曇り。
ムシムシしています、風があるのが、救い。
早朝は、時折、陽の光も感じられたのですが、今はもうその気配が全く失われ、直に、雨雲が空全体を覆うのでしょう。
とはいえ、今は「アジサイ」と「バラ」の季節。街角の、あちらでもこちらでも、様々な「バラ」や大振りの「アジサイ」が、存在感を増してきています。以前は、「梅雨」が近づく頃、いくつかのお庭で、「クチナシ」や「ホタルブクロ」も、目にすることがあったのですが、既に代替わりになったのか、あるいは売られて好む花が変わったかして、見かけなくなりましたね。
夏の終わりを知らせる「マンジュシャゲ」もそう。こういう子供の時からよく見たり聞いたりしてきた花が見られないと、一抹のさびしさが心をよぎったりしてしまいます。反対に目にしたりしますと、子供の頃の思い出に満たされて、うれしくなってしまいます。思い出なんぞも、楽しいことばかりであったら、人は皆、幸せでいられるのですが。
さて、学校です。
あまりお勉強が好きとは思えないのに、6月から始める「読解(『日本語能力試験対策』」の問題集を買うようにと言うと、なぜか喜んですぐにお金を持ってきた「Bクラス」の面々。
「やらなきゃいけないのなら、やるよ」くらいのものなのか、ただ単に「おう、もうそのレベルになったのか」と来し方を振り返って喜んでくれたのか、はてさて、全くわからない。また、その中に、「大変だ。頑張らなきゃ」と思ってくれている人がいるのかどうなのかも、さっぱり判らない。ただ、ニコニコしてくれているので、それに便乗して、軽めに流しているのですが…と言うわけで、ちとばかり申し訳ない気がする。
「試験」なんて(問題の)数をこなせば、どうにかなる…、なれるというレベルならいいのですが、そうとは見えないから、ホント、困る。
「『漢字』はどうするんだ」、「『文法』はどうするんだ」。焦っているのは教師ばかりなり…なんでしょうね。その「差」が見えなければ、焦りようもないもの。
以前、学生達に訊いたことがあります。「日本に来たばかりの頃、『留学生』の話す日本語にびっくりしなかった?みんな、上手だと思ったでしょう。で、今はどう?」。この問いに、今では皆「へへへへへ」と笑えるくらいにはなっています。ただ「N3」と「N4」とは差があることは経験でわかるものの、どれほどのものなのかはまだわからない…。
これも「聞き取れ」、「会話」さえ達者なら、上手と見てしまうのでしょう。これは日本人でも同じこと。いくら「文章を読む力」があり、かなりの「作文」ができる人であっても、「聞く」「話す」が、ある程度の域に達していなければ、「だれも、上手」とは見てくれない。それどころか、「下手」と見られることだってある。実際、「聞く力」ができていれば、「まねる」こともできますから、上達も速いのです。「ヒアリング力」に欠ける人に比べて。
ただ「ヒアリング」は時間の問題で、言われたとおりに毎日学校に来て、真面目にコツコツやりさえしていれば、少しずつでも力はついてきます。遠回りしたのが幸いになる人だっている…。
それに比べ、「文法」や「漢字」は覚えようとしなければ、上にはいけません。「漢字」を習得するためには、練習が欠かせないのは言うに及ばず、「文法」にしても、「こういう言い方もある」ということを知らねば、だいたいは「N4文法」くらいで、終わりです。彼らの日常生活では事足りるでしょう。
「アルバイト」で使われる言葉なんてのは「お決まり」のものですし、同じ意味ではあるが、こういうときはこちらを使った方がいいなんてのも、「責任のある仕事で正確さが要求される」時か、「自己主張が必要になった」の時くらいで、アルバイトでは関係ないでしょう。
以前、来日後10年以上になるというネパールの男性が勉強に来たことがありました。話していて別に困ることはない。普通の話は日本人と同じようにできます。ただ「N3文法」の時間になりますと、あれほどうまく話せていたのに、困ってしまうのです。使えないのです。あれでいいじゃないか、同じじゃないかというのが、「N5」とか「N4」の文法。確かにそれでいいのですけれども。じゃあ、勉強に来る必要はない…。
普通なら「ヒアリング力」がついており、日本での生活も長ければ、ある程度の勘もついていますから、文は作れるものなのですが、彼の場合は、すぐに同じような意味の「初級レベル」の文法の方に戻ってしまい、新しい、いわゆるもう少しレベルの高い文法が使いこなせないのです。多分、慣れなのでしょうね。意味だって大して違うわけではないのですから。
ただ、「初級」の頃は別として、普通、大人同士の会話では、単純な言い回しの表現は用いませんから、だんだんにレベルを上げた方がいいのはわかりきったこと…でも、本当に難しそうでしたね。ごくごく普通の、大卒の男性でしたけれども。
その意味でも、「N4」からすぐに、「N3」に移った方がいいのです。時間を空けてしまうと、「慣れ」が「知識」を目隠ししてしまう。越せなくなってしまうのです、その壁を。…まあ、語学に関してもセンスというのが関係していますから、ごり押しはできないのですが。
さて、「Bクラス」。今、頼んでいる問題集が届いたら、どうかしらん。届くまではニコニコしていても、届いて、いざ始めるとなると、きっと「あ~あ」という顔つきになるでしょうね。でも、大丈夫。先生達は慣れていますから…負けないぞ。
日々是好日