を思い描きながら
作曲いたしました。
「夏日星」とは、火星の和名です。
心が洗われるようなすがすがしさをもつ童話です。
あらすじは<スギナのような可愛い水晶のお宮で、“空の星めぐりの歌”
にあわせ、
一晩中、銀の笛を吹く双子の童子。

ある日、青石の泉に冒険に出掛けます。
蠍と大烏が醜い喧嘩をしてともに深い傷を負いますが、
童子の限りなく優しい献身によって救われます>。
賢治が最も好きだった童話だったともいわれます。
お金や権力の争いは、いつの世でも絶えないようですが、醜いですね。

この曲は、私≪無伴奏チェロ組第5番 Suite Nr.5 für Violoncello solo≫
(2011年作曲、2012年Wolfgang Boettcher
 ヴォルフガング・ベッチャーによりドイツWitten で初演)の原曲です。
2005年、10弦ギターのために作曲され、斎藤明子さんが初演しました。
チェロ版の≪無伴奏チェロ組第5番≫ は、Ries & Erler・Berlin 
ベルリンのリース&エアラ―社から楽譜が出版されています。
SACD ≪中村洋子「無伴奏チェロ組曲 第二巻」(GDRL-1002)
Wolfgang Boettcher演奏≫に、収録されています。

⑪ スギナのような二つ星 The Twins
⑫ 火取虫(燈蛾) A Moth Flattering around a Light
⑬ 天の河原 The Milky Way
⑭ スピカ Spica
⑮ 赤眼の蠍星 Antares
⑯ 夏の月 Mountains in Moonlight
⑰ 赤眼の蠍星 Antares  
⑱黄金日車(ひまわり) Sunflower



■最上川  The Mogami River (デュオ)

俳人松尾芭蕉(1644-1694)の「奥の細道」に触発され、
芭蕉の世界を縦横に構築しました。
テーマは、クラシックのバルカローレ(舟歌)の形式です。
波と舟の揺れを模した単純な伴奏を繰り返すのが特徴です。
最上川上流の繊細な流れが変奏によって勢いづき、
岩に当たって泡立ちます。
次に静かな「子守唄」、川のおおらかさ、懐の深さを表現します。
間断なく五月雨が降り、霧に煙った川が滔々と流れます。
芭蕉は夜の帳が下りた旅籠で、昼間の光景を行灯の下でしたためます。
ゆっくりとした音が時を刻みます。
最後の変奏は「暑き日を海に入たる(いれたる)最上川」。
盛暑の焦げるような暑さ、激しい動きの変拍子で
クライマックスを迎えます。

                                       

⑲主題: Theme 
     雄大な最上川が滔々と静かに流れます
⑳第1変奏曲: Variation 1 
     最上川の源流、湧水が集まり、やがて大河となり、
     水しぶきを上げて激しく河岸に打ち付けます
㉑主題: Theme 
     夜、漆黒の川面をさらさらと流れる川
㉒第2変奏曲: Variation 2  
     五月雨、さみだれを集めて早し最上川
㉓旅の夜に: Night on the journey
     芭蕉は旅の夜、筆を置き仄かな行灯の明かりを眺めます。
㉔第3変奏曲: Variation 3  
     静かな夜、最上川の流れが子守唄となります。
㉕暑き日: Torrid day 
     暑き日を海に入たる最上川、焦げるような炎暑、
     夕日を海に押し流すような最上川の威力。




--------------------------------------------
★演奏は、10弦ギター・斎藤明子さん(10 Duette、夏日星、最上川)、   
     7弦ギター・尾尻雅弘さん(10 Duette、最上川) 

--------------------------------------------

 

●斎藤明子
1967年東京に生まれ、4歳よりギターを始める。
慶應義塾中等部、女子高等学校卒業。在学中、
15才でデビューリサイタルを開催し、翌年スペイン
音楽を学ぶため1年間渡西。
一流の音楽家が直接生きた音楽を教えるカリキュラム
を提唱し注目された大東音楽アカデミーにて、ソルフェージュ、
和声学、アナリーゼを中村洋子氏に学ぶ。
スイス政府支給の留学金を得てバーゼル音楽院に学び
演奏家資格を取得。その間ヨーロッパ各地で音楽体験を積む。

 

第2回スペインギター音楽コンクール第1位、
第30回東京国際ギターコンクール第1位、
1989年ミュンヘン国際音楽コンクールギター部門ファイナリストとなり
奨学金を授与されるほか、国内外の数々のコンクールで優勝、入賞。
アイルランド、ギリシャ、ウィーン、ニューヨークなどでリサイタル、
国際的な評価を得る。1992年に帰国。独奏、オーケストラとの共演、
室内楽演奏、ラジオ、テレビ番組への出演などで活動するほか、
ソニーミュージックから3枚のCDを発表。
2005年から中村作品を収めたDVD「七星晶々」、
CD「星の林に月の船」に参加。
1997年から軽井沢に移住。そこでの生活や価値観の
変換を綴った「軽井沢 八風の里便り」を2010年に出版。
2011年、近隣在住のクラシックの演奏家5名でムージ
カ・エマセネポーを立ち上げ、信州からの独自の音楽
文化の発信に努めている。日本ジュニア・ギター・教育協会会長。
公式ホームページ:http://www.akikosaito.jp/

 


●尾尻雅弘
バークリー音楽院にてジャズ・ギターを学ぶ。
その後マンハッタン音楽学校にてクラシカル・ギターを
マヌエル・バルエコ氏に師事。

在学中、第29回パリ国際ギターコンクールにて第3位、
及びアンドレス・セゴヴィア賞を受賞。
1992年、日本フィルハーモニー管弦楽団との『アランフェス協奏曲』で
日本デビュー。

2004年、メキシコで行われたGFA・ギター・フェスティヴァルには
巨匠ジョン・ウィリアムスらと共に招待され演奏会、講習会を行う。
2007年軽井沢・大賀ホールにて20年ぶりの共演となるジャズ・ピアニスト
小曽根真とのデュオ・コンサートを行なう。
2012年メキシコ・サラマンカでのギター・フェスティヴァルにて演奏会、
マスタークラス、コンクール審査を行う。
2013年5月ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンに参加。
最新CD「ソロ・ギター・アドヴェンチャー JAZZ」をリリース、
レコード芸術誌、特選盤に選ばれる。
また国際映画祭での受賞作品、今村昌平監督「うなぎ」(1997)、
太宰治原作/根岸吉太郎監督「ヴィヨンの妻」(2009)、
田中光敏監督「利休にたずねよ」(2013)などの劇中音楽のギター演奏も担当する。
公式ホームページ:http://www.ojiri.com/

 

----------------------------------------------------
★販売は、Disk UNION 御茶ノ水クラシック館、
       銀座「山野楽器」本店2FクラシックCD売場
       18日から、Disk UNION 新宿および
              吉祥寺のクラシック館でも販売。

★定価 ¥2000 + 税
--------------------------------------------




★同じ弦楽器でも、チェロは弓を擦る楽器、ギターは弾く楽器。

チェロは、音の持続ができ、その間に音色などの変化をつけることが

可能ですが、ギターは、弾いたらその後は音を加工できません。

ピアノに似ているともいえます。

同じ曲がチェロとギターでどう変化しているか、聴き比べることも

楽しいと思います。


★「10のデュエット」は、分かりやすく楽しめる曲集ですが、

最後の≪ドデカフォニックダンス≫は、12音技法の曲です。

実をいいますと、12音技法を使う、いわゆる現代音楽風に書くことは、

私にとって、大変に楽なのです。


調性で書くことは、ある意味“難易度”が高いのです。

調性で書くことは、何故、西洋楽器を使って作曲するか、

ということに直結するのです。


★ピアノなど鍵盤楽器は、西洋の音階システムによって作られた楽器です。

ギターにもフレットがあり、同様に西洋の音階システムに則っています。

楽器そのものの構造に則った音楽の形態であると、いえます。

そして、いかに調性を効果的に使うかということの為に、

≪和声、対位法≫が存在し、さらに、

和声、対位法の「禁じ手」も厳然として、存在してくるのです。


調性から離れた音楽技法、さらに、

“取締り“のない“無法地帯”の≪無調≫の世界に行きますと、

その自由度が大きいだけに、“自由を手なずける”技というものを、

獲得することは、至難の技ともいえます。

 

 


20~21世紀にかけ、それを本当に手なずけた作曲家は

ごく僅かで、恐らく、10人もいないでしょう。


★“無調を手なずけた本物の作曲家”以外の、

大多数の作曲家による無調の現代音楽を聴き、

“もう、現代音楽はゴリゴリだ”と、

現代音楽に嫌悪感を抱いたり、

クラシック音楽そのものさえ、敬遠するようになったり、

クラシック音楽から“逃亡”してしまった音楽愛好家が

いかに多いか、というお話になっていくでしょう。


調性の≪和声、対位法≫を厳密に習得した後、

無調の世界に入るのはいいのですが、

最初から、調性を使わずに作曲していきますと、

たとえ、もてはやされたとしても、その人の土台はどこにあるか、

ということになります。


★現代音楽の世界でも流行は厳然とあり、

小器用に模倣してある種の作風をつくっても、

その流行が終わった後、途方に暮れる、

ということになりかねません。

 

 

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■私の「無伴奏チェロ組曲第3番」がドイツWittenで全曲初演されました■

2016-04-14 18:33:24 | ■私の作品について■

■私の「無伴奏チェロ組曲第3番」がドイツWittenで全曲初演されました■
            2016.4.14  中村洋子

 

 


★以前お知らせいたしましたが、Bachの誕生日「3月21日」に、

Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー先生が、

私の「Suite für Violoncello solo Nr.3 無伴奏チェロ組曲 第3番」の

「全曲初演」をしてくださいました。


★ドイツ 「Witten ヴィッテン」の「Emmaus-Kirche」での

Cellokonzert チェロのソロコンサートでした。

先生から「プログラムなどを、直ぐに郵便で送りました」

という連絡があり、ジリジリと待っておりましたが、昨日やっと到着。

多分、ドイツ国内の事情と思われますが、3週間以上もかかりました。

 

 

 

  
★先生のお手紙に「私は、Mannheim マンハイム、 Berlin ベルリン、

Witten ヴィッテン、 Glambeck グランベックで、

あなたの無伴奏チェロ組曲をすべて、初演しました」と、

書かれていました。


★プログラムの裏の、プロフィール欄末尾に、

私のチェロ組曲3番、第1楽章最後のモティーフが、

先生の手書きで、描かれていました。

 

 

★ここは、チェロの最低音「C」を含む和音から、

非常に高い「cis³」までの4オクターブを一気に駆け上り、

もう一度 ff で最低音の「C」で終わるところです。

技巧的に、大変難しいところですが、

“僕は成し遂げたよ”という、喜びと高揚感が

漂ってくる手書き譜です。

 

 


★プロフィールは次のように、書かれています。

   Wolfgang Boettcherは、ドイツの非常に優れたチェリスト達の中での
長老です。彼は、Berliner Philharmonikerベルリンフィルハーモニーの
ソロチェリストでした。「12Cellisten der Berliner Philharmoniker
ベルリンフィル12人のチェリストたち」と「Brandis-Quartett
ブランディス・カルテット」の創設メンバーであり、さらに、「Hizacker Sommerlichen Musiktage ヒッツァッカー夏の音楽祭」(戦後ドイツ初の室内楽による音楽祭)の、芸術監督、ベルリン芸術大学の教授も務めました。彼のクラスから、名声あるチェリストがたぃさん輩出しています。
 著名な作曲家たちが、Boettcherのために作品を書きました。その作曲家たちは、Alibert Reimann アルベルト・ライマン、Giselher Klebe ギーセラー・クレーベ、Hans Vogt ハンス・フォークトなどです。
  また、たくさんの作品の初演もしています。それらは Klebeクレーベ、 
Reimann ライマン、Riehm リーム、Kichner キルヒナー、Dutilleux デュティーユ、
Nakamura 中村洋子の作品です。
  Boettcherは、バイエルン芸術院会員で、彼は全世界でコンサートや
マスタークラスを開き、たくさんの国際コンクールの審査員も積極的務めています。
 彼は近年、日本にもたびたび演奏に赴き、そこで中村の曲と出逢うだけでなく、天皇や、天皇とともにいらっしゃる美智子皇后と一緒に皇居で、音楽を楽しみます。中村は、たくさんの曲を Boettcherに献呈しています。

 

 

 

★プログラム


・Bach 「無伴奏チェロ組曲第2番」
・Yoko Nakamura 中村洋子「無伴奏チェロ組曲第3番」
・György Kurtág クルターク「四つの小品」
・Bach 「無伴奏チェロ組曲第3番」

 

 


★Yoko Nakamura「無伴奏チェロ組曲第3番」は、これまで、

各楽章が Boettcher ベッチャー先生により各地で演奏されてきましたが、

今回、満を持して全曲を初演されました。

「教会は満席で、とてもいい雰囲気に包まれて演奏できました」と、

書かれていました。


★間もなく、私の作品をGuitarで録音しました「CD」が発表になります。

「夏日星」という題名のCDですが、その中に、

「10 Duette für 2 Violoncelli チェロ二重奏のための10の曲集」 

が、収録されています。

この曲は、 Boettcher ベッチャー先生とお孫さんのために書きました。

「Musikverlag  Ries & Erler  Berlin  リース&エアラー社」から、

出版され、世界中で好評です。

特に、若いチェリストのためのコンクールなどでよく演奏されています。


★今回は、斎藤明子さんと尾尻雅弘さんによる二台ギターです。

Boettcher ベッチャー先生も「ギターで聴くのが楽しみ」と

おっしゃっています。


★また、CDのタイトルの「夏日星」は、「無伴奏チェロ組曲第5番」の

原曲となった曲で、斎藤明子さんが10弦ギターで独奏します。

 

 

 

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■私の著書が重版へ、夕刊フジと月刊Musicianが書評欄で紹介■

2016-04-11 02:35:16 | ■私の作品について■

■私の著書が重版へ、夕刊フジと月刊Musicianが書評欄で紹介■
~グレン・グールドのゴルトベルク変奏曲Fingeringについて~
          2016.4.11    中村洋子

 

 


私の著書≪クラシックの真実は大作曲家の自筆譜にあり!≫が、

重版されることになりました。

皆さまがこの本を、暖かく受け入れて下さったおかげと、

お礼申し上げます。


★また、3月23日の夕刊フジ書評欄に『自筆譜から楽曲分析』

という見出しの紹介記事が掲載されました。

月刊「Musician」4月号でも『自筆譜から真摯に学ぶために』と題して、

大きく紹介されました。

いずれも、大変好意的な評価を頂いております。


★夕刊フジ『自筆譜から楽曲分析』

≪作曲家である著者は現在、ピアノの先生やクラシック愛好家、音大生を
対象とした「アナリーゼ講座」を開催している。アナリーゼとは「楽曲の構造を
分析する」学問。本書は著者が自身のブログ「音楽の大福帳」の中から
より重要と思われるアナリーゼについての記事を抜き出し、加筆したもの。
  クラシックを知れば知るほど、どのような仕組みで素晴らしい音楽ができたか
知りたいと思うのは自然なこと。その構造を分析するのがアナリーゼ。本書には
手書きの譜面がふんだんに使われ、バッハやショパンが実際に弾いていた譜面
を通して、作者の意図、全体の構成、さらにはどう演奏すればいいかが説かれて
いる。音大生の多くが理解できていないといわれる「和声」や「対位法」も、本書を
読むことで分かりやすくなることだろう。
 歴史的名演奏を収録したCDの紹介なども掲載され、さらなるクラシックの楽しみ
が広がる一冊だ。 DU BOOKS 2500円+税≫

 

 


★「Musician」4月号『自筆譜から真摯に学ぶために』

≪バッハを根源とするクラシック音楽をより深く理解し、味わうために欠かせない
「和声」「対位法」。本書では、バッハ、モーツァルト、ショパンなど大作曲家が自らの
手で記した自筆譜の分析を通して、和声や対位法をどのように学ぶべきかを説く。
 主な内容は「『エリーゼのために』の手書き草稿は、声部ごとに符尾の方向を変えて
いる」「一生忘れない暗譜の方法」「バッハ・インヴェンション第1番の『3連符』がもつ
重い意味」「ChopinのPolonaise-Fantasie幻想ポロネーズを自筆譜から読み込む」
など、ピアノ曲を中心に手書きの譜例を豊富に交えながら、弾き方や解釈の違いに
ついて丁寧に解説。
 美しく浄書された出版楽譜からは伝わってこない「作曲家ならではの意図」を
自筆楽譜から読み取るべきと力説するだけに、特に演奏、指導する人にとっては
大いに参考になるだろう。作曲家である著者のブログ「音楽の大福帳」を書籍化
したものだが、時には、フィギュアスケートや映画鑑賞まで幅広く話題にしている
辺りにも著者の関心の広さ、教養の深さがにじみ出ている。
中村洋子著/DU BOOKS   2016年3月発行  2500円+税 ≫

 

 


★私の知り合いの方で、この本をお求めになり、

帰る途中の電車で、思わず読みふけってしまいました、

とおっしゃってくださった方もいます。


★また、一冊だけでなく二冊求め、一冊をピアノの譜面立てにいつも

置いている、という方もたくさんいらっしゃるようです。

最近の電車内は、若い人だけでなくお年を召された方までも

携帯やPCに食い入るように

見入っている方が本当に多いです。

以前は大人の方までが、漫画本を広げているのが一つの光景でしたが、

それも過去の風景となってしまいました。


★私は、このごろ紙の本を読むことが、ますますいとおしくなりました。

ネットで簡単に取り寄せるのではなく、大きな書店に出向き、

じっくり眺めるのが、大好きです。

紙に印刷された文字を目で追う喜びは、また格別です。

かつて、皇后の美智子様が

“一番なりたいのは透明人間です。

神田の古本屋さんを自由に歩いて見て回りたい”という趣旨のことを、

おっしゃっていたのが、心に残っています。

 

 


ピアノの譜面立てに置いて読んで下さる方のことを考えますと、

その行為は、私の本を素材として頭の中で長い時間かけて反芻し、

その結果、自分のものとしたうえで、

自分の思考をさらに、深められつつある過程であると思います。

私の考え方を出発点としているものの、

自ら湧き上がってくる、自らの音楽となっているはずです。

これこそが、私が望んでいることです。


★9日の Bach「Goldberg-Variationenゴルトベルク変奏曲」

アナリーゼ講座で、Glenn Gould グレン・グールドの

ゴルトベルク変奏曲のFingeringについても、

少し触れました。


GouldのFingeringは、ある意味とても正統的です。

Julius Röntgen ユリウス・レントゲン (1855-1932)や、

Edwin Fischer エドウィン・フィッシャー(1886-1960)、

Bartók Béla バルトーク(1881-1945)のBach作品に対する 、

さらには、Claude  Debussy  クロード・ドビュッシー (1862-1918)の

Chopin作品へのFingeringと異なることは、

全く、ありません。


GouldのFingeringも、またアナリーゼとなっています。

Debussy、Röntgen、Fischer、Bartókと連綿と続く

歴史の延長線上に、正統に位置します。

 

 


★私の講座に参加されている方が、

GouldグールドのFingeringを、ご覧になりますと、

ハタと、膝を打たれるのではないでしょうか。


★ゴルトベルク変奏曲アナリーゼ講座の2回目以降でも、

GouldグールドのFingeringについて、

少しずつその見方を、お話するつもりでおります。


要するに、西洋クラシック音楽は、音で思索する、

音の構造物なのです。

それは、一瞬の線香花火のように、

エクスタシーを呼び起こす感覚的なもの追い求めることとは、

異なります。


私の本をピアノの譜面立てに置かれて思索される方は、

私から離れ、自分の音楽を大きく発展させていると思います。

同様に、GouldのFingeringを学ぶことは、

Gouldと同じ演奏をすることではなく、

それを手掛かりとして、ご自分のゴルトベルク変奏曲を

創り出すべく、模索するのです。

 

 


現在の日本の音楽書は、ハウツーものがほとんどです。

こうすれば簡単に直ぐに、効果が現れるというものが、

求められているようです。

考えながら音楽を勉強するということとは、

随分、距離があるようです。


自分で苦労して、自分の音楽を創り上げることが、

「面倒でつらい」と思うか、あるいは、

考え、思索することこそが、「自分の音楽をする」、

「音楽生活」であるという態度を選択するかは、

ご自身なのです。


★本の重版のお話から脱線してしまいましたが、

「銀座ヤマハ店」でも、この本は、3月の音楽書ランキングで

第4位になったそうです。
http://www.yamahamusic.jp/shop/ginza/special/musicbook_ranking.html

≪前回より順位を上げてランクイン!≫と案内され、

新刊書、月間ランキング、音楽書のそれぞれの棚に

並べられています。


銀座「山野楽器」2Fの≪女性作曲家特集コーナ―≫と、

3Fの音楽書コーナーにも、この本が置いてあります。

また、近く発表します私の作品のCD「夏日星」を、

山野楽器さんも取り扱って頂くことになりました。


★私の大好きな銀座から、書店が次々と姿を消し、

とても寂しいのですが、

老舗の楽器店さんが頑張って、暖かい手を差し伸べて

くださっていることは、大変うれしく、

感謝の気持ちで、一杯です。

 

 

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■私の訳と注が加わった Bärenreiter「ゴルトベルク変奏曲」が発売■

2016-04-06 23:55:32 | ■私の作品について■

■私の訳と注が加わった Bärenreiter「ゴルトベルク変奏曲」が発売■
          2016.4.6    中村洋子

 

 


★9日に開催します第1回「ゴルトベルク変奏曲・アナリーゼ講座」では、

曲の骨格を、和声、対位法に基いで分かりやすくご説明し、

弾くことが楽しくなるような講座にしたいと、思っております。


★新バッハ全集(NBA)の“抜き刷り”である Bärenreiter-Verlag

ベーレンライター出版社の Urtext der Neuen Bach-Ausgabe

Bach「Goldberg-Variationenゴルトベルク変奏曲」は、

従来からの「Cristoph Wolff による序文付き版」と、

「Ragna Schirmer ラグナ・シルマ による Fingering とその注付き版」

の二種類が存在しています。


★今回、私は「Cristoph Wolff による序文」と、

「Ragna Schirmer による Fingeringの注」を翻訳し、

さらに、「Cristoph Wolff 序文」 と

「Ragna Schirmer の Fingering注」 の各々に対する、

私の「注釈」を加えました。

 

 


★それは、ブックレットとして

Bärenreiter 「Goldberg-Variationen」 の楽譜に添付され、

発売されました。

https://www.academia-music.com/academia/m.php/20131120-15

https://www.academia-music.com/academia/search.php?mode=detail&id=1501733634

https://www.academia-music.com/academia/search.php?mode=detail&id=1501733635

 


Wolff と Schirmer の文章をそのまま訳しましても、

分かりづらい所が多々あるため、

どなたがお読みになっても理解できるよう、

細かく注釈を加えました。

 

 


★特に、この曲集の成立や背景について、

今回の訳と私の注によって、しっかりとした基礎知識を

おもちになることができると、思います。

その結果として、Bachの音楽そのものに専念できるよう、

願っております。


★ 「Fingering付き」と「Fingering無し」の二種類の

楽譜がありますが、

私の訳と注は、その両方の楽譜に差し込まれています。

しかし、どちらの楽譜を選ぶべきか、悩まれる方も

いらっしゃることでしょう。


★私の場合、このような時には可能でしたら、両方を求めます。

そうでない場合、 Fingering をご自分で探求したい方は

「Fingering無し」を、そうでない場合は「Fingering付き」を、

ということになります。

 

 


★Ragna Schirmer も「音楽家はそれぞれ自分の解釈をし、

その結果、その人に最も合ったフィンガリングを見いだすべき」と、

書いていますが、その通りであると思います。

絶対的なFingeringはありません。


★勉強の方法としましては、

残念なことに、Bachの自筆譜が失われていますので、

まず、Fuzeau出版社から出ています≪初版譜ファクシミリ≫を、

座右に置いてください。

この Fuzeau≪初版譜ファクシミリ≫は、

Bachが存命中に出版されたゴルトベルク変奏曲の楽譜に、

Bach自身が書き込みを加えたもののファクシミリです。


★それに加え、今回の Bärenreiter 「Goldberg-Variationen」 も、

一緒に紐解いてください。

それが、第一歩です。

 


 

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■自筆譜に興味をもったらどう学ぶべきか?まず一曲を徹底的に探究する■

2016-03-28 00:21:35 | ■私の作品について■

■自筆譜に興味をもったらどう学ぶべきか?まず一曲を徹底的に探究する■
  ~レコード芸術4月号に、私の著書への書評が掲載されています~
         2016.3.27         中村洋子

 

 

雑誌「レコード芸術」2016年4月号の書籍紹介欄で、

私の著書≪クラシックの真実は大作曲家の「自筆譜」にあり!≫が、

紹介されました

本書を十分にお読みになったうえで、好意的な評価を下されています。

 

以下がその書評です。
--------------------------------------------------
音楽ソフトとハードの販売会社として知られるディスクユニオンが2012年に
発足させた出版部門「DU BOOKS」。すでに注目すべき出版物を多数
出しているが、この本も高い問題意識に満たされたものである。

 著書の中村洋子は東京藝術大学作曲科を卒業した作曲家。
代表作≪無伴奏チェロ組曲≫
(全6曲)はドイツのベルリン・リース&エアラーから出版され、カラヤン時代のベルリン・フィル首席チェロ奏者、ベッチャーによって録音されている。

 また中村の作曲家としての視点から行われるバッハ作品の「アナリーゼ講座」は好評を得ていて、08~09年「インヴェンションとシンフォニア」(全15回)、10~15年「平均律クラヴィーア曲集」(全48回)を東京ほか各地で開催している。最近ではベーレンライターの原典版≪ゴルトベルク変奏曲≫など鍵盤作品の序文解説の翻訳と注釈を記すなど、活躍めざましい。

 この本は、彼女のブログ「音楽の大福帳」の抜粋。収録順は掲載順というわけではなく、テーマ別にはっきり分かれているわけでもない(中村悌一や岡本文弥などへの言及もある)。「内容が濃密」なので「ご自分にとって興味のある部分だけを選択し、少しずつお読みになるのもよい」(あとがき)とされる。

 この中で一貫しているのは、現代の音楽シーンに対する苛立ちである。「巷で“天才演奏家による極めつけの演奏”などと派手に宣伝」するのは「売らんがためのメッキでしかない」。
≪インヴェンションとシンフォニア≫のエトヴィン・フィッシャーやレントゲンの校訂譜、≪平均律≫のバルトーク校訂版、ショパンのピアノ作品のドビュッシー校訂版などが「埋もれ、存在すら知らない方が多いのです。これらの宝物の価値が分からず、無視されるほど、現代のクラシック音楽のレベルが全体的に低下している」など。確かにそれらのものは古めかしく見えるし、原典版を重視する現代のあり方からすると、校訂者の主張が入りすぎているという考え方もあろう。しかし、中村は天才作曲家が解釈する天才の作品こを「これ以上ない音楽の楽しみに浸ることができる」という。たしかに原典版は作曲家自身の楽譜のレイアウトを全く踏襲していない。作曲家の手による自筆譜を見れば、スラーのかかり方や楽譜の段の切り替え、指示記号の位置など、作品といかに結びついているか。いかに現代の楽譜がそれらの情報を無視しているか。だからこそ自筆譜に立ち返ることの重要性が繰り返し語られるのだ。

 しかし、その視点を大事にすればするほど浮かび上がる大きな問題がある。それはすべての譜例が中村自身の手書きによるものであるということだ。彼女は忠実に書き写しているというけれど当然実物とは違うのであって、ここまで自筆譜からの情報を第一義的に捉えるなら(掲載には困難をともなったとしても)その現物が全く見られないのは画竜点睛を欠くと言わざるを得ない。 それを除けば中村の主張には納得のいく部分も多く、特にピアノ教師には有益な一冊だろう。
■西村 祐(フルート奏者)
-----------------------------------------------------------------------
(※中村洋子注:「中村悌一」とありますが、「中山悌一」が正しいです)

 

 


★(掲載には困難をともなったとしても)と、

評者が書かれていますように、実際大きな困難が伴い、

著作権の問題などから、本に掲載するのは、

限りなく難しいのが現実でしょう。

作曲家がこの世を去った後、どのような巡り合わせかは分かりませんが、

たまたま自筆譜を所有している人や組織が、人類の遺産である、

大作曲家の自筆譜の公開を拒否したり、ファクシミリでさえも高価で、

入手がなかなか困難になっている状況に対しては、

つくづく残念に思います。


★絵画でも、ゴッホやモディリアニのように、

極貧のうちに亡くなった画家の絵が、死後に投機の対象となり、

芸術を理解しない金満家の手から手へと、

渡り歩いていく姿は悲しいです。


私が手書きで写しました自筆譜に、興味をもたれましたら、

一つでも結構ですので、是非、実物の自筆譜ファクシミリを

探し当てて下さい。

(探して入手するという努力もまた、勉強の重要な第1ステップです)。

そうしますと私の本に掲載した、たった一ヶ所だけでなく、

その曲全体の巨大な情報量が、あなたのものとなるのです。


★私が本に手書きで写しました自筆譜のファクシミリは、

購入は可能なものが多く、図書館で閲覧できるものもあります。

苦労して探し当てますと、出会いの喜びはまた格別です。

自筆譜からは、作曲家が曲を書いた瞬間の感動、喜びが、

直に伝わってきます。

 

 


★私は、岩波文庫「セザンヌ」ガスケ著/與謝野文子訳を、

時々、自分自身を鼓舞するために読み返しています。


★179ページ
「セザンヌは人生のうちの通算で一年や二年は、
ルーブルで過しているし、フランドルの美術館を見てまわり、
三十年もの歳月にわたってパリの展覧会や教会は全部、
駆け巡ったし・・・・・・(略)」と、あります。

いかに、セザンヌの勉強量が膨大で徹底しているかが、

書かれています。


★26ページ
「(セザンヌは)年老いてからは、仕事で疲労困憊、身体のほうが痛み
ほとんどものを読まなくなっていた。それなのに、幾度も、
田舎でもパリでも、
広がる地平を目の前にして、または、
アトリエにいて描きかけの習作を前に、
立てた筆で音綴(シラブル)の拍子を取りながら、何十行もの

ボードレールやヴェルギリウス、ルクレティウスやボワローの詩を
暗誦しているのを、私(著者のガスケ)は目にしたものだ。
※セザンヌは「悪の華」を空で覚えていた。

 ルーブルを歩いていると、何年に、というくらい正確に、
どの絵がどこから来たかを
知っていたし、どこの教会、
どこの蒐集品陳列室にその写し(レプリカ)が見られるか、
それも知っていた。
ヨーロッパのさまざまな美術館に精通していた。
どうしてそうなったのか。実際に見学したこともなく、

ほとんど旅という旅に出たことのない彼だのに。
一度何かを読んだり、目で見たりさえすれば、多分、
一生記憶に焼きついたのだろうと、私は思う。
ものを見るのも、読書するのも、ひじょうにゆっくり、
ほとんど苦痛を覚えぬばかりにしてするのだった。
しかし、土壌なり、書物なりから奪い取ったひとつの年代、
世界のひとつのかけら、そういうものは自分のなかに深く埋めて、
刻み込んだ形で、何によってももう根こそぎにはされないようにして
持ち帰るのだった。」


セザンヌにとってのルーブル美術館が、私にとっては

大作曲家の自筆譜です。

セザンヌは印刷された画集でオールドマスターの絵画を

研究したのではありません。

本物の絵画=“自筆譜”から、学んだのです。


★自筆譜を勉強しようとする際、

すべてのファクシミリを、買いそろえる必要はありません。

どれか一曲を選び、その曲の自筆譜を徹底的に勉強してください。

その時、できるだけ多くのその曲の実用譜を、見比べて下さい。

“自筆譜と異なっているところが、こんなにも沢山あるのか”と、

気付かれることでしょう。


★また、
真のマエストロの録音された演奏を、

自筆譜を見ながら聴いて下さい。

あらためて、“この曲はこんなに素晴らしい曲であったのか“と、

きっと感動されることでしょう。


★この勉強ができますと、一曲だけであっても、

驚くほどの視界、視野の広さを獲得できるのです。

そうしますと、それまで曇った目で見たり聴いたりしていた

その他の作品が見違えるような輝きをもって、

眼前に迫ってきます。

音楽を学び、演奏する醍醐味を味わえるでしょう。

 

 

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■ST. BLASIENの大聖堂で私の「無伴奏チェロ組曲3番」が演奏される■

2016-03-25 23:06:06 | ■私の作品について■
■ST. BLASIENの大聖堂で私の「無伴奏チェロ組曲3番」が演奏される■
   ~「日経」と「ぶらあぼ」に、私の本が紹介されました~
         2016.3.25  中村洋子
 
 
 
 
 
 
★多忙な日々が続き、ブログの更新が遅れていますうちに、
 
三月もあとわずかとなりました。
 
桜もちらほらと咲き始め、足元に目を移しますと、
 
ムスカリが、可憐に紫の花をつけていました。
 
 
★3月21日は、Bach バッハの331回目の誕生日でした。
 
ちょうどその日、 Wolfgang Boettcher
 
ヴォルフガング・ベッチャー先生が、
 
ドイツの Witten で、リサイタルを開かれ、
 
私の「無伴奏チェロ組曲第3番」の、
 
全曲完全初演をして下さいました。
 
それにつきましては、後日、ご報告いたします。
 
Bachのお誕生日に、マエストロに私の組曲を演奏して頂ける・・・、
 
幸せを感じます。
 
 
★日本経済新聞3月13日朝刊「書評欄」に、
 
私の本≪クラシックの真実は大作曲家の「自筆譜」にあり!≫の、
 
紹介記事が掲載されました。
 
 
 
 

また、音楽情報誌「ブラ―ボ」4月号のクラシック新刊情報でも、
 
紹介されています(197ページ)。
 
 
 
 
 
 

★ Boettcher ベッチャー先生は、2月7日にも
 
南ドイツの ST. BLASIEN ザンクト・ブラジーンの教会 
 
「Dom St. Blasien」で開かれたリサイタルで、
 
私の「無伴奏チェロ組曲第3番」の抜粋を、演奏されました。
 
 
 
 
 
★ST. BLASIENは、スイス国境にある村で、
 
ヨーロッパで4番目に大きなドームをもつ教会があります。
 
その音響効果の素晴らしさから、
 
著名な音楽家によるコンサートがよく開かれます。
 
 
 
 
リサイタルの音楽評が書かれた新聞も、送られてきました。
 
以下は、Badische Zeitung バディッシェ・ツァイトゥングと
 
いう新聞の電子版です。
 
 
 
 
 
 
 
 
★          PROGRAMM
 
・J.S.Bach            Suite d-Moll  BWV1008(1720)
・V.D. Kirchner      Und Salomo Sprach(1987)
・A. Saygun           Allegretto(1955)
・Yoko Nakamura  5.Satz aus der 3. Suite (2009)
 
      Pause
 
・G.Kurtag             4 Stücke (1984-1999)
・J.S.Bach             Suite C-Dur  BWV1009
 
07.Februar 2016      Musitektur Festival in St.Blasien
 
という堂々たるプログラムです。
 
 
★先生のお手紙にも”Nice critic”とありました。
 
Karin Steinebrunnerさんによる批評も、
 
彼女自身がリサイタルに感動したことが実感できます、
 
とても良い評でした。
 
 
★ほんの一部を訳してみます。
 
『ドイツのチェリストの中で長老(Doyen)である
ヴォルフガング・ベッチャーは、ザンクト・ブラジーンのドーム
(大聖堂)Domでリサイタルを開きました。
 
 大聖堂丸屋根の中心からちょうど真下の位置に、
彼は演奏用の椅子を置きました。
ベルリン芸大教授で、長くベルリンフィルのソロチェリストを
勤めた彼は、J.S.Bachの二つの「無伴奏チェロ組曲」で、
新しい領域の音楽を包み込んだ、“音楽の花束”を
抱きかかえてやってきました。
彼は眼を閉じ、瞑想するかのように、
Bachのニ短調「無伴奏チェロ組曲第2番」
演奏し始めました。・・・・・・略』
 
 
 
 
 
 
★  Boettcher ベッチャー先生の
 
Bach「無伴奏チェロ組曲第2番」の演奏は、
 
和音の根音を長く引き伸ばすことで、
 
フレーズの終結部が延長されていきます。
 
耳を澄まし、沈思黙考し、音が次第に消え去り、
 
そして鳴り止むのを、先生ご自身がじっと聴いていらっしゃる、
 
という演奏だったようです。
 
 
★大聖堂の素晴しい音響空間だからこそ、可能だった演奏
 
かもしれません。
 
以前、教会で録音したリヒテルの平均律が素晴しかったことを、
 
思い出しました。
 
ヨーロッパ音楽の底力でしょう。
 
ホール、音楽会の会場も楽器です。
 
今回は大聖堂が巨大な楽器となりました。
 
 
★私の作品につきましては
 
『ベッチャーは中村洋子の「無伴奏チェロ組曲第三番」の
Eicheln rieseln von den Bäumen(木の実時雨)と、
トリオの関係にあるMorgenreif im Spätherbst(晩秋の朝霜)を、
生き生きと演奏しました。
その際「木の実時雨」の、霞のかかったような情景描写を、
一連のピッツィカート(弦を指で弾く奏法)に移し変えて
演奏しました。
そのピツィカートはスタッカート(弓で、レガートではなく、
短く区切って弾く奏法)を経て、
流れるようなメロディーに変化していきます。
トリオの部分は、優美で気品のある「晩秋の朝霜」です。
ゆったりと伸びやかなレガートの旋律線は、グリッサンド
(左指を弦の上を滑らせながら、右手はその弦を弓で弾く奏法。
ヒューッという音が出ます)やフラジオレットで
装飾されています。』
 
 
 
 
 
★上記のフラジオレットが奏されるところは、
 
例として二か所挙げられます。
 
まずは「晩秋の朝霜」の5、6小節目です。
 
この場合、指を押さえた上、余った指で弦の3等分点に
 
軽く触れる奏法です。
 
完全5度上を軽く触れることで、1オクターブと完全5度上の
 
倍音がでます。
 
 
★e-e-A-Fの音の位置を指で押さえ、
 
余った指で残りの弦の長さの三分の一の所を、軽く抑えますと、
 
h¹-h¹-e¹-c¹の倍音が出ます。
 
音色はか細く、別世界の音のように、幻想的です。
 
Ries & Erler 社から楽譜が出版されていますので、
 
是非ここを確認して、CDの音で確かめて下さい。
 
 
 
 
 
★二つ目の例は「木の実時雨」の41小節目です。
 
h¹の二分音符が、それに続くe²の八分音符にかけてグリッサンドし、
 
そして、そのe²は4等分点を軽く押さえます。
 
それにより、2オクターブ上の倍音が得られる
 
フラジオレット奏法です。
 
指はe²の2オクターブ下のe音を強く抑え、
 
残りの弦の四分の一の所を軽く触れています。
 
ここも大変美しく、情緒のある音がでます。
 
楽譜とCDで是非体験して下さい。
 
 
 
 
 
 
★この長大で心のこもった批評文を読みますと、
 
日本の音楽会評との落差に、愕然とします。
 
この評者は、楽譜を十分に読みこなせるだけでなく、
 
和声や対位法の能力もあると思われます。
 
そして、なにより音楽への愛情がほとばしっています。
 
美辞麗句と形容詞だけの日本の音楽会評とは異なります。


★Bachの「無伴奏チェロ組曲」全6曲の調性については、

詳しく分析した論文を、私の著書
 
≪クラシックの真実は大作曲家の「自筆譜」にあり!≫に
 
掲載しております。
 
 
 
 
 

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■インヴェンションを小学生で学べば、本物の音楽が身につき、終生忘れない■

2016-02-27 22:44:41 | ■私の作品について■

■インヴェンションを小学生で学べば、本物の音楽が身につき、終生忘れない■
~《クラシックの真実は大作曲家の「自筆譜」にあり》に新しいレビュー~
                 2016.2.27    中村洋子

 

 


私の著書《クラシックの真実は大作曲家の「自筆譜」にあり》に、

新しいブックレビューを、四人の方からいただきました。

 

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■みずから学ぶための手引き
               2016年2月27日

ピアノの勉強は小学生で止めてしまいました。

「大人になったとき続けていたらよかったのに、と思うよ」
という周りの大人たちの声を背にしながら。

それから人生の折々に、音楽は宿題のように感じて、
そのたびにあれこれ書物を手にとりながらも、
独り学ぶ方法が分かりませんでした。

好きだったバッハのインヴェンション、シンフォニアから
再開できるかと、
楽譜を用意した直後に、
WEB検索で著者のブログを知ったのは一年前のことです。

あやうく別の道でまた迷うところだったと、楽譜を買いなおしました。

ブログの教えてくださることを音で確かめながら進めることにしました。

以来、美しい写真とともに端正なブログの文章を愛読しております。

力づけられたことを数点あげれば、
 ・自分の感じ方を大切に
 ・弾けなくとも弾ける範囲で自分で音にして聞くこと
 ・無味乾燥な和声学の教科書や用語に惑わされることなく、
  曲そのものから学ぶこと

また、fingeringが単なる弾きやすさのための指番号ではなく、
曲の構造を示すために使われることを、初めて知りました。

この度、ブログの内容を補って本を出版されると知り早速求めました。

本では、著者の手書き譜がさらに沢山加わり、ていねいに説明されています。

暗譜しようと努力することは、私にとっては曲をまず理解するために
役立っています。

何度も忘れますが、譜面を離れて思い出し、
そこで再度譜面を見ると、初めて気づくことがあります。

これからの生活の中で少しずつ、音をよく聞き、味わい、
楽しむことができる、
その手引きとなる本だと思います。

どなたでもご一緒に学んで参りましょうという中村先生のことばに
励まされます。
                               (了)

----------------------------------------------------------------------------------


お好きでした「インヴェンション & シンフォニア」の勉強を再開された、

という、とても嬉しいお話です。

それは、小学生の時代に「インヴェンション & シンフォニア」を学ばれ、

知らないうちにそれが身につき、滋養となり、宿っていたからなのです。


★私の著書の Chapter 2 ≪対位法とはどういうものでしょうか≫に、

以下のように書いております。

 

-----------------------------------------------------------

≪  インヴェンションを学べば対位法が身につく

 「対位法」について、余すことなく語っているのが、Albert Schweitzer アルベルト・シュヴァイツァー(1875-1965)です。バッハのオルガン作品について最高のオルガニストであったシュヴァイツァーの著書「Johann Sebastian Bach」には、インヴェンションについての記述があります。本文中の「多声部の作曲法」は、まさに「対位法」そのもののことです。

  現代の平均的な音楽家が、作曲理論について、 乏しい知識しかもちあわせていなかったとしても、その音楽家が、もし本物の芸術と偽物の芸術とを厳しく見分ける力を、もっていたとすると、それは、まさにバッハのインヴェンションのお陰である、ということができる

  このインヴェンションを、練習したことがある子どもは、ピアノ習得のための一過程として、機械的に練習していたとしても、その子どもは、 多声部の作曲法を、身につけている、といえる。それは決して、消え去ることのないものである。

  それを習得した子どもは、どんな音楽に接しても、 本能的にその音楽の中で、インヴェンションと同じように、 多声部が巧みに見事に織り込まれているかどうか、探求するようになるのである。そして、多声部が紡がれていない部分は、 貧困な音楽であると感じるのである

 この言葉を、もっと単純化すると、次のようになります。
≪インヴェンションを学びさえすれば、対位法=多声部の作曲法が身につき、本物の芸術と偽物とを区別できる能力が自然に養われる。そして、それは終生消え去らないのである≫(子どもに限らず大人でも、同様のことが言えると思います)。
 初心者でも弾けるくインヴェンションに対位法が縦横に張り巡らされている
-------------------------------------------------------------

 

 

★このシュヴァイツァーの言葉どおり、≪インヴェンションを、練習したことがある子どもは、ピアノ習得のための一過程として、機械的に練習していたとしても、その子どもは、 多声部の作曲法を、身につけている、といえる。それは決して、消え去ることのないものである。

≪インヴェンションを学びさえすれば、対位法=多声部の作曲法が身につき、本物の芸術と偽物とを区別できる能力が自然に養われる。そして、それは終生消え去らないのである≫(子どもに限らず大人でも、同様のことが言えると思います)。

-------------------------------------------------------------
音楽を楽しむのに、年齢は関係ございません。

Bach先生は、懐が深いのです。

Bachの音楽に触れ、勉強すれば、

シュヴァイツァーが書きましたように、

《本物の芸術と偽物の芸術とを厳しく見分ける力》が備わるのです。


★そうなれば、Bach先生はあなたの傍らに立ち、

直接、優しく指導してくださっているのです。


★日本では、今までも、そして今も、Bachを苦手とされる

ピアノの先生方が、多いようです。

苦手意識をもって、嫌々Bach を教えていらっしゃる方も、

少なからずおられるようです。

その結果、生徒さんたちがBachを楽しみ、感動しながら学ぶ機会を

逸してしまいます。

本当のクラシック音楽の扉を、そうした先生に通ったがために、

閉ざされてしまうことは、残念で、そして生徒さんにとっては、

とてもお気の毒なことです。

 

 


《・自分の感じ方を大切に
  ・弾けなくとも弾ける範囲で自分で音にして聞くこと
  ・無味乾燥な和声学の教科書や用語に惑わされることなく、
    曲そのものから学ぶこと
   また、fingeringが単なる弾きやすさのための指番号ではなく、
    曲の構造を示すために使われることを初めて知りました


無味乾燥な教科書ではなく、Bachの作品を教科書として、

Bachを学びさえすれば、商業主義の大宣伝に惑わされることなく、

自信をもって、ご自分の感性で、審美眼で、

いい音楽、悪い音楽を見分けることができるのです。


Edwin Fischer やRöntgen、Bartókなどによる秀逸な校訂版は、

Fingeringによって、作品の構造を解き明かしているのです。

しかし、それはほとんど理解されていません。

上記の校訂版が絶版になりかかっている事実が、

それを物語っています。

 

 

--------------------------------------------------------------
■より大きな学び
        愛好家 2016年2月21日

手書きの譜例付きで初心者の私でもわかり易いアナリーゼからは、バッハやショパンなど作曲家の意思に直結する和声や構成を愉しく学べます。「なぜバッハの音楽が美しいのか」といった私の「永遠の謎」が解明されるような感覚を味わい、一音一音が秘める素晴らしさにさらなる興味を掻き立てられます。人それぞれ音楽に使える貴重な時間を、濃密に有機的に学べるような示唆が沢山語られ、生涯出会う楽曲共通の課題やアプローチの仕方が凝縮されています。クラシック音楽を演奏する、聴く、とはどういう事かという原点を考える機会を頂き、教養のような普段より大きなことを学ぶことができ、感謝いたします。

-------------------------------------------------------------
《バッハやショパンなど作曲家の意思に直結する和声や構成を愉しく学べます。「なぜバッハの音楽が美しいのか」といった私の「永遠の謎」が解明されるような感覚を味わい、一音一音が秘める素晴らしさにさらなる興味を掻き立てられます》

 

★「なぜバッハの音楽が美しいのか」・・・

バッハの音楽を美しいと感じることから、すべてが始まります。

美しいと感じさえすれば、もう勉強が始まっています。

 

 


----------------------------------------------------------
■音楽の学び方
             まりねこ 2016年2月20日

「音楽を深く知るには作曲家の自筆譜を研究すること」--中村さんが主張するこの本を読み、心の底から、なるほど!と思いました。私は、権威ある老舗の出版社の楽譜なら間違いはないと信じ、子どもの頃からピアノやチェロなど練習をしてきました。しかし、それが空しいことだったのでしょうか。確かに一般の楽譜は原作者の思いもよらない内容が書き加えられたり変更されたりしていることが少なくないようです。コピーから学んでも単なるニセモノの上塗りにすぎないとも言えるのでしょう。今まで展覧会で見るだけだった自筆譜にじかに接することで、これからは作曲家の本当に表現したかった音楽について考え、その真の面白さを探していきたいです。


★《権威ある老舗の出版社の楽譜なら間違いはないと信じ・・・、
今まで展覧会で見るだけだった自筆譜にじかに接することで、これからは作曲家の本当に表現したかった音楽について考え、その真の面白さを探していきたいです》


★不思議な感覚ですが、自筆譜を学んでおりますと、

その作品から、音楽の真の楽しさが、つくづく感じられるのです。

作曲家の肉声が聴こえ、このように演奏していたと、

音を伴ったかたちで、眼前に現れてきます。

しかし、実用譜からは、その生きた音楽は固く口を閉ざし、

冷たい沈黙があるのです。


★それは、例えば Chopinが、スラーをフレーズの始まる符頭の

遥か前から書き始めている場合がよくあります。

これは、音が実際に発せられる前から既に、

フレーズの音楽が始まっている、という意味です。

実用譜は、四角四面に冷たく判で押したように、符頭から始めています。


★あるいは、一見しますと一つの和音にみえるところでも、

作曲家は、個々の音の符尾の向きを上か下か区別して

書き分けている場合がよくあります。

符尾の向きで、どの声部の音かを示しているのです。

どの声部かが分かりますと、音色も決定できます。

アルトとテノールを比べますと、女声、男声の差があります。

ソプラノとアルトでも、大違いですものね。


実用譜は、それらを全部一つの方向に“串刺し”のように揃えてしまいます。

それでは、作曲家の意図は見えてきません。

色褪せたモノトーンの音楽しか、表現できません。

 

 


--------------------------------------------------------
■おもしろい
               なまえ 2016年2月19日

ブログを見ていたので読みました。
暗譜の仕方が面白かったです。
自分は23歳くらいまで何もしなくても15分くらいの曲(バッハ〜ドビュッシー、
ラフマニノフのエチュードも)1週間で覚えてしまう人で、
1ヶ月で本番でも全く平気だったのでこういう方法をしたことがありませんでした。
演奏者は若い時はほとんどそうではないかと思います。
年をとってから苦労してます。
機械的に区切るのは抵抗がありますが
(例えば、セリフを文字数で単語の途中で区切って覚えるのことはないだろう)
とりあえずはやってみて判断しようと思います。

声部わけの練習は普通の事だと思いました。
加えて片方を声で歌うのが常識かも。


★《23歳くらいまで何もしなくても15分くらいの曲(バッハ〜ドビュッシー、
ラフマニノフのエチュードも)1週間で覚えてしまう人で、
1ヶ月で本番でも全く平気だったのでこういう方法をしたことがありませんでした。
演奏者は若い時はほとんどそうではないかと思います。
年をとってから苦労してます》


《年をとってから苦労してます》

若い時には、確かに暗譜は楽ですね。

正確に申しますと、「楽に思える」ということではないでしょうか。


★ミスをすることなく、最後まで弾き通す能力と、

本当の暗譜は、少し異なった性格かもしれません。

もちろん、記憶力はだんだんと衰えていくのは否定できませんが、

毎日毎日、倦まず堪えまず声部の一つ一つを検討しながら、

大作曲家の作品を勉強する、

それこそが、本当の「音楽を楽しむ」ことになると、思います。

「暗譜」は、その結果に過ぎないのかもしれません。

 

★Wilhelm Kempff ヴィルヘルム・ケンプ (1895-1991)や、

Arthur Rubinstein アルトゥール・ルービンシュタイン

(1887-1982)など、ヨーロッパの本当のマエストロが、

演奏家として最晩年の80歳代まで、暗譜で演奏をしていた、

という事実を、深く噛みしめたいものです。

Rubinstein ルービンシュタインが、若い頃の勢いのある奔放な

演奏から、中年以降、精緻にして考え抜かれた演奏へと、

変貌していったことも、関連しているでしょう。

 

 

 


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■「まだクラシック音楽界も捨てたものではない」との書評を頂きました■

2016-02-19 23:59:43 | ■私の作品について■

■「まだクラシック音楽界も捨てたものではない」との書評を頂きました■
             2016.2.19      中村洋子

 

 


★私の著書≪クラシックの真実は大作曲家の「自筆譜」にあり!≫

書評が、アマゾンのカスタマーレビュー欄に、新たに投稿されました。

大変に好意的な内容ですので、ご紹介いたします。


★真に音楽を理解し楽しむ為の鍵がここに在る
2016年2月18日

・音を楽しむと書いて音楽。楽しくないのは音楽じゃないとばかり、軽佻浮薄な流行音楽に溢れ返っている風潮は今に始まったことではない。
それに反して最近の所謂クラシック音楽と称される西洋音楽の衰退ぶりには目を覆うものがある。

・それはマエストロ不在の現代音楽の危機的状況そのものである。
一昔前までは、秋葉原でも荻窪でもよい、たとえ儲からなくてもごく少数のクラシック音楽好きの為に、レコード店では数多の巨匠演奏による名盤LP/CDがふんだんに展示されていたものだった。

・ところが今ではCDショップに行くと、「クラシックコーナー」は風前のともしび状態である。演奏家はアイドルのように顔立ちの良い女性だらけ。別にきれいな女性が悪い訳ではない。しかし顔より音楽性だろうと思わず突っ込みを入れたくなる。
楽しくなければ音楽ではないも良いが、そもそも音楽は人類にとって、もっと奥深く関わりのある存在だ。既に古代中国では孔子の時代に、詩に興り・礼に立ち・楽に成る、即ち音楽を習って人格の完成を図るのが最上級の教養とされた。

・そんな古い話をしなくても現代音楽だって、煎じ詰めて元を辿れば大バッハの音楽語法が土台である。

・そう、モーツァルトやベートーベン、ショパンだけではなく所謂現代音楽家から坂本龍一に至るまで、バッハのお世話になっていない音楽家はいない筈。
ところが、音楽を生業にしているプロですら、バッハの教養が根底にある者がどれだけいるのか疑わしい現実がある。

・本書の著者で作曲家の中村洋子氏は、音大生のほとんどは基本的な和声・対位法を理解していない、とある意味痛烈な批判をされているが、それが現実なのだろう。

・いやクラシック専門の音楽評論家ですら、音楽史的なバッハ音楽の意義について自覚している者が少ないのではないかと感じる事が時折ある。
こんな有様ではクラシック音楽が衰退するのは当然であろう。

 

 

・氏は、音大教育の問題点を指摘する。
音楽のそしてバッハ音楽の奥義を知るうえで最重要な和声・対位法がまともに教育されてこなかったツケが来ているのか。

・学ぶ側よりもむしろ教える側の資質に問題があるのではないか? 
巷の書店には音大生向けの音楽学に関する専門書は数多く存在するが、氏はそのようなものを勉強しても役に立たないと豪語する。これはハッタリでも何でもない。氏は真実を述べているに過ぎないのだろう。

・本書34ページでは、大家とされる作曲家とピアニストによる対談本を痛切に批判している。

・氏は、彼らが「バッハの独創性、天才性が読み取れない」人達であると嘆いている。

・私が氏の立場だったら舌鋒鋭く「大先生」の馬鹿さ加減を罵倒するところ。
しかし日本人がそれをやると喧嘩になる事必定。
だが氏は、gentleにさりげなく、むしろ大先生の教養のなさを憐れんでいるかのようだ。スマートである。物事須らくこう行きたいものだ。

・権威が正しいとは限らないのはどの分野にも当てはまることだろう。ところが日本人は、権威に殊の外弱い。自分の頭で考える習慣が身についていない国民性、これは一朝一夕に改善するものではない。

・権威というフィルターを通さず音楽そのものに向き合うしかあるまい。しかしそうは言っても、「只管打座」では凡人は「悟り」を開けない。禅の臨済宗に「公案」が有る様に、音楽にもやはり何らかの指南が必要なことは言うまでもない。
楽曲注釈学が発達し、シェンカー・ロラン・リーツラーといった歴史的に有名な著者による楽曲分析本にいつでも触れることの出来る恵まれた我が国でも、
こと和声・対位法に関しては真に身につく名著がない。何故なのか?

・諸説あろうが、私はその理由の一つはバッハ音楽に対する愛情の差ではないかと思う。氏の文章はバッハの音楽への愛情に満ち溢れている。

 

 

・「和声を学ぶための最良の教科書は<バッハのコラール>なのです」と述べる氏の精神には、音楽学の高い教養が裏打ちされているだけではなく、バッハの音楽への深い尊敬・愛情が感じられる。これは単純明快で奥の深い指南である。

・バッハの音楽を愛する音楽愛好家のみならず、音大生、更には広く音楽で生計を立てているプロの音楽家への最高の助言であると感じた。

・分厚く高邁そうな大著を読む暇があったら、まず本書を紐解くべし。
但し本書は氏のブログからの抜粋推敲文であり、傍らで氏自らが語りかけているように親密で読みやすい良文である。

・気軽に楽しく読める極上の音楽学随筆集と言えよう。
類書はあるようで、実際にはまず他に例を観ない。

・私は本書を読み、まだクラシック音楽界も捨てたものではないと勇気を貰い、またバッハの音楽を真に理解し楽しむ為の重要な道筋を教えられた。

・この書が、ただ音楽関係者ばかりでなく、音楽を愛する者一般ひろく江湖に迎えられることを望むものである。

 

 


★クラッシック音楽は、本来その時代の「最高の知性」により創られ、

演奏される音楽です。

私がいま聴いておりますCDは、 Wilhelm Kempff

ヴィルヘルム・ケンプ(1895-1991)が1961年に来日し、

ベートヴェンのピアノソナタ全32曲を、7夜にわたり

全曲演奏した際の、実況録音CDです。

NHKがラジオ放送用に収録した音源を、CDにまとめたものです。
                   (KKCー2064/72)

 

★その際のインタビューで、 Kempff は次のように話しています。

「ベートーヴェンのソナタは、彼の偉大さと、太陽の輝く様な明るさを
彼の音楽の言葉で表したものです。
その言葉は、我々に本当の喜びを与えて、尽きる事がありません」


Kempff は同時に、

「バックハウス、フィッシャー、ギーゼキングといった
大家の後には、才能はあっても、大きな人間性のある人は少なくなった」

と、嘆いています。

いまから半世紀以上前の1961年です。


★書評で「私は本書を読み、まだクラシック音楽界も
捨てたものではないと勇気を貰い、
またバッハの音楽を真に理解し楽しむ為の

重要な道筋を教えられた。」と書かれています。

とても嬉しく、励まされる言葉です。


 ★Kempff の嘆きは、いつの時代にもあったものです。

≪クラシックの真実は大作曲家の「自筆譜」にあり!≫の、

Chapter 9 『 Woody Allen ウッディ・アレンの映画

「Midnight in Paris」を見る 』 で、

その永遠ともいえるテーマについて、私なりの意見を述べています。

この映画は、そのテーマを寓話的に面白可笑しく描きながら、

本質を突いた、見事な映画です。


私はこの本で、毎日の音楽生活、

本物の音楽とどう向き合っていくべきかを、

皆様にお示しできたと、思っております。

 

★銀座・山野楽器2F・CD売場に、

私の本とSACDが丁寧な紹介文を添えて、展示されています。

 

 

 


★こちらは、銀座のヤマハ楽器 楽譜・音楽書 売場です。

 

 

 

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