めぐろのめばる

目黒川近辺で日本の四季を楽しみ、未来の日本を憂う。
かつての美しい日本と日本人がいかに素晴らしかったかを思う。

トランプの呪縛から逃れられない日本

2017-02-11 17:19:25 | 日本人

安倍総理とトランプ大統領の両首脳会談は、思いの外
和やかに行われていると伝えられていますが、
両者のバックには、両国の国民の思いが託されていて、
その思いに答えられるかで、お互いの自国での価値が決まり
メディアから伝えられるほど、楽観的な物ではないのは
明らかです。

そもそも、昔から、国際交渉と言えば、如何に自国の利益を守り
より多くの目的を達成できるかと言う事であり、伝えられる様に
お互いにWin、Winの状態は非常に難しいのです。
これまで、日米の様々な交渉に於いて、メディアが伝える事は
如何に我が国の利益が大きいか、と言う事は強調されても
その陰に多く隠された、マイナスの部分を報道される事は
少ないのです。

誰しも気になる事に対しては、出来るだけ、良い結果を得ようと
策を練るのですが、それに対する代償がある事を、メディアに
流す事は、ほとんど無いのです。
その為、国民の気持ちを荒立たせたり、心配させることは
極力控えるのが通例であり、交渉の後、何年もかけて、次第に
その痛みが、まるでボディブローのように広がって行くのが
これまでの日本社会です。

日米交渉だけでなく、様々な国との交渉は、一般的に公表される
重要事項だけでなく、数知れずの項目があり、一体何を決めたのかと
興味を持って調べない限り、国民が知る事は非常に少ないのです。
中でも、デメリットとなる交渉は、報道に挙げられる事は控えられ
国民が喜ぶ交渉は、大々的に発表されるのが常なのです。

この事は、歴史的に変わらず行われていて、極端な例は、
言わずと知れた、大本営発表です。
トランプの思いがけない友好的な態度に、胸をなでおろしている
方々も多い様ですが、彼は、大統領であるだけでなく、世界的な
商人でもあるのです。
しかも、彼の権限は、軍事力を思うがままに扱えるものです。
つまり、彼は、アメリカ公認の、武器商人と言えるのです。

確かに、パートナーシップを堅持する大切な国として日本を
位置づける様な発言があるようですが、これは、明らかに、
トランプ流のリップサービスに過ぎません。
目じりを下げて喜んでいる様では、簡単に取り込まれて、
アメリカ国家再建の為の道具の一つになるだけなのです。

何故、彼が、アメリカ国民に強い関心を抱かせるのか、
それは、半分は張ったりとしても、パイプライン建設や国境の壁
と言った事で国民の雇用を具体的に促進し、国民の生活を
向上させるという態度を示しているからです。
つまり、アメリカ国家再建の為に、国民の生活を向上させる
具体的策を世界に示しているからです。
実現するかしないかは定かでは有りませんが、国民の気持ちは
当然前向きとなり、トランプを強く支持する人々が増えているのです。

所が、我が国の首相に対する国民の強い関心は皆無と言って良いです。
交渉の内容は、単に、国会の中で決められ、その交渉の利益は、
国民へ言うより、現在、日本社会を支配している人達へ応える
と言うこれまでと変わらないものだからです。

今回の交渉を国民が強く望んでいるかと言えば、殆どの人々の関心は
無いと言っても良いのです。

この交渉で、国民がどれだけ利益を得られるか、というより、
それを利用して、日本政府が、どれだけ私たち庶民に利益を還元
することが出来るかに付いては、全く具体的な策は無いのです。
アメリカと直接かかわっている企業や政治家に対しては、大きな
交渉と言えるかもしれませんが、その、バックボーンに、国民に
期待させる策が全くなく、力強い国民の後押しがあるとは言えず、
当然、アメリカ国民の関心からしたら、日本に有利な交渉は、
難しいと言えるのです。

トランプは、アメリカを一番にすると宣言した通り、国民の為に
世界と交渉しているのです。
その方法の是非はともかく、国民に期待させるには、十分なパフォーマンスと
行動なのです。
日本のカードは、これまで通りの堅い日米関係、つまり、アメリカとの
関わりで利益を得ている人たちが困らない関係です。
この交渉で、アメリカ軍が、日本国内から出て行く事も、日本を盾にして
東アジアの脅威からアメリカを守る考えを変える事は有りません。

つまり、日本にとって、と言うより、日本国民にとって、
今回の交渉は、関心が持てないのは当たり前であり、
マスコミがただ騒ぎ、有識者やコメンテーターが、テレビを通じ
それぞれの評論をして番組を作っているに過ぎません。

新たなる交渉により、様々な事例が具体化されるのですが、

直接アメリカと関わっている巨大産業がまず、メリットを固め
自分達の利益を確保し、デメリットを、消費者に託すと言うのが
いつものパターンと言えます。

具体的には、私達庶民の懐が寂しくなると言う事です。

問題は、このデメリットにより、庶民は、生活レベルを落とし、
新たに苦しい日常を余儀なくされなければならない事です。
私たちは、一体、誰に、この負担部分を託せば良いのでしょうか。

この、ピラミッド構造の様に、トップの人々から利益を得て、

末端に負担が降りて行く構造は、永久に、国民を幸せにはせず、
自由主義国家と言う看板に隠れた、独裁国家と言えるのです。

大震災などの巨大災害に於いても、復興計画は、あくまで、

被災者ではなく、その計画で利益を得る人たちによって作られ、
本当に困っている人たちには、外見的な復興事業を押し付け
弱者がより弱者であることを知らされるだけとなっています。

今回の日米交渉も、最大の目的は、国民の幸せでない事は明らかで

どれだけ、関わった企業や政治家が利益を得るかが本音です。
平和と思われる今の時代も、戦争でアメリカと戦っていた時代も
国民の為の政治は行われていないのです。

世界的に豊かで平和な国であると言う印象を与え、私達日本人は

非常に恵まれている民族と言う印象を国民全体が抱くと言う事で、
指導者たちへの反発を抑えるのが政治を行う策ともいえるのですが、
豊かな生活を維持するために、国民すべてが、背伸びをして
人と競い、経済力や生活の豊かさを目的とする事で、心も身体も
疲れ切っている事を、リーダーたちは理解していないのが問題です。

一生懸命働いて得たお金は、殆どが、与えられた消費システムで

使う様に仕向けられた日本では、どんなに頑張っても、本当の
幸せは得られないのです。
経済的に復興すれば、日本人はまた豊かで幸せになると言うのは
日本人の一部の、現に豊かな人々の考えであり、殆どの国民は、
どんなに経済的に豊かな社会となっても、その社会で浪費させられ
富を貢ぐ関係からは逃げられないのです。
本当の幸せとは、一体何なのか。
国民の本当の思いを理解できない政治家が日本を動かしている限り、
トランプの呪縛からは逃れられず、日本国民の心が幸せを見つける事は
夢物語と言えるのです。