電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

モーツァルト「ピアノと管楽のための五重奏曲」を聞く

2006年08月01日 20時52分22秒 | -室内楽
故郷ザルツブルグの大司教と決別し、ウィーンに出たヴォルフガングは、1784年、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットという管楽器にピアノを加えた、「ピアノと管楽器のための五重奏曲」変ホ長調(K.452)を作曲します。当時流行していた管楽器アンサンブルに、得意のピアノを加えた工夫が、モーツァルトらしいと言えるでしょうか。
しばらく前に近所のCDショップでたまたま見付けたクラシックのCD、ひっそりと売れ残っておりました。たしかに華やかなオーケストラ作品でもなければ弦楽四重奏などの格調高い室内楽でもない。いくらモーツァルトの作品と言っても、ヘンな編成の曲ですから、売れ残るのも当然かもしれません。
捨てる神あれば拾う神あり、いやちがった、残りものに福あり、だったかな。実は私もあまり大きなことは言えません。ジェイムズ・レヴァインのピアノと、アンサンブル・ウィーン=ベルリンというカルテット、すなわちハンスイェルク・シェレンベルガー(Ob)、カール・ライスター(Cl)、ギュンター・ヘーグナー(Hrn)、ミラン・トゥルコヴィッチ(Fg)という演奏家の「顔ぶれ」だけで購入したものです。言ってみればとってもミーハー的な選択。

でもいいじゃないですか。結果が良ければ。1986年8月、ザルツブルグでのドイツ・グラモフォンによるデジタル録音(UCCG-9575)。併録された若きベートーヴェンの作品「ピアノと管楽のための五重奏曲、変ホ長調、Op.16」も同様にたいへん楽しめるもので、大正解でした。

第1楽章、ラルゴ~アレグロ・モデラート、(10'13")。ゆったりと始まる序奏の素朴な響きに魅せられます。とにかくピアノがやけにかっこいい。
第2楽章、ラルゲット、(9'22")。中間の緩徐楽章ですが、管楽器が次々と交替で優美な旋律を奏でます。同じ時期のピアノ協奏曲の緩徐楽章に通じる、美しい調べです。
第3楽章、アレグレット、(5'31")。モーツァルトの音楽のフィナーレは晴れやかで開放的で、なんてすてきなのでしょう。絶望して暗く終わるのではなく、音楽的な解決が、気分も開放的にさせてくれます。
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2 コメント

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ブレンデルのピアノの (望 岳人)
2006-08-01 23:09:51
記事からトラックバックさせてもらいました。



モーツァルトにとっては自信作ということですが、同時期のピアノ協奏曲に比べると最初「素人には少々難しい」と感じた曲で、むしろ最初はベートーヴェンの若い頃の作品に共感を覚えました。これは、ブレンデルたちの生真面目な演奏によるところも大きいのかも知れないと今は思っております。



「音楽の泉」ではご紹介のレヴァイン盤で、AM放送の加減もあるのでしょうが、もっと愉悦感のある演奏だったと思います。
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「音楽の泉」は (narkejp)
2006-08-02 20:13:18
驚異的な長寿番組ですね。音質に難のあるAM放送ながら、よく持ちこたえていると思います。選曲の良さと淡々とした解説の魅力かなと思いますが、放送を通じて初めて知った曲は多いですね。

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