評価 (3点/5点満点)
著者がTSMCで学んだ問題分析や解決方法、マネジメント、仕事の効率化などが紹介されています。
TSMCの成長を支える「6つの原則」
1.ビジョンを大きく
2.コミットメント
3.イノベーション
4.継続的改善
5.実事求是(=事実に基づいて真実を追求すること)
6.絶えず学ぶ
また本書は、全体を通じて「ビジネス思考」という概念を大切にしています。
ビジネス思考とは、将来性のある戦略・計画を持つことです。
【my pick-up】
◎財務思考力
TSMCのような企業では、マネジメント層から工場で働く社員まで、きちんとコスト意識を持たせるようにしています。台湾の企業の中には、社員に様々な能力を身につけてもらうために、社員が自らの意志で参加できる特別講座を開設している会社がいくつか存在しています。そうした講座を眺めてみると、「マネジメント職ではない人向けの財務講座」が多いことに気づきます。このような講座では、会社での「財務三表」を見て理解する方法を教えてくれます。こうした財務三表などを、エンジニアが理解できるようになったらどうなるでしょうか。たとえば「先月の売上は好調で、翌月の財務三表によると、前年同月比で20%の成長の余地があることを示している」と考えることができるエンジニアは、会社にとって非常に貴重な存在です。また、エンジニア個人にとっても、自分の仕事が「会社の収益」あるいは「コスト」に何らかの影響を与えていることと把握できるので、ビジョンややりがいを得ることにつながります。
財務思考力の中でも、財務三表における「コスト」と「売上」という2つの非常に重要な概念については、多くの社員が頭に入れておくべきです。私も、TSMC内部研修や企業研修を行うとき、よく受講生に「人件費は高いか?」「固定費は高いか?」「変動費は高いか?」などと問いました。自分が所属する部署や会社の「コスト構造」を理解してほしいからです。また「会社の毎月の売上高はいくらなのか?」「粗利益はいくらなのか?」「EPS(1株当たり純利益)はいくらなのか?」なども尋ねるようにしていました。ときにはさらに突っ込んで「昨年と比べてそれらの数字が伸びているか?」「それとも伸び悩んでいるのか?」ということも聞いています。コスト構造を理解できれば「どのようにすればコストを削減することができ、売上を増やすことが出来るか」がわかり、経営の意図を理解できます。
たとえば、新たな仕事を受注できた場合、社員の立場からすれば「仕事を分担できる人を増やしてほしい」と望むはずです。しかし経営者の視点からすると「1人増える」ということは「人件費が増える」ということでもあります。つまり、目先の対応で動くのではなく「会社の利益が伸びるかどうか?」という広い視点から、単純に人を増やすのではなく、仕事を効率的に進めていくやり方はないか。そのように考えられるのです。
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