評価 (3点/5点満点)
著者の牧野知弘さんが、ボストン・コンサルティング・グループ(ボスコン)を受けた際、当時の代表・堀紘一さんからの質問は、
「日本でトイレットペーパーって1日どのくらい消費されているものなんだろう?」
というもの。
ボスコンでは多くの業種の方を相手に仕事を行います。自分が知らないことだらけの異業種の方々を相手にする。知らないではなく、問題に対してどのようにアプローチするか、その思考能力が試されていたのです。
この本では、牧野さんがボスコンをはじめとして、その後勤務した三井不動産や独立で身につけた、「戦略立案のための切り口の見つけ方」「戦略および処方箋の考え方・つくり方」「決断の手法」「戦略を遂行する意欲と行動」「アフターフォロー」を紹介します。
人様の気持ちや状態に寄り添い、一緒に問題を解決し、新たな道を歩むことがコンサルティングの神髄です。本書から、コンサルティングという仕事の意味と目指すべき道を知り、それを読者の仕事にも役立てることができると思います。
コンサルタントがビジネス書でよく紹介する理論やツールだけでは、人様の心の奥底にまで寄り添うことはできないと認識した1冊です。
【my pick-up】
◎「一生懸命」なんてあたりまえ
私の同僚や部下の方からもずいぶんと言われました。「私は一生懸命やっています。だから評価してください!」おそらくこの理屈は単純作業に従事する労働者では十分に評価されるべき要素なのでしょうが、付加価値を創出するような業種では、ほとんどまったく評価の対象にはならないことに気付きました。