ここしばらく、通勤の音楽として、モーツァルトのピアノソナタ全集第5巻(マリア・ジョアオ・ピリス:Pf)を聴いております。ソナタのほうも、どこかピアノ教室のレッスンで何度も聞こえてくるような感じで、いかにも親しみやすいものですが、本CD(DENON COCO-70698)の掉尾を飾る「幻想曲ニ短調K.397」が、格別に印象深いものがあります。
CDに添付の解説によれば、この曲はモーツァルトが26歳の1782年に書かれたとされ(異説あり)、未完の曲として残されたものを、ライプツィヒのトーマス教会のカントルだったA.E.ミューラーが最後の10小節を補筆して完成させたものだ、とのこと。1782年といえば、ザルツブルグの大司教と衝突して解雇され、ウィーンに出て歌劇「後宮からの誘拐」を初演し、コンスタンツェと結婚した頃でしょうか。
曲はごく短いものですが、冒頭の低音の響きが、高音コロコロが大好きなモーツァルトとしては異色のものです。右手のチャーミングな旋律が続きますが、じきに音階は崩れ落ちるように下降していきます。ですが、嘆いてばかりもいられないとでもいうように、ごく自然に気分が変わって、明るく終わります。
この曲は、まるで深淵を覗き込むような、遅~い主観的な演奏も可能でしょうし、もともと陽気な若者の一時的な気分の落ち込みといった感じの演奏も可能でしょう。私は、どちらかといえば、あまりのめりこまない客観的なアプローチの方に、チャーミングな魅力を感じます。
■マリア・ジョアオ・ピリス盤 5'58"
■ロベール・カザドシュ盤 5'48"
CDに添付の解説によれば、この曲はモーツァルトが26歳の1782年に書かれたとされ(異説あり)、未完の曲として残されたものを、ライプツィヒのトーマス教会のカントルだったA.E.ミューラーが最後の10小節を補筆して完成させたものだ、とのこと。1782年といえば、ザルツブルグの大司教と衝突して解雇され、ウィーンに出て歌劇「後宮からの誘拐」を初演し、コンスタンツェと結婚した頃でしょうか。
曲はごく短いものですが、冒頭の低音の響きが、高音コロコロが大好きなモーツァルトとしては異色のものです。右手のチャーミングな旋律が続きますが、じきに音階は崩れ落ちるように下降していきます。ですが、嘆いてばかりもいられないとでもいうように、ごく自然に気分が変わって、明るく終わります。
この曲は、まるで深淵を覗き込むような、遅~い主観的な演奏も可能でしょうし、もともと陽気な若者の一時的な気分の落ち込みといった感じの演奏も可能でしょう。私は、どちらかといえば、あまりのめりこまない客観的なアプローチの方に、チャーミングな魅力を感じます。
■マリア・ジョアオ・ピリス盤 5'58"
■ロベール・カザドシュ盤 5'48"
な演奏だったと今になれば思いますが、当時結構興味を持って聴きました。現在Youtubeでも聴けるようです。