百舌鳥・古市古墳群の世界遺産の話の続きですが…
約一ヵ月前に行われた藤井寺市の市議会議員選挙では22人が立候補しました。選挙ポスターには顔写真と共に、それぞれの主張や公約が書かれていたわけですが、その中で一人、驚くようなことを書いていた若い男性候補者がいました。
その主張というのが「百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録には反対!」というもの。反対の理由は「治安が悪くなるから」と書かれていました。
市全体が「地元の古墳群を世界遺産に!」という空気に満ちている中、こういう主張を掲げるのは不思議だったのですが、結果は(予想通りと言うか)話にならないほどの少ない得票数で、立候補者22人中、21位で落選しました(当選者は14人)。
やっぱりね~
しかし、これと似たような話をモミィがしていました。
学校で友だちと世界遺産の話題が出た時、「世界遺産になったら、城山古墳公園で、もう遊ばれへんようになるんとちゃう?」という話になったとのこと。
城山古墳公園というのは、わが家の近くにある古墳で、ほかの古墳群はほぼ全て立ち入り禁止なのに、ここだけは自由に入れて遊べるのが大きな特徴です。モミィも小さい頃からここでよく遊んでいました。
これが近所にある城山古墳公園です。
小さかったモミィを連れて、僕らもよく遊びに行きました。
しかし、世界遺産に登録されたら管理が厳重になって、遊べなくなるのでは…と、もっぱら心配する声が上がっているらしい。「世界遺産みたいなん、いらん。今のままでえぇ」という子もたくさんいる、ということでした。
ふむ。でもねぇ…。そんなことはないと思うんだよね。
古市古墳群は藤井寺市と羽曳野市で、幅広く30か所以上に散らばっている。で、世界遺産に登録されたからと言って、観光客がこのあたりにど~っと押し寄せるなんてことはまずあり得ない。第一、古墳はただの小さな山か森にしか見えない。歴史的な意義は大きいが、「観光名所」というものにはなりにくい。まして、前述の市会議員候補のように「治安が悪くなる」ほど多くの人はやって来ないと思う。
日本の古代史に関心のない外国人が見に来たら「これはナンじゃ?」となるに違いない。あまり宣伝し過ぎると「世界がっかり観光地」の1位にランクされるかもしれませんぞ(笑)。
だから、モミィにそういうことを伝え、世界遺産に登録されても、近所にある城山古墳公園はこれまでどおりだろうから心配はいらないよ、と言っておいたけれど、それでも「いや、みんな心配してるねん」とモミィは半信半疑で、僕の言葉にも頷きませんでした。
世界遺産となって観光客が押し寄せるとしたら、たぶん堺市の仁徳天皇陵でしょうね。これは日本一の大きさだし、堺市役所の高層ビルから展望もできるので、そこには多くの人が押し寄せそうです。
さらに、この日本一の仁徳天皇陵と三番目に大きい履中天皇陵にも、今後それぞれ専用の展望デッキを建設する予定だそうです。
僕らのエリアである古市古墳群にも、日本第二の大きさの応神天皇陵をはじめ、仲姫命陵古墳や、藤井寺駅からすぐ近くにある仲哀天皇陵古墳などがあるんですが、堺市のように展望台の計画などは全然ありません。作ってもお客さんが来ないでしょうしね。
世界遺産登録の当初は、物珍しさで国の内外からリュクなどを背負った観光客の姿を見かけるかも知れませんが、それも一時的なものでしょうね。
外国からどんどん観光客が来るというのなら、僕も今イタリア語を勉強しているのでイタリア人相手のガイドだったら、してあげるんですけどね~(笑)。
はぁ? なんですって…?
イタリア人が藤井寺市まで古墳を見に来るか? それと、のんはイタリア語で古墳のことを説明できるんか? そんな達者な語学力があるんか?
…へぇ。 そうですよね。
そう言われたら、返す言葉がありまへんな。ガックリ!