■ドイツで、私のチェロ四重奏曲集が出版されました■
~≪Zehn Phantasien für Celloquartett(Band 2, Nr.6-10)
für junge Cellisten
チェロ四重奏のための10のファンタジー(第2巻、6-10番)
若いチェリストのための≫~
2017.12.16 中村洋子
★つい半月前まで、錦秋に輝いていました山々が、
白く雪を被り、冬の装いです。
あと数日で、12月22日の「冬至」。
≪年暮ぬ笠きて草履はきながら≫ 芭蕉
★年の暮れであっても、旅の途上である、すなわち、
暮れであっても、休むことなく、句作の創造を
続けている、という決意とその行いを、
芭蕉は詠っているのでしょう。
★おおよそ1年半かけて書きました
「Bärenreiter ベーレンライター・平均律第1巻楽譜」添付≪解説書≫
http://www.academia-music.com/shopdetail/000000177122/は、
お陰さまで、皆さまから暖かく迎えていただきました。
★1行を書くのに、その傍証を固めるため、1ヶ月かかる・・・
というような、遅々とした歩みの末に完成しました。
昨年の大晦日は、執筆中に除夜の鐘が聞こえていました。
★私にとって幸いでしたのは、その執筆と並行しまして、
「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」の、
アナリーゼ講座を、開催していたことでした。
「Goldberg-Variationen」を深く読み込みますと、
「平均律クラヴィーア曲集第1巻」が、厳かに顔を現します。
それは、私がいままで見て勉強しました「平均律第1巻」の姿を、
さらに輝かしく照らすものでした。
★私の≪解説書≫2~8ページにかけてをご覧ください。
「平均律第1巻」の冒頭に、Bachが自ら書いた≪序文≫の訳と、
その訳に対しての、詳細な分析・解説が施されています。
★ここでBachは、【長3度】即ち「ド レ ミ」と、
【短3度】即ち「レ ミ ファ」を、
平均律第1巻の「核心」としています。
★それでは、「Goldberg-Variationen ゴルトベルク変奏曲」は、
どうでしょうか?
【長3度】即ち「ソ ラ シ」と、【短3度】即ち「ソ ラ シ♭」です。
★それを手掛かりに、「Goldberg-Variationen」を読み解きますと、
この変奏曲集が、「平均律第1巻」を更に、推し進めていった曲集
であることが、分かってきます。
★「平均律第1巻」の二つの方向指示器は、真っ直ぐに、
「平均律第2巻」と、「ゴルトベルク変奏曲」を指し示しています。
来年1月から始まります「平均律第1巻・アナリーゼ講座」で、
それを詳しく、お話いたします。
http://www.academia-music.com/new/2017-10-26-151213.html
★さて、私の本分は「作曲」です。
ドイツで、チェロ四重奏のための作品が、出版されました。
≪Zehn Phantasien für Celloquartett(Band 2, Nr.6-10)
für junge Cellisten
チェロ四重奏のための10のファンタジー(第2巻、6-10番)
若いチェリストのための≫
http://www.academia-music.com/shopdetail/000000177497/
★「若いチェリストのための」としていますが、
敷居を低く、門戸を広く開放するためです。
事実、私の「チェロ二重奏」
≪10 Duette für 2 Violoncelli (Ries & Erler Berlin)≫は、
http://www.academia-music.com/shopdetail/000000059545/
Wolfgang.Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー先生をはじめ、
ヨーロッパで大人の演奏会に組み込んで頂いています。
★Robert Schumann ロベルト・シューマン(1810-1856)の
「ユーゲント・アルバム」が実は、大人のピアニストにとっても、
大切な曲集であるように、私のこのチェロ四重奏も、
合奏の喜びを、チェリストの皆さまにお届けできることを、
願っております。
★≪Zehn Phantasien für Celloquartett(Band 2, Nr.6-10)
für junge Cellisten
チェロ四重奏のための10のファンタジー(第2巻、6-10番)
若いチェリストのための≫に、
収録されています曲を、順番にご紹介いたします。
★第6番:Ⅵ Vier Kanarienvögel - Four canary birds
四羽のカナリア
Bachの妻・ Anna Magdalena Bach アンナ・マグダレーナ・バッハが、
カナリアを愛していたいたことと、
Gigue=CANARYの「カナリア」を、もじっています。
CANARYとは、" A dance popular in Europe during the Baroque
period・・・ that come to Spain from the Canary Island.
(The New Grove Dictionary of Music&Musicians)
付点のリズムと軽快なテンポが、特徴的です。
Bach「無伴奏チェロ組曲」は、
第5番c-MollのGigueがこのCANARYです。
★第7番:Ⅶ Abendämmerung 夕暮れ
しみじみとした夕暮れ。
実はこの曲は、ピアノソロで完全に弾くことができます。
チェロ四重奏をピアノ用に、そのまま大譜表に書きますと、
このようになります。
★Maurice Ravel モーリス・ラヴェル(1875 - 1937)の、
「Ma Mère l'Oye マ・メール・ロワ」の第1曲、
≪Pavane de la belle au bois dormant
眠りの森の美女のパヴァーヌ≫
が、連弾曲でありながら、もし、指を広げて10度音程を
弾くことが可能でしたら、
ソロとして弾くことも、出来るのと同じです。
★この「夕暮れ」は、自分の曲ですが、秘かな「お気に入りの曲」です。
一人で時々、弾いております。
ピアニストのリサイタルで、アンコールとしてコンサートの最後に
演奏することも可能です。
★冬至に近づき夕暮れは、光がどんどん乏しくなっていきますが、
その後には、明るい春や朝日が待っています。
★第8番:Ⅷ Spanischer Garden スペインの庭
これも、ピアノ独奏で弾けそうです。
しかし、これは四人で合奏しましたら、
どんなにか楽しいことでしょう、という曲です。
スペイン風の後打ちのリズムを、和気あいあいと合奏する楽しみ、
これを、味わってください。
★第6、7、8番は、調性の曲でしたが、第9番は「無調」の曲です。
Ⅸ : Drache im Zauberland 魔法の国のドラゴン
dodecaphony 十二音技法の対位法を、楽しく学べます。
★いよいよ、全10曲の最後の曲となりました。
Ⅹ: Postludium, Krokusblüte Frühlingserwachen
後奏曲 クロッカスの花
明るく、爽やかな春の始まりです。
Sehnsucht nach dem Frühling 春への憧れ
★チェロ四重奏だけでなく、いろいろな楽器の組み合わせや、
ピアノソロでも是非、弾いてみて下さい。
一人でも、合奏でも、楽しむことができます。
★また、ソルフェージュのレッスンにも是非、お使いください。
楽譜を読むこと、書き取ることの練習は、
通常、「ト音記号」から始めることが多いのですが、
レッスンの早い段階で、「ヘ音記号」に慣れることも大切です。
四人のチェロのパートの一人分を、
生徒さんに歌わせたり、書き取りをさせてください。
残り三人分(三声)を、先生がピアノで弾けばよいのです。
楽しい音楽のひと時。
Moments Musicaux です。
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