僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

四国自転車旅行 ⑥旅の終わり

2010年09月12日 | ウォーク・自転車


 


  

…まぁそういうわけで、四国自転車旅行も最終日を迎えた。
昨日までと違って厚い雲が空を覆い、今にも雨が降りそうな天気だ。

早朝6時10分に大洲の国民宿舎を出て、内子、中山と走り、このサイクリング最後の「大物」の峠となる犬寄峠を越えて伊予市に入った時は、やれやれ…と一段落した気持ちだった。地図を見ると、ここから松山、北条、今治、そしてフェリー乗り場のある東予まで、峠らしいものはない。旅の最後は、快適な走りで締めくくることができそうだ。

午前10時、はるか前方に松山城が見えてきた。

松山はさすがに人口30万人を超す大都市で、活気もある。

松山駅の2階で早めの昼食をとったあと、市内をぶらりと走る。
たまたま通りがかった子規堂というところに「現存する最古の軽便機関車」という「坊ちゃん列車」があったので、その前で写真を撮ってもらった。

11時15分に松山を出発し、1時間後に北条市に入った。

空はいつの間にか、雲が消え、真上から強い日が射していた。

海添いの道路脇で、自動販売機で買ったスプライトを飲んでいると、前を通り過ぎようとした麦わら帽子をかぶったおじさんが、僕を見て飛び上がらんばかりに驚き、
「おお!その肩、えらい日焼けじゃなぁ。水ぶくれになっとるぞ。体に悪いから袖のある服を着なさい」
と僕の肩を指さした。
「え…?」と、首を曲げて自分の肩に目をやったら、ほんとだ、ひどい水ぶくれになっていて、我ながらびっくり。ランニングシャツなので、肩がむき出しになっていた。僕はその場でリュックから半そでシャツを取り出し、それに着替えた。麦わら帽子のおじさんは、よしよしと頷き、「気をつけてな」と言い残して去って行った。

ふ~む、親切な人もいるもんだ。大阪なら、そういうことを言われることは、まずないだろう、と思う。

今治まであと5キロというところで、急に空が真っ暗になり、ポタリと雨粒が落ちてきた。直後、ザザーという音とともに周りの景色が一変した。うわぁ、大雨だ~。とても走っていられる状態ではない。急いで民家の軒下に逃れ、そのまま30分間、じっと立ちんぼうで雨がやむのを待っていた。ぐすん。

やがて小降りになってきたので、この旅行で初めて雨合羽を着用して今治に向かった。

今治市に入った頃から雨がやみ、やがて青空も見えてきたので、今治駅に着いた時は安心して缶ビールを買って飲んだ。うまい! あと20キロ。1時間程度で最終地の東予の港に着くだろう。旅もいよいよフィナーレを迎えるのだ。

僕はすっかり旅を終えたような気になって、ルンルン気分で自転車に乗り、最後の20キロに臨んだが、信じられないことにまた豪雨が襲いかかり、さらに今治と東予を隔てる山中では、雷がゴロゴロ~っと鳴り響いた。今度は逃れる民家などない山の中である。怖がりの僕は、息をするのも忘れるほど夢中でペダルをこぎながら、落雷で死ぬのではないか…と、大げさではなく本気でそう思い、生きた心地がしなかった。

それにしても、天に心の油断を見透かされたような雷雨の襲来であった。

あぁ、早くフェリー乗り場に着きたい。大阪へ帰りたい。家が恋し~い。

最後の最後に荒々しい洗礼を受けながら、やっとの思いで東予市に入った。

東予港のフェリーの乗り場がわからず、まごついたりして時間を費やしながら、ようやく見つけて到着した時は、午後5時だった。雨はもう上がっていた。

フェリーの出航時間は午後8時50分。時間は十分ある。ゆっくり日記などを書きながら、缶ビールで祝杯を上げよう。もう、油断してもいいだろね。

とりあえず自宅に電話をして、妻に無事ゴールインしたことを報告した。

自転車走行距離は、676kmだった。

 

 

  
   この旅行で最後の峠となった犬寄峠から「下界」を見渡す。

 

 
 北条市付近で。 ゴールが近づくと、景色もまた格別の味わいがある。
 
 

   
   雨も上がってやれやれ。
  もうゴールまでスイスイ~…と思っていたら、
  このあと、雷雨に見舞われて、あわてふためく一幕が…。



 
 青息吐息で東予港のフェリー乗り場に到着。
 あぁ~、この瞬間をどれほど待ち望んでいたことか。
  

   
   東予~大阪までのフェリーのチケット。
  上が自転車、下が人間です。  
  (昭和53年(1978年)7月12日)

  

 

 

 

 


 

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2 コメント

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no-title (アナザービートル)
2010-09-13 11:59:11
昔の写真の保管、データの保管、出来事の詳細にわたる記録と保持、このあたりの几帳面さには頭が下がりますね。
 旅に出て家に帰りたくなるという下りは、やはり家庭持ち、学生時代のようには行きませんね。  多分学生時代だったら旅の終わりを悲しむ面もあったのではありませんか?(笑)
 よく分かりませんが。
 
返信する
ブログは有難いです (アナザービートルさんへ)
2010-09-14 04:16:36
性格自体は几帳面ではないのですが、こういうことに関してはきちんと資料を整理しておかないと旅行が終わった気がしない、という感じです。
まぁ、貴重な体験を風化させたくない気持が強いのでしょうね。
そして、いつかはこれらの体験を本にでも書いて残したい…という意欲も当時はありました。(今はすっかり萎えていますが)。

そのかわり、ネットのブログというものが出現しました。
それを活用して、旅行記を読んでいただけることができたのは、思いも寄らぬ幸せでした。資料を残しておいた甲斐があったというものですね。
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