電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

新型コロナ感染経路を推理する〜私の場合

2022年12月04日 19時58分37秒 | 健康
今回の新型コロナ感染については、ふだんからかなり対策もとっていたため、「まさか」という思いもありました。結果論にはなりますが、今回の感染経路を推理すると、おそらく母との最後の面会時だろうと考えられます。もちろん他の可能性もあるでしょうが、蓋然性が高いという意味で推測したものです。

まず、二週間ほど前に心不全で入院していた母の病状説明をしたいとの電話があり、指定の日時に一人で病院に出向きました。主治医の先生の話では、食事が摂れないために衰弱しており、一ヶ月くらいだろうとのことでした。延命のための治療は必要ないとの本人の希望も事前に伝えており、会っていきますかと言われましたので、面会して来ました。先生の話のとおり衰弱がひどく、私の顔はわかりましたが母の言葉を聞き取るのもたいへんで、口元に耳を寄せてかろうじて声を聞いたという状況でした。

そんなことから、近々の死去と葬儀を覚悟し、近親者・関係者等に状況を伝え、家の中を片付け始めていたところ、再び病院から電話がありました。入院中の病棟の同じ病室の人がコロナを発症し、調べてみたら母も陽性が確認されたとのこと。驚いて「私も濃厚接触者になりますか」と尋ねると、該当はしないが健康状態には注意していてください、とのことでした。おそらくあの衰弱ぶりでは、いくらワクチンを接種していても、ウィルスには勝てないだろうと予想しましたが、やはりその四日後に連絡が入り、至急向かった病院で死亡を確認しました。死因は心不全でしたが、コロナ死去の区分で報告するとのことでした。

それから妻に連絡して総合案内で合流、霊安室に移動して納体袋に収められて密封された母の遺体を棺に移し、20キロのドライアイスを入れた後に、あらかじめ準備していた母の「笈摺(*1)」をかけてもらい、御朱印帳も一緒に収めて棺の蓋をテープで密封しました。葬儀社の車で搬送、火葬まで自宅の仏間に安置しました。入院から三週間目の帰宅でした。

その後、火葬や葬儀等でバタバタしましたが、慌ただしさの中でふと感じた倦怠感と発熱。いつもと違うと異常を感じたのは、最後となった母との面会から11日目でした。潜伏期間にしてはずいぶん長いと思いましたが、調べてみると実は14日という報告もあるのだそうです。おそらくは母との面会、知らなかったとは言え、母の口元に耳を寄せて言葉を聞き取ろうとした行動が、マスクの横からエアロゾルが侵入する原因となり、たぶん感染の引き金になったのではないか。

面会させてもらったのはお医者さんの善意からですし、病院内で垣間見たコロナ禍の中の医療の姿は、以前にも増して神経を使う多忙なものでした。むしろ、私だけでも最後に母に会うことができたのは良かったのだろうと思います。幸いに、私と妻以外では今のところ娘や息子たちも陰性、親族も陰性だったそうで、「良かった〜!」と安堵したところです。

(*1): 笈摺(おいずり) 巡礼の際に着物の上に羽織る袖なしの衣のこと。

コメント (2)