電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山本一力『ジョン・マン(6)順風編』を読む

2017年11月08日 06時04分40秒 | 読書
講談社刊の単行本で、山本一力著『ジョン・マン』第6巻「順風編」を読みました。前巻では、樽を作る職人のところに住み込みで働きながら学校に通うところで終わっていましたが、この巻ではいきなり新造の捕鯨船フランクリン号にジョン・マンが二等航海士として乗り組むところから始まります。船長は、かつてジョン・ハウランド号で一緒に乗り組んでいたアイラ・デイヴィスです。バートレット・アカデミーを最優秀で卒業したジョン・マンは、船長がボストンで契約した珍品収集の課題を懸念しながらも、ボストンの街に同級生ジムの屋敷を訪ねます。カトリックの父は儀礼的に遇するだけでしたが、ジムは馴染みの店でもジョン・マンのことを尊敬する友人として話していました。それだけではなく、ジムは大切な情報を伝えます。それは、今度の航海の海域には「べた凪」の難所があること、ハーバード大の図書館にあった航海記録も見せてもらいます。ジョン・マンは、シュロ、杉や松の葉、洗滌済みの砂と小石、木炭、ウェスの調達と浄水樽の準備を船長に提案します。

大西洋を越えて、フランクリン号はケープタウンを廻り、ニューアムステルダム島周辺を通過、大ウミガメを仕留めた後にオーストラリア方面に向かい、チモール島クーバンに到着します。とりあえず鯨油を売却し、安い経費で一ヶ月の停泊をしますが、ここでオランダ船の船長バンハウテンの表敬訪問を受け、さらに船長・副長とともにジョン・マンも海鮮レストランに招待されます。そこで聞いた長崎の話と土佐の捕鯨の玩具に思わず涙をこぼすのでしたが、同時に頭痛の持病を持つというデイヴィス船長の精神の変調が見えてきます。そしてオーストラリア北東、ニューアイルランド島に到着、船長の異常が明らかになり、さらにクアム島アガニア港に入った頃には船長の拘束を考えるまでになっていました。



乱獲がたたって捕鯨船なのに鯨が捕れず、代わりの珍品収集も覚束ない。船長は変調を来し、副長と二等航海士ジョン・マンの責任は重要さを増しつつあるというところでしょうか。続きはまた一年後?なんだかじれったい(^o^;)>poripori


コメント    この記事についてブログを書く
« ミニコンポのMD録音の調子が悪い | トップ | 閑話休題:配属将校の評判 »

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事