ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

新美南吉作品ロシア語・ベラルーシ語翻訳記念朗読会 4

2013-10-01 |   新美南吉
 感想文の一部です。感想を書いてくださった方には日本のあめ玉を、子どもにはあめ玉と折り紙を記念に渡しました。
アンケートの一番気に入った作品、今回の集計結果は複数回答可なのですが、このようになりました。

「でんでんむしのかなしみ」6名
「ごんぎつね」5名
「手ぶくろを買いに」5名
「去年の木」4名
「あめ玉」1名

 今回初めて「手ぶくろを買いに」を朗読したのですが、やはり日本人の間でも「ごんぎつね」人気を二分するだけあって、ベラルーシでも同じ数になりましたね。

 あめ玉は日本製の本物です。お話「あめ玉」に合わせて、和風の紙に包んでみました。
 ちなみにベラルーシにはこんなにまん丸なあめ玉は売っていないのです。これをさむらいが刀で真っ二つに切ったのはすごく難しいことだとベラルーシ人にも分かってもらえたかなあ、と思います。
 ちなみにベラルーシ人に「あめ玉」と言ってもまん丸な飴は想像できず、平べったい楕円形のもの、あるいは棒のついたにわとりの形(!)をしたものを連想するんだそうです。



新美南吉作品ロシア語・ベラルーシ語翻訳記念朗読会 3

2013-10-01 |   新美南吉
 新美南吉展も参加者の皆さんはみんな熱心に見ていましたよ。
 感想も集まり、とてもうれしいです。これから感想を日本語に翻訳し、新美南吉記念館に送る予定です。

 前回とちがって、夏に新美南吉記念館へ行ってきた私の両親がDVDを買って持ってきてくれたので、映像を交えて新美南吉の人生を紹介することもできました。朗読会の後、参加者の皆さんと茶話会をしまして、和やかな雰囲気の中、朗読会の感想を話し合いましたが、「新美南吉はハンサムだ。」とベラルーシ人女性の間で、南吉さんはモテモテだったことをここに記しておきます。(笑)

 今回の朗読会が無事終わり、ほっとしていますが、すでにベラルーシの地方都市、オシミャヌィとバラノビッチの図書館でも朗読会を開催してほしいという希望が舞い込んでいます。
 新美南吉童話をベラルーシで紹介する旅に出ます。

新美南吉作品ロシア語・ベラルーシ語翻訳記念朗読会 2

2013-10-01 |   新美南吉
 朗読をしたのは4作品の翻訳者でもあるうちの娘です。
 7月30日の朗読会には間に合わなくて、今回の朗読会にやっと発表できた「手ぶくろを買いに」ですが、子守唄の部分は、日本語で歌ってもらいました。(もちろんロシア語の訳も言いました。)
 意外とシューベルトの子守唄はベラルーシでは知られていなくて(理由はロシア語に翻訳されたのが最近だから、まだ浸透していない。)歌っても「ああ、あの曲か。」にはならないのですが・・・。
 でも朗読の中に歌も入っているほうがアクセントになってよかったと好評でした。

新美南吉作品ロシア語・ベラルーシ語翻訳記念朗読会 1

2013-10-01 |   新美南吉
 9月30日世界翻訳の日に「新美南吉作品ロシア語・ベラルーシ語翻訳記念朗読会」を行いました。

 この朗読会は7月30日に行われた生誕100年記念朗読会と同じく、新美南吉生誕100年記念事業実行委員会より、後援を正式に受けています。
 新美南吉生誕100年記念事業のサイト内「後援事業・その他」のページはこちらです。

 予定していたより参加した子どもの数が少なく、20人ほどの参加者でした。しかし詩人や出版関係者、図書館関係者などの児童文学の専門家が参加し、貴重な南吉童話の感想を聞くことができました。
 今回は「でんでんむしのかなしみ」「あめ玉」「去年の木」「ごんぎつね」「てぶくろを買いに」の5作品を朗読しました。このうち「でんでんむしのかなしみ」はベラルーシ語で、そのほかの作品はロシア語で朗読しました。
 
 「でんでんむしのかなしみ」の朗読の後には美智子皇后陛下が1998年インドで開催された国際児童図書評議会第26回世界大会で行った講演の中で、「でんでんむしのかなしみ」について述べられている部分のロシア語訳(この講演を翻訳したのは日本文化情報センターではありません。)を、声のきれいな図書館員さんに朗読してもらいました。
 
 また世界翻訳の日にちなみ、翻訳家としての新美南吉の顔も紹介しました。新美南吉は東京外国語学校(今の東京外国語大学)卒業で、英文学が専門です。安城女学校教師時代は全学年の英語の授業を担当していました。
 学生時代、新美南吉はバイロンの詩について研究をしていました。
 このほかマンスフィールドやミルンの作品の翻訳をしていました。また有名な「きらきら星」の翻訳もしています。
(新美南吉によると「ちらちら光れ小さな星」ですが、元の英語のTwinkle twinkleという語感に近いように「ちらちら」という言葉を選んだのだと思います。ただ、本人は英語から日本語への訳をしてみただけで、翻訳した詩がメロディーに合うかどうかは考えてなかったようです。新美南吉の訳詞ではこの歌を日本語で歌えません。それで「きらきら星」のほうが定着したんですね。)

 また新美南吉が英語の先生をしていたことや好きだった外国の作家の紹介もしました。アンデルセンが好きなのは当然かと思うのですが、チェーホフやドストエフスキーも好きな作家に挙げています。
 さらには新美南吉が翻訳したマンスフィールドが尊敬していた作家がチェーホフだったり、新美南吉が好きで、人にも読むよう薦めていたフランスの作家シャルル・フィリップがドストエフスキーを尊敬していたり、新美南吉童話の根底には実はロシア文学が多く潜んでいるのではないか・・・という話もしました。

 新美南吉の作品そのものはすでに英語、フランス語、中国語、ハングルに翻訳されていますが、今年日本文化情報センターがロシア語とベラルーシ語に翻訳する作業に関わることができて、とても光栄です。