そよ風つうしん

小さな自然の発見をご紹介してきましたが、転居で環境が激変。内容を一部変更し日々の雑感を綴ったりもしています

思い出の中に

2009年12月16日 | ポエム&好きな言葉
人は、いつまでも生きているなんてこと

決してありはしないのに、

ついうかうかと過ごしていると

2度と再び会えなくなっていることに気づかされて

呆然と立ちすくむことがあります



中学一年生の時、国語の先生に「あなたは文を書くのが好きでしょう? 作文をどんどん書きなさい。見てあげるから」に言われて、新しいノートを頂いたのです。
私はよろこんで書き始めました。

昔は、学校の先生にも月に一度か二度、宿直というのがあって、その夜に読んでくださり、赤ペンでギッシリと感想を書いてくださいました。

ごくたまにほめられて、後は厳しい添削ばかり。でも、とても励みになりました。
そんな作文ノートが何冊か、今も残っています。





私は、学生時代も結婚してからも、途切れることなく季節のお便りを送り続け、先生も簡単でしたがお返事をくださいました。
時には、学んでおられる俳画が書き添えられていたりもして。


そんな先生が、ある夜、夢枕に立たれたました。
私がブログの文章がうまく書けなくて苦しんでいたころです。

「○○ちゃん、自信を持って。
私に見せられるような文章を書けばいいのですよ」
先生はそうおっしゃいました。

目覚めて、
そうか、先生に読んでいただけるような文を綴れば、それでよかったのだ!
初心にかえって、心が軽くなりました。

そのことをお電話すると、先生は爆笑されて
「教師冥利に尽きますなあ~」とおっしゃいました。





その後、奥様に先立たれ、そのことをお知らせくださったお便りの中に、こんなことが書かれていました。
「遺品の整理をしていたら、あなたが四季折々の様子を知らせて書いてくれた、たくさんの便りを、箱に入れてしまってあるのが出てきましたよ」

私は字がことのほか下手だったので、冷や汗が出ましたが、とても嬉しかったです。

さっそく私はお電話しました。
「先生、これは生徒冥利につきますねえ~」




そんな先生から、今年はお年賀状をいただけなかったのです。
ご病気でも? と気になりながら、ついついのご無沙汰でした。

すると先日ご家族から「8月に85歳にて旅立ちました」というお便りをいただきました。

そのお便りのハガキを手にしたまま、
呆然と、
ただ呆然と立ち尽くして仰ぐ空に、やわらかな雲が浮かんでいました。




私とて、若いわけではありません。
先生、またお会いできる日は、そんなに遠くはないと思います。
それまで、先生が見てくださってると信じて、精一杯の文章を綴ってまいります。
どうか見守ってくださいね。
長い間、本当にお世話になりました。心からのお礼を申し上げます。


<たくさんの教えを残し逝きたもう 
              師の面影を今日も抱きて >




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16 コメント

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素敵だから素敵な人が見守ってくださってる (chocolat*)
2009-12-16 15:39:42
…そんなふうに思いました。
空の雲の様子と今日の記事がとても
マッチしていて 感動してしまいました。
素敵な人の周りには素敵な人が集まる。
素敵な人を素晴らしい人が見守ってくれている…。
素晴らしい恩師だったのですね。

先日はエールのメールをありがとうございました。
ぼっちらぼっちら やっていきますね。

同じような記事??どれどれ 森のどんぐり屋さんの素敵な写真をのぞいてこよーーっと。
返信する
Unknown (銭無のとっつあん)
2009-12-16 17:04:05
感動!感動です。

相田みつをさんの言葉
そのときの 出逢いが
 その人の人生を 根底から変えることがある
よき出逢いを

あなたにめぐりあえてほんとうによかった
 ひとりでもいい こころから
 そういってくれる ひとがあれば

空の雲が爽やかな風を感じさせてくれます。
返信する
素敵な先生は天国ですね (yosiko こすもす)
2009-12-16 17:51:10
 やさしいかたちの雲ですね・・この雲は先生もきっと眺めていらっしゃるのでしょうね。
 素敵ですね、あなたの得意分野を見いだせて貰えて良かったですね・・幸せでしたね
 これかもずっと素敵な文章をかき続けて下さいね。
 ほのぼのといい気分になりましたわ・・有り難うございました。
返信する
Unknown (ブドリ)
2009-12-17 08:25:23
森のどんぐり屋さんの輝いていたところをしっかりと見てつけてくれたなんて、いい先生ですね。

どんぐり屋さんの自然をやさしく包みこむような文章の原点はここにあったのですね。

これからも書き続けてください。
先生もきっと雲に乗ってあらわれて、「この風景を見てかいてごらんなさい」なんて導いてくれるかもしれませんね。
返信する
コメントありがとうございました♪ (森のどんぐり屋より)
2009-12-17 10:32:15
chocolat*さんへ
卒業式のときに「仰げば尊し、わが師の恩」と唄いながら、涙が流れて仕方がありませんでした。

なんの恩返しも出来ないままに逝ってしまわれて、心残りでなりません。
いつまでもご恩を忘れないで、ご冥福をお祈りしていようと思っています。

銭無のとっつあんさんへ
相田みつおさんの言葉、ありがとうございます。
私も、この先生にご縁があって、本当に良かったと思っています。

今の中学校にも、このように熱心に生徒を指導してくださる先生は、いらっしゃるのでしょうか?
きっと、お忙しくてそれどころではないのでしょうねえ・・・

私はよき時代に生まれ育って、幸せだったと思います。

yosiko こすもすさんへ
国語の先生ですから、伸びやかな雲を眺められつつ、漢詩でも口ずさんでいらっしゃるかもですね。

素敵な文章なんて、めったに書けませんけれど、読んでくださる方がほわっとしてくださるようなブログを創っていきたいと思っています。
また、見にいらしてくださいね。

ブドリさんへ
先生は銀河鉄道もお好きでした。
文化祭にラジオドラマ風に仕立てて、そのときのご自分のクラスの催しものになさっていたのをおぼえています。
先生はナレーターでした。
カンパネルラが可愛くて・・・
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感動! (クレア)
2009-12-17 12:24:10
ノート1冊をくださって、どんぐり屋さんの文章を感想を書いてくださったのですね。素敵なお話です^^
どんぐり屋さんは、色んな形で季節のお便りをずっと続けていらっしゃる・・・これからも身近で小さなものがくれる感動を、ずっと届けてくださいね♪
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クレアさんへ (森のどんぐり屋より)
2009-12-17 12:59:41
先生はとても厳しかったです。
ですが、今はそれがとても役立っています。
親と同じですね。

私は小さな季節便りが、以前から好きだったのでしょうね。でも、文章だけでそれを伝えようとするのは、大変な苦労でしたよ~~
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Unknown (ももんが)
2009-12-17 14:37:29
いい先生の出会いがあったんですね。ずっと見守ってくださり、どんぐり屋さんと一緒お仕事していた頃も支えだっだんですね。私の想像ではセーラー服におかっぱの知的のどんぐり屋さんです。やさしい心が雲にあらわれてます.今日は寒いですね。
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ももんがさんへ (森のどんぐり屋より)
2009-12-17 15:21:18
そうそう、あの頃はみんなおかっぱ、ワカメちゃんスタイルでしたね。
私が、モモンガさんたちとご一緒にお仕事に精出していた頃は、先生も某中学の校長になられてお忙しくされていました。
朝礼のお話のタネ探しが大変だよと、おっしゃってたことが思い出されます。
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先生 (きのこ山書房)
2009-12-17 17:34:00
素晴らしい文章で、感動しました。
私も小学校3年の時に、季節便りを書くという宿題が出され、身近な自然のスケッチと説明文を書いて出したら褒められて、
よほど嬉しかったのか、その後他の人が止めても、ひとりだけずっと提出し続けていました。
それが今に続いている訳だから、子供の頃の先生の教えは偉大ですね。
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