電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山響と「三大テノールの宴」を聴く

2022年02月24日 06時01分41秒 | -オペラ・声楽
天皇誕生日の23日、午後から山形県民ホール(通称やまぎんホール)で、妻とともに山形交響楽団と「三大テノールの宴」を聴きました。三大テノールと言えば、ホセ・カレーラスが1987年に白血病を発病し、奇跡的に生還した後、この病気の研究とドナー登録を支援する財団を作ったが、これを支援するために、1990年のワールドカップでルチアーノ・パヴァロッティとプラシド・ドミンゴが加わって開会式で歌ったのが有名になり、「三大テノール」の呼び方が定着したト記憶しています。しかし今回は日本の三大テノールと言える、福井敬さん、村上敏明さん、笛田博昭さんが、イタリア・オペラのアリアやその他の有名曲を、藤岡幸夫さん指揮する山形交響楽団をバックに歌うというもので、以前から楽しみにしていたものです。
プログラムは次のとおり。

    第1部
  1. ロッシーニ:歌劇『セヴィリアの理髪師』序曲   山形交響楽団
  2. チレア:歌劇『アルルの女』より「フェデリーコの嘆き」 笛田博昭
  3. プッチーニ:歌劇『ラ・ボエーム』より「冷たき手を」  村上敏明
  4. プッチーニ:歌劇『トスカ』より「妙なる調和」     福井敬
  5. ヴェルディ:歌劇『イル・トロヴァトーレ』より「見よ、恐ろしい火を」  笛田博昭
  6. プッチーニ:歌劇『トスカ』より「星は光りぬ」     村上敏明
  7. ジョルダーノ:歌劇『フェドーラ』より「愛さずにはいられないこの想い」 福井敬
        (休憩)
    第2部
  8. ヴェルディ:歌劇『椿姫』序曲   山形交響楽団
  9. レオンカヴァッロ:朝の歌       笛田博昭
  10. デ・クルティス:帰れソレントへ    村上敏明
  11. カルディッロ:カタリ・カタリ     福井敬
  12. ニーノ・ロータ:映画『ゴッドファーザー』より「愛のテーマ」 笛田博昭
  13. ララ:グラナダ            村上敏明
  14. バーンスタイン:『ウエストサイド物語』より「マリア」  福井敬
  15. サルトーリ:タイム・トゥ・セイ・グッバイ  (三人で)
  16. プッチーニ:歌劇『トゥーランドット』より「誰も寝てはならぬ」ほか  (三人で)

いつもの定期演奏会とは異なり、楽器編成も曲目により変わりますが、弦楽セクションは左から第1ヴァイオリン(10)、第2ヴァイオリン(8?)、チェロ(6)、ヴィオラ(6)、その右後方にコントラバス(4)と増強されているようです。

第1部は、ロッシーニの『セヴィリャの理髪師」序曲に続きイタリア・オペラのアリアの有名どころですが、テノールの歌は、やっぱりいいなあ! 元気が出ます。歌っているのは死を前にしての「星は光りぬ」であっても、オーケストラをバックに朗々と歌っているのを観て聴いて、もうそれだけで、元気になります(^o^)/ そして、川上さんのクラリネットが、いいなあ!
ジョルダーノの「フェドーラ」からのアリアも、ほんとに見事でしたし、今年のNHK-ニューイヤーオペラコンサートでも森麻季さんと「乾杯の歌」でオープニングを飾った笛田さんのヴェルディ『トロヴァトーレ』から「見よ、恐ろしい火よ」も、囚われの母親を救出する決意を歌うあの高い音も素晴らしかった。

休憩の後の第2部は、がらりと雰囲気を変えて、三人ともチラシのような衣装で登場です。これ、コシノヒロコさんのデザインによるものだそうで、地味と言ってよいのか派手と言って良いのかわからないけれど、インパクトがあるのは確かです(^o^)/
山響による「椿姫」序曲の後は、有名どころの歌が続きますが、それにしても最初にこの選曲をした人はすごいなあと思います。ほんとに歌唱力とともに、楽曲の魅力と力があるなあと感じます。笛田博昭さんの歌で聴く『ゴッドファーザー』愛のテーマは、ほんとにイタリア・オペラの音楽のようで、作曲家ニーノ・ロータの面目躍如でしょう。トランペットのソロがかっこよかった〜。三人で歌う「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」は、サラ・ブライトマンの歌とはまた違った迫力と魅力ですし、プッチーニ『トゥーランドット』より「誰も寝てはならぬ」も、三人でというのがすごいのだなと実感。と同時に、増強したオーケストラの力が感じられるフィナーレでした。

山形はもちろん、秋田から熊本まで、満席のお客様の熱狂的な拍手に応えて、アンコールがありました。ヴェルディの歌劇『リゴレット』から「風の中の羽根のように」、いわゆる「女心の歌」と、「オーソレミオ」です。笛田さん、もう「歌いたくてしょうがない」っぽい雰囲気を出しながら、三人で熱唱! いや〜、良かった〜!

帰りの車中、妻と「良かったね〜」と話しながら帰りましたが、新型コロナウィルス禍の今後や、今はまだ元気でいてくれている老母のことなど、色々な不安や心配は尽きません。でも、ときにこうした演奏会を楽しみ、元気になって帰ることで、明日へのエネルギーとなるように感じています。山形に山響というオーケストラがあることを喜びながら、新しいホールでまた魅力的な演奏会が楽しめますようにと願うばかりです。


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4 コメント

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Unknown (呑む気オヤジ)
2022-02-24 09:01:18
やはりいらしてましたか。
良かったですね〜。おっしゃる通り、テノールの煌びやかな歌声は、聴いていて元気になりますね。
福井さんは別格の風格がありましたが、若手の笛田さん、良いですね。これからも注目していきたいと思います。
12月のセビリアの理髪師も楽しみですね!
呑む気オヤジ さん、 (narkejp)
2022-02-24 15:45:02
コメントありがとうございます。こういう三大テノール演奏会も、いいですね〜。ほんとに元気になるようです。福井敬さん、NHKのニューイヤーではプッチーニ『トスカ』の「星は光りぬ」を歌っていましたが、今回は同じ『トスカ』から「妙なる調和」と『フェドーラ』から「愛さずにはいられないこの想い」に2曲でした。「カタリ・カタリ」「マリア」も素晴らしかったですね。貫禄充分。やっぱり、生で聴くとすごいです。よく響くホールという条件もあるでしょうが、歌の醍醐味を味わえますね。春の山響第300回定期も山形テルサでR.シュトラウスの「ばらの騎士」抜粋を取り上げていますし、このところだいぶオペラづいています。嬉しい限りです(^o^)/
三大テノール♪ (ジェイン)
2022-02-24 16:23:47
天長節㊗のこの日、
私も主人と2階最前列で聴いていました。持参したブラボー!タオルを一生懸命ふりふりしましたが、ステージからは照明が邪魔(!?)してあまり見えないとのこと、ちょっとガッカリ!!しました。
このホール、木管は鳴りますしストリングスは響いてとてもよろしい、お歌のお三方も伸びやかで気持ちよさそうに歌われていました。
あああ、あの第2部のお衣裳決して 地味 とは言えないのではないでしょうか!?
ジェインさん、 (narkejp)
2022-02-24 16:33:47
三大テノールの宴、良かったですね〜! ホールの響きは抜群にいいみたいで、指揮者の藤岡幸夫さんも、2000人規模のホールなのでPAが必要なんじゃないかと思ってきてみたら、ぜんぜん要らなかった!と驚いていました。今後の山響と仙台フィルの合同公演や秋のオペラ公演が待ち遠しいですね。
ところでコシノヒロコさんのあの衣装、ワタクシめには昔のバアチャンたちのもんぺのイメージに近かったので、びっくりしてしまったのですよ(^o^)/
まあ、私は芸能スポーツ方面のセンスはないことは明らかですし、たぶんファッション分野でもそうなのだろうと思いますデス(^o^)/

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