日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「『傘がありませんから、学校へ行けません』は通用しません」。

2010-09-16 08:02:08 | 日本語の授業
 予報通り、昨夜から重い雨が続いています。もうフグを食べても、「天気予報、天気予報」なんて呪文を唱えたりできませんね。当たったら、こわい、こわい。

 今日いっぱいは雨のようですから、学校の傘立てを傘の保管場所と心得ていた輩は、大変でしょうね。傘がない…。そういえば、数ヶ月前、ある学生が登校していないので、同室者に聞いても、「さあ、わからない」。それで、電話したところ、「傘がありませんから、学校へ行けません」。いくら来日後、すぐとはいえ、「それはないぜ。悠々自適のご隠居か、君は!」。

 しかし、気を落ち着けて、「500円くらいの傘があるから、どこかで買って来なさい」「はい。でも、雨です」「……。」

 いろいろな理由で、休めるもののようで…。もっとも、今では、「(遅れたら)叱られる」とか「嫌みをネチネチ言われる」ということがわかってきたようで、1分でも遅れたら、ソロリソロリと扉を引き、こっそりと入ってきます。私が後ろを向いている隙に。

 学校は毎日来なければならない所。遅刻してはいけない所。「正当な」理由なくしては、休んではいけない所だということを、どうやら、理解し、その通りにしなければならない
と思えるまでにはなってきているようです(ただ、この「正当な」というのが曲者で、国や地域によって、意味するところのもの、概念が異なっていますから、困るのですが…。とはいえ、彼らにわかっておいてもらわねばならない事の一つが、母国の習慣と日本のそれとは違うということ。それが正確に掴め、どうした方がいいのかがわかるまでは、日本の習慣に従ってもらわねばならないということなのです。これはどこの国へ行っても同じことだと思います)。

 そうは言いましても、これらは、母国にいるときには出来ていたことなのです。親かだれかが世話を焼いてくれていたでしょうから。国を離れ、親許を出てしまえば、だれもあれこれ言う人もいない。さあ、本来の自分にもどり、羽を思いっきり伸ばすぞというのが、おそらくは彼らの腹づもりなのでしょう。19才とか20才とかいう年齢で、親元を離れてしまえば、そういう気持ちになるというのわかります。
 
 しかしながら、そういう「芽が出た」瞬間に、それを叩き潰してしまうのも、私たちの仕事。そうでなければ、彼らの希望(進学)をかなえることなんてできっこありませんから。下手に温情を加えてしまうと、それが仇となって、どんな事態に陥るかもしれません。モグラたたきをしているようなものですが、学生達もモグラにされているとは気づかずに、私たちに叩かれているのでしょう。私たちが、知らぬ間に鎚に変身しているように。

日々是好日
コメント
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