評価 (3点/5点満点)
「キャリアプラン」「ロールモデル」「ワークライフバランス」・・・
仕事に関するアドバイスなどで、一般にはやるべき正しいこととされていることやキーワードを挙げ、そこに別の「視点」を持ち込んでみた、主に若い方に向けての働き方の本です。
たとえば「キャリアプラン」の最大の問題は、自分の可能性を今の自分に限定してしまうこと。
著者の干場弓子さんが経営している、ディスカヴァー・トゥエンティワンのバリューは「視点を変える、明日を変える」。全国5000の書店と直取引をするという従来にない取り組みで、業界随一の出版社に育て上げました。
人生のほとんどを占める仕事の時間、どうせやるなら、楽しんでやったほうがよくない?
その際、仕事を楽しむのも能力であると言います。楽しいことがあるから楽しめるのではなく、何でも楽しむと決めているから楽しめるのです。
また、楽しい仕事はあるが、楽な仕事はないのも事実です。そういう意味で、本書も人によっては厳しく感じられる部分もあるかもしれません。
仕事を通じて人生を楽しめるよう、視点と行動を変えてみましょう。
【my pick-up】
◎意見を言うのがアウトプットだ。黙っているのは危険!
最初は「意見はあるけれど、今は言わないでおこう」だったのが、それを重ねるうちに、自分の意見を考えなくなる。さらにそれが続くと、言いたくても意見がなくなってしまうのだ!自分の意見を持つことは、自分のビジョンを持つことであり、ミッションを持つことであり、さまざまな判断の基準を持つことだ。じつは意見を言うのも練習だ。会議でも雑談でも、あるいはひとりでネット記事などを読んでいるときも、「自分はこう思う」と意見を言ってみる。必ず言うと決めて実行する。
◎クリエイティビティには問題意識が必要だ
自分が責任者となると、いろいろアイデアが湧いてくることが多い。実際、課題解決、新しいアイデアが生まれる条件のひとつは、四六時中、それについて考えていることである。できるだけ責任のある立場に早く就いたほうがいいのは、そのためでもある。アイデアがなかなか出ないということは、所詮は上がやってくれるんだろう、上が好きにやるんだろう、とどこか他人事にしているからだろう。主体的に関わっていないからだろう。
◎10年スパンで考えれば、案外、全部手に入れられる
10年スパンで考えれば、案外、あれもこれも、結果として手に入れることができていたりする。科学技術の進歩のおかげで、道具がそれを助けてくれる世の中になっていたりする。世の中の価値観や社会通念も、多少は生きやすいものに変わってきていたりする。せめて10年のスパンで考える。捨てるのではなく、後回しにする。お金で解決できることはお金で解決する。このときのお金は、将来への投資だ。
◎「誰にも嫌われない」ということは「誰にもとくに好かれているわけではない」
「いい人をする人」というのは、マネージャーやチームリーダーにも向かない。ゴールを達成すること、会社の業績を向上させることより、自分が嫌われないことを優先させてしまうのだ。割に合わないのは「いい人をする人」が必ずしも好かれるわけではない、という現実だ。それどころか、好き勝手を言って、終始誰かと衝突を起こしている人のほうが好かれていたりする。ただのわがままで周りのことも考えず好き勝手する人も、結構周囲に愛されていたりする。
◎視点を変える方法-逆張り!
今流行っていること、みんながやっていること、思っていることの反対をいくこと。反発すること、と言ったほうがいいかもしれない。今、一般に言われていることに「いやちょっと待てよ、そうじゃないかもしれない」と真逆な視点を持ち込むことで、新しい展開を見ることは珍しくない。あえて多数意見とは逆の立場に立って考えてみるのは、企画を考えるときのひとつのコツだ。