モミィが所属する地域のキックベースチームの「合宿」が土・日曜日にあった。
1泊して合宿…といえば、集中的に練習を行うイメージがあるけれど、
実際は「お泊り会」と呼ぶような、お遊びの1泊小旅行である。
キックベースの用具はいっさい持っていかず、遊びだけ。
1年に一度、いろんなところへ泊まりに行くのだという。
しかし、モミィはまだ、子どもたちだけで寝ることは心細いようで、
「その日に帰るほうがいい」と言うので、役員さんにお願いして、
僕とモミィだけはその日の夜のうちに帰らせてもらうことにした。
そんなことで、13日の土曜日に、モミィと僕は「合宿」に参加した。
人数は子どもが10人近く、大人は監督、コーチ、家族らで15人近く。
大人の方がかなり多い。
場所は、大阪府枚方市の山奥にある野外活動センターというところ。
昼前に着き、食事の用意をし、食後は焼き板ペイントなどで楽しみ、
夕方からバーべキューの準備をはじめながら、飯ごう炊飯もする。
食事が終わったら、「関西で一番大きい望遠鏡」で天体観測をする。
そして翌日は、朝食用にかまどでピザを焼き、そのあと、
近くにある野外アスレチックで遊び、午後、帰途につく…
配られた行程表には、そういうことが記されていた。
僕とモミィは、1日目の天体観測をする前に帰る予定を立てた。
ただ、この野外活動センターは、山奥なので交通機関は全くなく、
とても狭い山道をクネクネ行くので、車以外では行き来できない。
お世話をしていただく役員のママさんたちも、行く前に、
「でも夜に帰るといっても、どうして帰られるんですか…?」
と心配そうに尋ねられた。
それは、長男に車で迎えに来てくれるよう頼んでいたので大丈夫だった。
バーベキューが7時半前後に終わるので、8時ごろに来てと頼んでいた。
実はこういう行事に参加するのは気が進まなかった。
毎週小学校で練習をしたり、試合に行ったりと、
僕は常にモミィに付き添っているので、
監督、コーチ、ママさんたちとは会話を交わすけれど、
こういうレジャー的な催しに参加するのは初めてで、
皆さんと一緒に食事をするというのも、たぶん初めてである。
何となく居心地が定まらない。
野外活動センターに着いて、沢山の重い荷物をロッジへ運ぶ。
急坂で、荷物を持つ手がよろけ、足もよろける。
薪を燃やしてその上に置いた大きな鉄板で焼きそばを焼いた。
僕と、もう一人、部員のパパと2人で、豚肉を炒め、キャベツを入れ、
玉ねぎも入れてやわらかくなるまで炒めた後、大量のソバを投入した。
かきまぜるだけでも力がいる。しかし、この手の料理は僕の得意分野である。
薪を燃やしてこんなことをするのは、いったい何十年ぶりだろう…
と思いながら、気持も焼きそばのようにほぐれてきて、いい感じになってきた。
子どもたちは、6年生の子の指導で、食器を洗ったり、
その前にはキャベツや玉ねぎを切っていたりよく働いていた。
モミィも、食器を拭く役を与えられ、お手伝いを楽しんでいた。
ママたちは僕たちの作業をじっと見守っていたけれど、
あれ…? 他の男の人たちは…? と周囲を見回すと、
少し離れたテーブルで、もうビールを飲んでいるではないか。
ビールや焼酎が荷物の中に沢山あったので、夜は宴会かと思っていたが、
昼から飲み始めるとはまた、皆さんかなりのアルコール好きである。
これなら気が合いそうだ(なんだ、それは…?)。
…さて、そこからだった。
「どうぞ!」と焼きそばを焼いている僕に缶ビールが手渡された。
合間を見つけてプシューッと栓を抜き、グイッと飲む。うまい~
そばを焼き終わると、あとはお皿に盛る作業などはママたちがした。
僕は、男性グループに呼ばれ、ビールを片手にテーブルへ行った。
日ごろは難しい顔をし、口数も少ない監督やコーチが、今日は上機嫌だ。
僕にいろいろ話しかけてくるし、僕もアルコールが入るとよくしゃべる。
冗談を言い合ったり、誰かがボケて、誰かが突っ込んだりして、
笑いが絶えない中で、どんどんみんなの酒が進んでいった。
中でも大の酒好きのコーチがいて、この人が焼酎水割りを作ってくれた。
僕のグラスの中身が少なくなると、すばやくおかわりを作ってくれる。
「この男は練習の時は何もせんけど、こんな時だけよく動くんですわ」
と、他のコーチが冷やかす。
一方、子どもたちは、板を焼いてそこにペイントをする「焼き板」の作成。
モミィも上級生たちに教えてもらいながら、一生懸命にやっている。
子どもたちにまったく手がかからない分、大人の男はヒマである。
彼らは例外なく、みんなお酒が好きで、グビグビ飲んでいる。
僕も、同じようにグビグビ飲んだ。
そして、日が暮れたころに、僕の記憶がなくなった。
長男が、妻を横に乗せて車で迎えに来てくれたのは、8時頃だったそうである。
ぜんぜん、何も覚えていない。
ロッジから駐車場まで、崩れかけた狭くて急な階段を下りなければならず、
どうやら僕は、他のコーチたちに抱きかかえられて車へ来たそうである。
翌朝、長男がそう言っていた。
一人で下りたら転げ落ちていただろうから、抱えて下りてくれたのだろう。
何しろ、夕方6時頃までは、みんなの写真を撮ったりしていたのだけど、
そのあと、プッツリと記憶が途切れているのである。
気がついたら日曜の朝で、着の身着のままで自宅の布団で寝ていた。
あぁ…、またもやこの有様である。 恥ずかしさで顔が赤くなる。
朝8時過ぎ、まだ合宿先にいる役員のママさん3人に同時メールを送った。
昨日ははしゃぎ過ぎ、飲み過ぎてご迷惑をおかけしました。
いい歳をしながら節度もわきまえず、本当にすみませんでした。
いつまで経ってもアホな私です。でも、めちゃ楽しかったです。
皆さんによろしくお伝えください。
…みたいな文章を送った。
さっそく一人のママから返事が来て、
昨日は楽しいお酒だとわかりましたよ。
楽しいお酒は良い事ですよ。
…と書いてきていただいた。
もう一人のママからも夕方、メールがあり、
お疲れさまです。二日酔いになっておられないでしょうか
楽しく過ごしていただけてよかったです。
…と返信をいただいた。
あぁ…
こういうときは、いつも 「よせばいいのに」 という古い歌が頭に浮かぶ。
いつまでたっても、ダメな私ね~
ロッジの前で。
出来上がった焼きそばを、お皿に取り分ける。
子どもたちはみんな楽しそう。 モミィは一番奥で帽子を被っています。
僕もこのへんまでは、しっかりしていたはずですが…(午後6時ごろ撮影)
そのあとは、もうほとんど何も覚えていないんですよね~ トホホ。