日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「願書書き」は大変です。

2018-11-08 08:56:19 | 日本語学校

晴れ。

日が照っています。「サクラ(桜)」は、まだ紅葉というか、黄葉していません。

だいたい、「モミジ(紅葉)」の樹の葉だって、きれいな赤になる時は稀で、そのころの日較差や気温の高低によるのだそうですし。名所に行って、がっかりということだってよくあること。年によっては、それほどの紅葉が見られぬまま散ってしまうということだってありますもの。

なんだか、人生そのままを物語っているよう。もちろん、それはそう。だって、同じ生き物なのですもの。

北欧の物語に、英雄の中には、年老いて巨木に変ずる者と、灰色の巨大なオオカミに変ずる者とがあるというのがありました。年を取ると、だんだん変ずる時間が長くなり、疲れたと言っては森に行き、樹に変じて体を休めているのだそうです。そして最期、死を迎えることなく、完全に樹に変ずる(あるいはオオカミに変ずる)。樹はもの言わなくても(眠っている)、生きている。時々目覚めて、自分たちを感ずる者とは話すことがあるらしいとか。

神話ですね。でも、どこかしら、真実を衝いているような、そんな気もします。

さて、学校です。

来日後、一年と半年ほども過ぎて来ると、きちんと勉強してきた者とそうではなかった者との差が歴然としてきます。なにせ、進学というのものがありますから、テキトーにはできないのです。合格、不合格で二つに分けられてしまいますから。

まずは、願書書きで苦労する。面接の練習で苦労する。…このようなことに苦労してしまうような者には、それほどの情報が与えられません。最低限の情報でも四苦八苦していますから。「これさえできれば。ここまで書ければ」という感じで指導していくだけです。

きちんと勉強してきていれば、(作文書きの練習やらで)もう少し変えてもどうにかなるということで、指導中、別の言葉を入れたり、日本の習慣や文化についての知識を、多少入れていくこともできます。

同じ学費を払っているのに、本当に損なこと。ここの学校は本当に小さいので,こういう指導は一人一人を見てやることができるというのに。その人にあった内容、またやり方、言い方などを入れていくことができると言うのに、その前の段階ができていないので、そこが白紙になってしまうのです。

面接の練習にしても、「自分」が言えなければ、こちらとしても、来日時に紙に書かれた情報やら、これまでの様子などから、言ってやることができるだけで、結局のところ、その人の「自分」というのはわかりません。

とはいえ、とにかく合格出来ればそれでいいと言う人もいて、あまり後のことは考えていないようです。教員の方はいろいろ考え、苦労しながら説明しているというのに、なかなかその意味が通じていきません。教員の方が苛立ったり、焦ったりしていると、叱られているとしか感じられない人もいて、大変です。なぜ、自分のことでもないのに苛立っているのか、焦っているのかがわからないのです。

「期日までに願書が出せないと試験が受けられない」、この、当たり前のことですら、なかなか徹底できない人もいて困ります。

けれども、思えば、中国にいた時、大学生で別の大学の大学院を受けるという人が、夏休みに、その先生の特別授業(個人でしていたでしょうね)を受講していれば合格するとか(もちろん受講料はいるのでしょう)。また、ミャンマーの大学生だった人も,大学の授業は関係ない、その先生の塾に行って勉強していれば、点数をもらえるから卒業できるとか言っていました。もちろん、別にたくさんのお金がかかるのでしょうね。

日本は専門学校でもそんなことはないと思います(断言できないのが辛い。なにせ、医大で不正がありましたから)。だから、きちんと期日までに出さなければならないし、決められたお金は払わなければならない。分納ができるところとできないところもありますし。学生の懐具合などを聞きながら、彼等のレベルに合う、希望に合うところを探してやっても、知り合いが言ったからとか、友達がいるからとかで、簡単に約束を覆されてしまうと、間に入った教員は立つ瀬がありません。

それでも、日本にいたいと言うから…で、面倒を見ているのに、自分のレベルに会わない学校の願書ばかり持ってくる人がいる。もちろん、受けるのは自由ですが、受験料もいるのです。自分のレベルがわからないと言うのが一番怖いですね。結局は日本語がわからないから、同国の知り合いに頼ってしまう。

本当に、順々巡りになって、とどのつまりは日本語がわからないから…ということになってしまうのでしょうね。

日々是好日

コメント
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