前作では、幕府から江戸城の石垣の修繕を命じられた津山藩に、資金を用立てる今津屋吉右衛門の護衛として、豆州熱海まで出かけた話で、幕閣の速水左近のフィクサーぶりが示唆されました。もう一つ、因幡鳥取藩の内紛がらみで、織田桜子様という姫様が登場、奈緒の影が薄くなった分、おこんをやきもきさせる役割を担わせておりました。さて今回は。
第1章「法会の白萩」。研ぎに出した愛刀包平を受け取りに、鵜飼百助の元に足を運び、無理を通そうという御小普請支配の用人を懲らしめ、品川柳次郎・幾代親子の墓参に付き合い、武村武左衛門の難儀を救い、おまけに今津屋の老分由蔵の護衛も頼まれ、坂崎磐音氏はなんとも忙しい人です。おこんがあきれるのも無理はありません。
第2章「秋雨八丁堀」。神田三崎町の佐々木玲圓道場で、先の豆州熱海での功績を上様からも認められ、磐音は速水左近から脇差を与えられます。その場で、鵜飼百助の元で目撃した、正宗と改鑿した勢州村正の一件を話すと、速水は聞き捨てならずと関心を示します。今津屋で報告した後に六間湯の湯舟につかっていると、南町奉行所の笹塚孫一が斬られたとの報せが。すぐに八丁堀の診療所にかけつけると、例の御小普請支配の屋敷に出向き、帰路に辻斬りを装って斬られたというのです。中川淳庵らの治療を受けますが、傷は重く生死の境をさまよいます。磐音は速水左近の屋敷をたずね、与力暗殺未遂事件の背景を伝えます。速水は奉行の牧野にはかり、一件の解決は磐音の手に委ねられます。
第3章「金貸し旗本」。南町奉行所の笹塚孫一の容態はようやく快方に向かい、今津屋では日光社参の話題が出て、豊後関前藩からは二番船の報せが届きます。事件といえば、秩父から娘たちを連れてきた一酔楼の千右衛門が引っかかった巧妙なからくりでしょうか。幕切れはあまり気分のよいものではありませんし。
第4章「おこん恋々」。白鶴太夫が登場しないので、おこんがやきもきする場面が作れないと見てか、作者は新手を繰り出しました。鳥取藩の重臣織田家の娘桜子様が、六間湯まで駕篭で乗りつけ、坂崎磐音を迎えに来ます。困った磐音は、笹塚孫一の手術に力を尽くしてくれた中川淳庵と桂川国端との会食に、桜子を同道します。宮戸川の鰻料理に魅了される桜子の無邪気さに、桂川さんがぞっこん惚れ込んだみたいです。磐音の足が少し遠のいたので、おこんの方はなんだかめそめそしてしまい、ちょいと印象が違う感触がありましたが、それを一気に振り払うような襲撃事件でした。
第5章「鐘ヶ淵の打掛け」。斬り合いを眼前で目撃した衝撃から、どうやら立ち直ったようではあるものの、おこんをも巻き込んだ事件の経緯はキチンと始末せねばなりません。鳥取藩の内紛の火種は未だ消えていない模様。吉原では白鶴太夫がらみの争いごとです。お大尽には、そんなに白鶴太夫が魅力的なのでしょうか?どこが?打掛は描かれていますが、この物語の文章では、白鶴太夫の魅力が今ひとつ読み取りにくいのですが。むしろ、豊後関前藩の物産プロジェクト第2弾の成果と、戻り船の荷の問題の解決策に、なるほど、そうきたか、と感心しております。
ところで、これまで章の題名は「泉養寺夏木立」のように、漢字のみで表されておりましたが、この巻ではひらがなも入っております。作者の心境の変化でしょうか。むしろこのほうが自然な感じです。
第1章「法会の白萩」。研ぎに出した愛刀包平を受け取りに、鵜飼百助の元に足を運び、無理を通そうという御小普請支配の用人を懲らしめ、品川柳次郎・幾代親子の墓参に付き合い、武村武左衛門の難儀を救い、おまけに今津屋の老分由蔵の護衛も頼まれ、坂崎磐音氏はなんとも忙しい人です。おこんがあきれるのも無理はありません。
第2章「秋雨八丁堀」。神田三崎町の佐々木玲圓道場で、先の豆州熱海での功績を上様からも認められ、磐音は速水左近から脇差を与えられます。その場で、鵜飼百助の元で目撃した、正宗と改鑿した勢州村正の一件を話すと、速水は聞き捨てならずと関心を示します。今津屋で報告した後に六間湯の湯舟につかっていると、南町奉行所の笹塚孫一が斬られたとの報せが。すぐに八丁堀の診療所にかけつけると、例の御小普請支配の屋敷に出向き、帰路に辻斬りを装って斬られたというのです。中川淳庵らの治療を受けますが、傷は重く生死の境をさまよいます。磐音は速水左近の屋敷をたずね、与力暗殺未遂事件の背景を伝えます。速水は奉行の牧野にはかり、一件の解決は磐音の手に委ねられます。
第3章「金貸し旗本」。南町奉行所の笹塚孫一の容態はようやく快方に向かい、今津屋では日光社参の話題が出て、豊後関前藩からは二番船の報せが届きます。事件といえば、秩父から娘たちを連れてきた一酔楼の千右衛門が引っかかった巧妙なからくりでしょうか。幕切れはあまり気分のよいものではありませんし。
第4章「おこん恋々」。白鶴太夫が登場しないので、おこんがやきもきする場面が作れないと見てか、作者は新手を繰り出しました。鳥取藩の重臣織田家の娘桜子様が、六間湯まで駕篭で乗りつけ、坂崎磐音を迎えに来ます。困った磐音は、笹塚孫一の手術に力を尽くしてくれた中川淳庵と桂川国端との会食に、桜子を同道します。宮戸川の鰻料理に魅了される桜子の無邪気さに、桂川さんがぞっこん惚れ込んだみたいです。磐音の足が少し遠のいたので、おこんの方はなんだかめそめそしてしまい、ちょいと印象が違う感触がありましたが、それを一気に振り払うような襲撃事件でした。
第5章「鐘ヶ淵の打掛け」。斬り合いを眼前で目撃した衝撃から、どうやら立ち直ったようではあるものの、おこんをも巻き込んだ事件の経緯はキチンと始末せねばなりません。鳥取藩の内紛の火種は未だ消えていない模様。吉原では白鶴太夫がらみの争いごとです。お大尽には、そんなに白鶴太夫が魅力的なのでしょうか?どこが?打掛は描かれていますが、この物語の文章では、白鶴太夫の魅力が今ひとつ読み取りにくいのですが。むしろ、豊後関前藩の物産プロジェクト第2弾の成果と、戻り船の荷の問題の解決策に、なるほど、そうきたか、と感心しております。
ところで、これまで章の題名は「泉養寺夏木立」のように、漢字のみで表されておりましたが、この巻ではひらがなも入っております。作者の心境の変化でしょうか。むしろこのほうが自然な感じです。
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