電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

チャイコフスキー「交響曲第5番」を聴く

2010年10月26日 06時05分05秒 | -オーケストラ
最近の通勤の音楽として、チャイコフスキーの交響曲第5番を聴いています。ホ短調、作品64です。作曲年代は1888年の5月から8月、作曲者48歳の頃だそうです。添付のリーフレットや Wikipedia 等によれば、ちょうど1886年のヨーロッパ旅行で好評を受け、マーラーやR.シュトラウス、グリーグらの作曲家と交流したのだそうな。そんな話を聞くと、チャイコフスキーの時代は、けっこう最近(^o^;)なのだな、と思います。

さて、この曲の楽器編成は、Fl(3)うち1はピッコロ持ち替え、Ob(2), Cl(2), Fg(2), Hrn(4), Tp(2), Tb(3), Tuba(1), Timp, 弦5部となっています。

第1楽章:アンダンテ~アレグロ・コン・アニマ、ホ短調。序奏つきのソナタ形式。冒頭にクラリネットの暗い旋律で表される「運命の動機」は、もしかしてベートーヴェンのそれをひっくり返しているのでしょうか。その後には、いかにもチャイコフスキーらしい、まるでバレエ音楽のような叙情的な展開があります。
第2楽章:アンダンテ・カンタービレ、con alcuna licenza とはどういう意味?調べて見ると、「ある程度の自由さをもって」というような意味だそうです。ニ長調、複合三部形式。弦による短い序奏の後に登場する、ホルンによる美しい主題に聴き惚れます。いいなあ、この音色、この旋律。ホルン奏者には緊張の場面でしょうが、また腕の見せ所でもあるでしょう。続く音楽は、頻繁に気分を変えながら次第に高揚し、静かに終わります。
第3楽章:ワルツ、アレグロ・モデラート。イ長調、複合三部形式。ふつう交響曲ではスケルツォが置かれることが多いのでしょうが、純然たるワルツです。この曲の中では一番短いのですが、いかにもチャイコフスキーらしいと感じます。ファゴットのソロが魅力的で、これに続く部分は、やっぱりバレエ音楽みたいな印象です。作曲者が交響曲としての普遍性に自信が持てなかったという原因は、このあたりなのかな?私はチャーミングだと思いますけど(^o^)/
第4楽章:フィナーレ、アンダンテ・マエストーソ~アレグロ・ヴィヴァーチェ、alla breve は2分の2拍子という意味だそうな。運命の動機による序奏つきソナタ形式。広がりを感じさせる出だしが、いいですね~。気分は否応なく高まります。

演奏は、クラウディオ・アバド指揮シカゴ交響楽団、シカゴのオーケストラ・ホールにて、1985年の2月25日と27日に収録されたデジタル録音、SONY の 32DC-680 という型番の正規盤です。そういえばこの頃は、ウィーンフィルとのベートーヴェンなど、アバドの録音をけっこう集めていた時期だったと思います。そんな懐かしさもある一枚です。

■アバド指揮シカゴ響
I=14'35" II=12'40" III=6'14" IV=12'02" total=45'31"

この曲については、N響アワーで観たのだったと思いましたが、例の長大なホルン・ソロが見事だったために、曲が終わると指揮者がホルン奏者のところに歩み寄り、握手してから指揮台に戻って聴衆の拍手を受けた、という記憶があります。ネルロ・サンティさんだったかな?いい曲、いい演奏、そしてたいへん印象的な場面でした。

写真は、老母が毎朝楽しみに世話をしている、裏の花畑の近況です。



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