日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「アルバイトが見つからない…」。

2013-02-20 13:06:36 | 日本語の授業
 曇り。昨日よりも少し…暖か…かな。

 「Fクラス」では、決まって休む学生が目立つようになりました。普段ですと、来日後二ヶ月くらいから、お金をあまり持って来ていない学生は、焦り始めるものなのですが、この今度の学生達は少々早すぎるようです。もっとも、ベトナム人学生だけですが。

 何度も口を酸っぱくして言ってきているのですが(現地でも。勿論、通訳してもらっています)、「日本へ行けば何とかなる」と、見切り発車で国を出ている人が、また国から出している親御さんが、多すぎるのです。何とかなると考えてもいいのは、それなりの努力を国でしてきていた人だけで、母国にいる時もボウッとしていて、何の努力(日本語を学ぶという)も、してきていない人には、そう思うこと自体が、私たちから見れば不思議でたまらぬことなのですが。

 勿論、経済的にある程度余裕があって、日本でアルバイトをせず、勉学に励むだけでいいというのなら、また話は別です。こちらも、それほど気を遣わなくてもすみますから。そういう人は教えることだけに気を配っていれば事足りるのです。そうでなければ、アルバイト探しのために授業は休むは、行ってもまた、断られるはで、勉強もお留守になり、それ故に面接に行くたびに日本語力が問題で断られるという悪循環の中で足掻いていかねばならなくなってしまいます。

 実際、そうなってしまうと、身動きが取れなくなってしまいます。「ひらがな」「カタカナ」が書ける(とはいえ、単語のディクテーションまではできません。五十音図が書ける程度です)だけで、来日し、一ヶ月もせぬうちから、授業を休むようでは、在籍しているクラスの授業には、すぐについて行けなくなるのはあたりまえのことです。遅刻しても、復習に参加できなくて、置いて行かれるほどですのに。

 この学校では、必ず、授業の時に、前時の復習を入れるようにしています。アルバイトで、家で復習が十分にできない学生もいますし、(高校を出るまでに)家庭学習の習慣がついていない学生もいるのです。時には、授業の多くを、その復習のために割かなければならないことだってあるくらいなのですから。

 「勉強は学校で終わらせる。その代わりに必ず来い」で、勉強したいけれども、十分な時間がとれないという学生に配慮して…と、まあ、それが全部の理由ではないのですが。

 家でも教科書を開かない、学校の授業にも参加しないでは、実際問題として何のために来日しているのかわかりません。だいたいが、二兎(勉強とアルバイト)を追っていないので、どちらもだめになってもそれほどはがっかりしないようなのですが、面接がだめだったということだけには強い反応を示すのです。本来は日本語の方で反応して欲しいのですけれども(なぜか、日本語がそれほど出来なくても。まあ、それなりに頑張らないから当然でしょうけれども)。

 ただ、いかにも自分は不幸という顔でやって来られても、こちらとしては、はっきり言って同情の余地は無しと思っていますから、「日本語が出来ないんだから、しょうがないでしょう。まず日本語の勉強をしてから面接に行くことを考えるべきでしょう」としか言いようがないのです。が、そう言っても、馬耳東風、馬の耳に念仏。聞く気が無いのか、耳に入っても右から左へ、通りすぎてしまうだけなのか…は、わかりませんが、なんの変化も見られません。

 だいたい、「『ひらがな』を書くのがやっと」というくらいで、面接に行っても(だいたい日本語も話せず、相手の言っている言葉もわからぬようでは)、どうにもならないはずなのですが、それも、わからないというのが不思議。説明してもわからない(本当にわからないのか、あるいはそれを理解しようという気が無いのか、つまり、行けば何とかなるという思い込みが強すぎてなのかはわかりませんが)、全く反応を示さないというのも不思議。とにかく、どうにかなるはずで、ならないのは、相手がおかしい、自分は不幸だと思ってしまうようです。

 こういう学生が、同じクラスに二人か三人、出てしまうと、後が大変です。年によっては、同国人(同じ国から来ている場合、考え方が似ている場合が多いのです)や似た素質の学生が多く入っている場合があるのです。ただ、今年の「Fクラス」の場合、今のところは、他の人達は彼らは自分とは無関係と思っているようですけれども。そういう考えの人達に引きずられないようにしていくことも、クラス作りでは大切なことでしょう。

日々是好日