日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「初級の授業」。「猫友」。

2014-04-24 08:25:23 | 日本語の授業
 晴れ。

 今は、少し雲が出ていますが、直に消えてしまうでしょう。晴天。

 今朝は、昨日の朝よりも少し寒いような気がしますが、お日様が上がるにつれて気温がグングン上がっていくだろうとか。この服では暑くなるかもしれません。

 先日も、朝が冷えたので、つい厚着をして出てしまいました。午後のクラスの授業の時に、汗を掻き掻き話していると、学生の一人が「先生」と呼びかけて、ティッシュを渡してくれました。しゃべっている方は、もう話すことに夢中になっていますから、自分が、手で汗を拭き拭き話していたなんてこと、覚えちゃいません。

 けれども、学生のこの反応に、はっと…したのもつかの間、また「おりゃ、おりゃ」とやってしまいました。

 授業が終わってから、先程の学生、「大丈夫?」。「はい、大丈夫です(いつものことです)」。

 日本語学校の学生というのは、学生とは言いながら、年齢も様々なのです。このクラスでも、40才を超えている人もいれば、まだ17才という人もいます。高校生くらいであれば、こういう留学生の中にいても問題ないのですが、これが小学生や中学一年生くらいですと、ちょっと、考えますね。

 実は、時々、そういう相談があるのです。子どもを母国から呼びたい。ついては、夏休みや春休みの期間、一度日本に呼んで、日本語を学ばせたい。そういうクラスはないかと。

 きっと、どこかに、あることはあるのでしょうが、それでクラスが作れるほどの人数が集まるかということ、それはちょっと、心許ない限りです。

 そういう小さい人の場合、殆どは、(入学してから)小中学校の学校内で対処しているので、「一ヶ月か二ヶ月だけ、そういうクラスに入れて」というのは、成立しないでしょう。しかも、子どもの言葉と大人の言葉は違いますし。

 そういう場合は、結局は知人に頼んで、マンツーマンでやってもらうしかないのでしょう。が、簡単な日本語なら、幾人かの子どもと遊ばせておいたらいい。遊んでいるうちに自然に身についていきます。そして、おそらくは、そういう日本語の方が子どもにとっては役に立つのでしょう。何事によらず、また年齢に関係なく、「勉強する」よりも、「遊ぶ」方が楽しいものですから。

 さて、学校です。

 「初級クラス」、二度目の授業です。まだ一ヶ月に足らぬというのに、ホコリが中を漂っているような感じで、三列目と四列目(なぜか、皆、男子学生。一列目、二列目は、一人を除いて、皆、女子学生。よくぞこれほどうまく分かれられたものだ!!!)の学生達、右を向いていたり、左を向いていたり、下を向いていたり、「おい、こら。授業だぞ。遠心力が働いて、心をあっちにやってしまったわけじゃあるまいし」と思わず心の中で罵ってしまいました。

 学生達がこちらを見ていないのです。この「私が指さす一点」に集中していないのです。私を見ていないのです。皆がこっちを見ていないと、授業の時は、腹が立つ。

 で、ギュウッと、一人ずつ、(あっちこっちを見ている学生を)潰しにかかります。こういう状態になっている場合は、少しでも、「空ける」「(こちらが)油断する」と、途端に母国語でザワザワやり出すものなのです。ホワイトボードに紙を貼ったりするために後ろを向いてもだめ。ものを書くためにホワイトボードを向いてもだめなのです。声が聞こえてくるのです、ザワザワザワッと。

 ところが、「初級」というのは、四六時中、何かを貼らねばならないものなのです。後ろを向けば、得たりとばかりに(学生は)しゃべり始める。かといって注意しようにも、まだ「初級」の4課に入ったばかりですから、日本語がわからない。で、「ガンをつける」くらいの、わる~い目つきで、グイと睨みつける。「話したのはいったいだれだ」とばかりに。それを繰り返すと(もちろん、それだけじゃありませんが)、10分ほどでベトナムの学生が私語を止め、こちらを向き始めた。まあ、一人怪しいのがいたのですが、それでも、初めよりはまし。

 最後まで聞こえていたのが、スリランカの学生たちの声。たった三人しかいないのに、往生際が悪い。さすがに、もう、ヘラヘラとした態度はとらなくなりましたが。

 というわけで、「遊び」を入れなかったために、気がついたら、「4課」の「B」が、最後の一つとミニ会話「C」の一つを余すだけとなっていました(単語だけは、入れてもらっていました)。それで、内心、しまった。しまったと思っても、今さらブレーキが利きません。しかも、リズムよく流れたので、授業をしている当方としては、非常に気持ちがよかった。疲れたけれども。

 それでも、ちょっとは明日の分に取っておかねばならない…と思ったこともあって、ちょっと「遊んで」しまいました。

 前に座っている一人のベトナム人男子学生。声が小さいのです。で、「声が小さい」と言い、その真似をしてみると、後ろから、ベトナム人男子学生が「先生。猫。猫。○○さんは猫です」と大喜び。

 折良く、そこに黒猫が通りかかりました。「○○さん、友達です」「違います」という声と「そうです」という声が入り交じり、さっきまで、ぴーんと張り詰めていた空気がホッと緩みました。そうですよね、あのまま終わると、互いに困る。猫が通りすぎたので、単語の復習をしていると、また猫が戻ってきました。そしてちょうど道の向こう側に腰を下ろしています。

 「○○さん、友達がまた来ました」。立ち上がってみる者あり。笑う者あり。まあ、それでも楽しく終わることができました。

 どちらにしても、昨日の勉強は今日はあらかた忘れているでしょうから、また復習をしていかねばならないのですが、特に「9」「4」「7」などの読み方は要注意ですし。

 まったく、語学というのは、繰り返しが何よりです。毎日、学校に遅れずに来られるというのも、これも能力の一つなのです。

 新入生のクラスに行くたびに、お腹の中で「いいか。休むなよ。休むなよ。初級の間だけはどんなことがあっても休むなよ」を繰り返しているのですが、私も。

日々是好日
コメント
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