都内の道路が微妙に空いてきた。
どうやら世間は夏休みの人が多いらしい。
一週間とか10日とか休んで、国内や海外に旅したりするんだろう。
うらやましいような、うらやましくないような……
自慢じゃないが、ここ20年近く、夏休みなんて取ったことがない。
放送作家になって以来、1年を通して休むのは正月だけだ(正月もほとんど休まなかった年もある)
それが当たり前だと思っていた。
そもそもテレビ業界に休みなんかないのだ、と。
人一倍働くから、その分やりがいもあるのだ、稼ぎもいいのだ、と。
ところが、ここ数年の傾向として、放送作家も夏休みを取るようになってきた。
昔は「業界に盆も正月もないのさ~」とみんな嬉しそうに語っていたはずなのに、最近のマジョリティはむしろ「ちゃんと夏休みを取る」人たちだ。
ディレクターも、プロデューサーも、ADも、作家も。
僕の方がいつの間にかマイノリティになっていた。
「夏休み取らないんですか?」と普通に聞かれたりする。
僕が「取らないよ」って答えると「へぇ~珍しいですね」とか言われる。
そうか。
業界もそうなっているのか。
ということで、ついに今年、夏休みを取ろうと考えてみた。
だが、大変なのだ。
根回しが、だ。
各番組の会議は基本的に毎週1回あるし、収録は大抵2週に1回ある。
例えば来週休もうとすると、全番組に「来週会議休みます」と伝えるだけでは済まず、収録に向けた台本書きやナレーション書きを別の作家に代わってもらうよう調整してもらわなきゃならない。
それも10番組以上、個別にだ。
うーむ。
面倒くさすぎる。
そんなに手間をかけて休むぐらいなら、働いた方がマシだと思ってしまう。
なので、結局今年も働くのだ。
夏の間、休みなく。
まぁ、休んだところで一緒に旅行してくれる彼女もいない。
本当は南国のビーチかなんかで可愛い彼女とキャッキャ言いながら水かけあったりしたいのだが。
……ないな。
今日、39歳になった。
39歳でビーチでキャッキャは、ない。
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