電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ハイドンのオラトリオ「四季」から「冬」を聴く

2017年12月12日 06時01分10秒 | -オペラ・声楽
これまで、ハイドンのオラトリオ「四季」を季節に合わせて聴いてきました(*1〜*3)。最後は、やっぱり冬の季節の到来とともに、「冬」でしょう。ここしばらく、通勤の音楽として聴いてきて、今度は自宅で、珍しくヘッドホンで耳を傾けております。なぜヘッドホンで? それは、あの序曲は静かな環境でじっくりと聴きたいからです(^o^)/

演奏はヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団、独唱陣にはシモン:ワルター・ベリー(Bs)、ハンネ:グンドゥラ・ヤノヴィッツ(Sp)、ルーカス:ベルナー・ホルヴェーク(Tn)、CD:EMI CMS 7 69224 2、1972年、ベルリンのイエス・キリスト教会で収録されたアナログ録音です。

このCDのトラック分けは、序曲とレチタティーヴォが別になるなど、少々異なっていますが、Wikipedia の解説によれば、「冬」は次のような構成になっています。

  • 序曲とレチタティーヴォ「今、色褪せた年が沈み」
  • カヴァティーナ「光と命は衰え」
  • レチタティーヴォ「広い湖も凍りつき」
  • アリア「旅人が今ここで」
  • レチタティーヴォ「そこで旅人が近づいてみると」
  • 合唱付きリート「くるくる回れ」(糸車の歌)
  • レチタティーヴォ「亜麻布を紡ぎ終えて」
  • 合唱付きリート「ある時、名誉を重んずる娘が」
  • レチタティーヴォ「乾燥した東のほうから」
  • アリア「これを見るが良い、惑わされた人間よ」
  • 三重唱と合唱「それから、大いなる朝が」

歌詞(*4)の大要は:
 光と命は衰え、広い湖も凍りつく厳しい冬のさなかに、旅人が道に迷っていましたが、ようやく光を見出します。一軒の家の中では、村人たちが楽しく賑やかに仕事をしており、言い寄ってきた貴族を出しぬいた娘の機転を褒め称えます。灰色の冬は厳しさを増し、美徳だけが残ります。天の門が開き、聖なる山が現れ、神の国へと導く報酬へ向けて働こう、と歌われます。



ハイドンの時代、冬の厳しさは現代の我々には想像できないほどだったことでしょう。薪ストーブを設置した人が、一ヶ月に2トントラック2台分の薪を燃やす、と言っていましたので、エステルハージ侯のお屋敷ではどれだけの薪が必要だったかを想像してしまいます。おそらく、屋敷全体を暖房することなどはかなわず、暖炉のある部屋で寒すぎない程度にあたため、住人は着ぶくれして寒さを防いでいたのではなかろうか。
おそらく一般庶民は、冬の間、地主など有力者の家で共同労働に従事していたのでしょう。

もう一つ、ハイドンの合唱の素晴らしさを感じます。そういえば、少年時代のハイドンは、ウィーンのシュテファン大聖堂の聖歌隊で歌っていたはず。変声期に解雇されるまで、九年間も活動していたのですから、合唱の扱いは得意分野だったのでしょう。「秋」の合唱も見事でしたが、「冬」の合唱も素晴らしいです。

YouTube にあった動画を貼り付けておきましょう。


(*1):ハイドンのオラトリオ「四季」から「春」を聴く〜「電網郊外散歩道」2016年3月
(*2):ハイドンのオラトリオ「四季」から「夏」を聴く〜「電網郊外散歩道」2015年7月
(*3):ハイドンのオラトリオ「四季」から「秋」を聴く〜「電網郊外散歩道」2017年9月
(*4):オペラ対訳プロジェクト「四季」〜「冬」
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