御神楽少女探偵団その33
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三人が一日の捜査を終えて戻る所からである。
■さ・よ・な・ら 後編 捜査編2 続き
カフェー山茶花に戻ると、懐かしい顔があった。
長田定吉である。
かつて「夢男」や「甦る夢男」事件で、御神楽少女探偵団と知り合った、財部家執事である。
彼は事件解決後は、財部家を辞して東京に出てきていたそうである。
時人拘束の話を聞いた定吉は、自分も軍にパイプを持つ人物に知己が在るので、時人釈放へ協力を申し出てくれた。
彼は財部家に仕える前、軍には親族も多く影響力もある志田侯爵家に仕えていたのだ。
そして、あの志田数馬中尉は、なんと志田侯爵の甥だとのことである。
通りで軍人にしては品が良い人だと、巴たちは思った。
その夜、三人組は浦安家を訪れた。
ところが、パーティー開始時刻になっても浦安蔵人は姿を見せない。
不審に思った三人が主人室に向かうと、そこでは蔵人が死んでいて、釈迦如来像は消え失せていた・・・
■さ・よ・な・ら 後編 捜査編3
これで今回の犠牲者は5人目、またまた犯人に出し抜かれたわけである。
屋敷の広間では、諸星と利根川が怒鳴り合っている。
つまりは管轄争いである。
しかし、軍の管理下でない民間地域での刑事事件は、明らかに警察の領域である。
その点を諸星がつくと、利根川もいまいましげではあるが、認めざるを得なかった。
主人室では現場の探索となる。
浦安の机の上には、半分程紅茶の残ったティーカップが載っている。
浦安の背中には、一本の短剣が深々と刺さっている。 その傷の周囲にはわずかに血がにじんでいた。
これほど不用心に背中を見せるのは、諸星警部も顔見知りの犯行ではないかと思っているらしい。
机の上にはガラスのシャーレが載っていて、その中には奇麗に折りたたんだ脱脂綿が置かれている。
このシャーレの使用目的については、まるで見当がつかない。
志田中尉に話を聞くと、「今、警護に立っていた兵から事情を聞いていたんだが、浦安の娘以外は誰もこの部屋には入っていなかったそうだ。」とのことである。
また、蒔彌が紅茶を持ってきた時には、仏像に異常はなかったそうだ。
警護の兵士たちも、警護を始めてから死体発見まで、主人室からは一切の物音がしなかったという。
広間では高来龍二がネコと遊んでいる。
猫に「ほれ、まおまお まおまお」と呼びかける龍二を、千鶴はじっと見つめていた。
客室には美和がいて、蒔彌と克己のことは知っているが、浦安は克己が闇市に出入りしてるとのて噂を知ってからは、ますます反対するようになったと言う。
その闇市は上野にあり、盗品の美術品を専門に取り扱っているそうだ。
そうこうしていると、いつの間にか夜が明けていた・・・
横浜港では、黒潮丸の前に栗山刑事がいた。
昨日ようやく軍から黒潮丸での殺人事件の連絡が警察に入り、今日から警察も捜査を行えるようになったそうだ。
一等1号室で栗山に聞くと、軍がひっかきまわした後だからロクなものはないが、机の下にあったこの紋白蝶の死骸が見つかったという。
事件当夜1号室の部屋の窓は空いていたが、その窓の外への通路は閉鎖されていたそうである。
ということで、窓の外から狙撃というのはありえないようだ。
しかし、後甲板には救命ボートがつり下げられている。
巴はあれに乗れば窓の外から狙撃できるというのだ。
兵藤家では、克己が蒔彌の身を案じている。
彼は龍二に監視されており、浦安家に行きたくとも行けない状態だと説明した。
克己に闇市に出入りしている理由を問いただすと、茂徳の命令で盗まれた阿弥陀像が売りに出されていないかどうか、確認に行っているという。
そして闇市に行くのは、盗まれた阿弥陀如来像が、売りに出されるかも知れないから、調べてこいという、兵藤の命令によってだと言う。
カフェー山茶花には長田が一同を待っていた。
志田侯爵の件は、お願いをしておいたとのことである。
ただ、最近志田中尉は妙な派閥に入ってしまったと侯爵は心配しているそうだ。
その派閥は、陸軍内部で過激な思想を持つ若手将校の集まりであり、木越元大臣やその系列の畑中中佐らは、彼らの目の敵にされていたとのことである。
ここで推理となる。
仏像を狙っていたのは・・・
畑中殺害計画の犯人と怪盗の両方
犯人の名前は・・・
志田数馬
協力した人物は・・・
兵藤茂徳
ここで浦安家へ自動移動となる。
三人が電話をかけて志田、兵藤、龍二を呼び出したのである。
高来龍一は・・・
実は右手が塞がっていた。
犯人は・・・
救命ボートを利用した。
志田数馬は・・・
死体の偽装を行った。
御神楽少女探偵団その34へ続く
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