電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

「ため息」のメカニズムとその背景

2018年06月04日 06時04分52秒 | 健康
北品川藤クリニックの院長さんが主宰するブログで、「ため息とそのメカニズム」という興味深いトピックが紹介(*1)されていました。2016年の"Nature"誌に掲載された論文をもとに、「特殊なパターンを持つ、深くて大きな単発的呼吸」であるため息について、

緊張の緩んだ時や退屈な時、悲しみに心が乱れた時などに出る

だけではなく、

哺乳動物では定期的にこのタイプの呼吸が通常の呼吸の谷間に出現している

ことが知られ、その頻度はヒトでは「1時間に12回(5分に1回)くらい」であるという知見を紹介します。そして、ため息は通常の呼吸と比較して、

縮んだ肺胞が拡張し、呼吸機能が改善する

ことが確認され、

通常の呼吸のみを継続していると、徐々に肺胞が縮んで呼吸機能は低下

してしまうため、

それをリセットして肺胞に空気を送り込むような働きがため息タイプの呼吸にはあるため、哺乳動物は定期的にため息を吐いている

のだそうです。
ネズミの実験によれば、通常の呼吸リズム中枢とは別に脳の髄質に存在する2種の小さな神経細胞群との間で関連するネットワークを形成していて、これがため息のシステムを作動させるもののようです。



当方にとって興味深いのは、ため息の頻度とその背景です。昔、職場の同僚が頻繁にため息をついているのに気づき、大丈夫かと聞いたら、何か個人的に外部から頼まれた執筆の仕事があって睡眠不足だと話していたのでした。ある日、出張先で脳梗塞で倒れたと聞き、あのため息の頻度は体の不調の信号だったのではないかと感じたものでした。ため息の頻度が高まるときは、低酸素状態に象徴されるような、生体機能の変調のシグナルだととらえることが大事なようです。

(*1):ため息とそのメカニズム〜「北品川藤クリニック院長のブログ」2018年5月28日
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