評価 (3点/5点満点)
この本のテーマは、深く速く考える思考法=「深速思考」です。
トヨタの社内には独特なツールが数多くありますが、その代表格ともいえるのが様々な報告や企画をA3サイズの資料1枚にまとめる「A3報告書」。ムダな記述を極限までそぎ落として本質を明らかにし、革新的なアイデアをシナリオ化するこのツールは、その分作成にも深い思考を要します。しかし、トヨタはこのツールを中心に据えることで、社内の問題解決力やナレッジマネジメント力を飛躍的に高めることに成功しています。
本書ではこのツールを参考に、日常的な問題を深く考えることを繰り返すことで、思考する力とそのスピードを鍛えることを目的としています。トヨタの思考法のキモのひとつでもある、「具体と抽象を自由に行き来できるようになる」こともポイントです。
常識の外側に出るためには、深く考えることが重要であり、毎日継続するためには、速く考える必要があります。常識の枠から大きく外に出るには、天才の直観力が必要ですが、少しだけ出るなら凡人でもトレーニングすればできるようになります。これらは深速思考のトレーニングのコンセプトでもあります。まず深く考えるために、因果関係を図にする「因果関係マップ」や、アイデアを遠くから借りるという「アナロジー思考」の基礎訓練をします。そして、トレーニングを効果的にするために、思考の壁のちょっと外に出ることが必要な問題を解きます。つまり、問題の難易度を徐々に上げていきます。(P.62~63)
「抽象化思考」(構造を取り出して本質を見抜く)、「アナロジー思考」(遠くからアイデアを借りてくる)、「因果関係マップ」(本質的な構造を見える化)の3つの思考ツールを使って、短時間で深く考え、素早く正解へのルートを見出しましょう。
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といった身近なネタ、取っつきやすいネタを例題として取り上げ、それらに関するクイズなども交えながら考えていきます。