日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「昨日は『成人式』でした」。「ガスの工事」。

2014-01-14 08:43:57 | 日本語の授業
 寒い。暦は本当に正直です。今日はストーブをガンガン焚いても(灯油なので、焚くというとおかしいかもしれませんが、なんとなく、そう言いたいような気分なのです)なかなか暖かくなりません。それで、来た時のまま、ダウンにくるまりながら、カーテンを開け、窓の開閉をし、お湯を沸かし、ウロウロして、そして、少しはマシになったかなと戻ってきたのですが、やはりだめですね。職員室は冷たいままです。今日はおまけにお日様の力が弱いのです。陽が射し込むと、少しは気分が楽になるのですが。

 思えば、中学校の現場にいる時は楽でした。その時は用務員さんがいて、教員が来るまでに職員室を暖めていてくれましたから。それを今やっている私は、もしかしたら、用務員なのかな。まあ、教員もついでにしているような。

 昨日は「成人式」で、お休みでした。学生達は、今一つわからなかったようですが、とにかく、「赤の日」で休みであることはわかったようでしたが(この学生というのは、10月生です。他の学生達は、かなり意思の疎通がはかれるようになっているので、時には意味を聞きに来たりすることもあります)

 以前は、市役所から、こんな葉書が来たと、「成人式」のお知らせを持って来たりしたのですが、今年は、そんな学生はいませんでしたね。19才とか20才になったばかりの学生が何人かいるので、もらっていなければ、おかしいのですが。

 この3日間、チョイチョイと学校に来る用事がありました。昨日もどうしようかなと思ったのですが、学生のアパートのガス工事があり、それが10月生と7月生の部屋で、しかも彼らは日本語に不安が少々ある…。隣の部屋の4月生が見てくれると言うけれども…これも不安…で、工事が終わるであろうという時間の前に学校へ行って、仕事をしながら待とうかという気分になったのです。

 ところが、学校に向かっている時、13時を過ぎていたでしょうか、携帯電話に連絡がありました。10月生からで、工事は終わり、修理をしてくれた人から話を聞いたということを伝えてきました。聞くと「みんなわかった」というのです。「ええっ」ということで(聞いてみんなわかったなんて、あり得ないでしたから)、すぐに行くから待つように言って、ドアを叩くと、すぐに彼が出てきました(私が来たのがわかったのでしょう、10月生まで出てきました)。

 会うなり「大丈夫ゥ」と大きな声で言います。「みんなわかりました」と言います。疑わしそうな目で見ると、10月生まで、声を揃えて「大丈夫ゥ」と言います。

 アパートの前に停めてある車を指さして、「工事の人」と聞きますと、そうだと言います。こちらが見てもなかなか気づいてくれませんので、車のフロントガラスを叩いて、お礼の一言なりとも言おうとします。すぐに下りてきてくれて、新しいガスの使い方、そして、もし止まった場合の対処の仕方などを説明してくれました。

 話を聞いている途中、別の二人の学生が、スーパーから大きな袋を抱えて戻ってきました。「あら、先生」と言い、うれしそうに、「今日はパーティです」。「うるさいのはだめですよ」と言うと、「大丈夫、静かです」。ホントかなという顔をして見ていますと、そばにいた女子学生が、「3時に終わります。大丈夫」と私の心配を見透かしたように加勢します。

 それで、学校に戻る時、「隣の人達がうるさいので、騒ぐのはだめです。それから、お酒もだめです」ともう一度、念を押しますと、三人の男子学生は声を揃えて、「お酒はだめ」。私が、「何がお酒はだめだ。靴箱の上にビールが於いてあるじゃないか」と指さしながら言うと、「先生。お酒はだめ。ビールはお酒じゃありません。だからいいです」。授業中、「ご飯」と「お酒」の二つの使い方(意味)を教えたのに、全然聞いていなかったのだなと睨むと、それでもニコニコしています。

 結局、女子学生が大丈夫と言うので、そのまま出てきたのですが。ベトナムの学生は、女子学生の方が頼りになるのです。だいたい男子学生は女子学生におんぶに抱っこされている連中が多いのです。

 ただ、昨日の学生達は、私達が部屋に行くと、すぐにみんな出てきてくれます。叱られると相場は決まっているのに、ニコニコしながら出てくるのですね。そして叱られて、困った顔をしながら、すごすごと部屋に戻っていくのです。それでいながら、「帰りますよ」というと、前のことをすっかり忘れて、すぐに「さようなら」と明るく言うために出て来るのです。

 お勉強ができないのは困るけれども、まずは、屈託ない笑顔が一番。勉強できないというのも、アルバイトで疲れてということもありますし、音がとれないということもあるのです。ベトナムの学生の半分ほどは彼等に責めはなく、つまり母語の関係で音がどうしてもとれないのです。これも、(音楽で)音階がいつも外れる人がいるのと同じような感じで、同じ単語を聞いても、(音の)区別ができないことが多いのです。

 音がすぐにとれる(「ち」と「つ」はとりにくいようですが、それも単語を覚えてしまえばそれほどの問題にはなりません)スリランカの学生と、ヒアリングに難のある彼等が一緒に勉強していくことになるわけで、ちょっとどころではなく、大変なのでしょう。

 しかしながら、最近は、頭で(単語を覚えるとか、前後の分から判断するとかして)全体の文を考えることの出来る学生がチラホラ入ってくるようになりましたから、漢字を覚えることの出来るベトナムの学生の方が伸びるかもしれません。スリランカの学生は「読んで」意味をとることがなかなか出来ませんから。

 もっとも、これも時間の問題です。一生懸命にし続けることが出来る人は、2年か3年ほどで殻がパチンと弾けるようにわかり始めるものです。ただ、スリランカの学生でそこまで忍耐できるかというと、やはりかなり数は少なくなります。途中で飽きてしまうのです。頑張れないのです。

 能力や素質は同じくらいであっても、やはりこの「忍耐」とか「頑張る力」とか言うのは、年中暖かいというか暑い国の人達は苦手なのかもしれません。けれども、頑張らないでやっていけるかというと、多分、先進国では、無理でしょうね。母国で習得してきた分量の差が加味されてしまいますから。

日々是好日
コメント
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