電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

デュマ『モンテ・クリスト伯』を読む(4)~エドモン・ダンテスの脱獄とスパダの財宝

2006年10月02日 06時56分13秒 | -外国文学
アレクサンドル・デュマの大作『モンテ・クリスト伯』第1部、ファリャ神父のもとで哲学と数学、スペイン語、英語、ドイツ語に加えて現代ギリシャ語を学び、話せるようになります。このギリシャ語がわかるということが、後日重要な意味を持ってきます。牢獄における学習は、他にすることがないだけに、スポンジが水を吸うように身についたことでしょう。
ところが、ファリャ神父には発作性の危険な持病があったのでした。秘薬のおかげで二度目の発作はなんとかしのいだものの、意識と言語は明瞭なまま半身不随になってしまいます。脱出は不可能と覚った神父は、エドモン・ダンテスにイタリアの名門スパダ家の秘宝を伝えます。チェザーレ・ボルジアに毒殺された当主が、どこにどう隠したものか不明だった財宝です。
ファリャ神父は、三度目の発作で亡くなってしまい、エドモンは遺体を自室に移して自分が麻袋に入り、城砦の断崖から海の墓場へ投げ捨てられますが、ようやく脱出します。助けられたのが密輸船だったとは運がいい。ファラオン号の船長となるはずだった経験と力を生かして、エドモンは仲間の信頼をかちえます。そしてついに一人でモンテクリスト島に残り、スパダの財宝を発見するのでした。



宝探しは多くの人をわくわくさせるのでしょうね。ごく若い頃に、心当たりあり。でも後年はむしろ命を救われたジャコポの献身や、シャトー・ディフの監獄の所長の官僚性の描写などに、「すごいなぁ」と感心します。
さて、今度は得た財宝をもとに、自分を陥れた者たちへの復讐が始まりますが、その前に確かめなければならないことがあるのでした。それは、老父と愛するメルセデスや恩人モレル氏の消息と、自分が14年間牢獄につながれることとなった、その真相です。
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