日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「補講」。「『留学生試験』、『一級・二級試験』、『入試』までに許された時間、逆算すると…」。

2009-08-07 07:20:29 | 日本語の授業
  夏休みということで、別に、気持ちが緩んでいるというわけでもないのです(なんとなれば、9時から12時過ぎまで、ぶっ続けで「上級」を教えていますし、午後も2時45分から4時45分まで、「初級Ⅱ」を教えています)。だから、自分でも、朝来るのが三十分ほど遅くなってしまう理由が、今ひとつ判らないのです。今日着いたのは、6時40分でした。

 今週は月(日光見学)・火(「Bクラス」は休み、「Dクラス」は午後授業)を除いて、水・木・金と三日間、こういう日が続いています。「上級」の教科書も、昨日は、一日で1課を終えました。「説明」はしておかねばならぬけれど、「消化」は休みの時にすればいい、くらいのつもりで。それほど「言語感覚」に優れている人達ではありませんから、少々面食らったでしょうね。ただ、こういう事は、ゆっくりやっても、速くやっても、それほどの差は無いのです。時間があれば、ゆっくり、彼らを、待ちながら、授業を進めます。時間がなければ、待たずに飛ばし、彼らの中で機が熟していくのを待つだけです。これは、かなりの個人差があるのです。

 この学校の場合、一年に四回募集をかけます。一番いいのは、4月に来られた学生です。「一級(日本語能力試験)合格」後に半年ほどありますから。
 勿論、大学や大学院合格は、ただ来日してから受験するまでの期間、長さだけで、決まるものでもありません。

 その他にも先天的なものとして、持って生まれた「言語能力」も関係します。それに、来日前に、自分の国でどれくらい、本を読む習慣がついているか、或いは、机につく習慣がついているかということも、無視はできないでしょう。
 しかしながら、普通の能力(定義は難しいのですが、これは教壇に立ったことのある、教師なら、感覚で直ぐにわかることです)の学生達ですと、半年の差、三ヶ月の差は大きいのです。

 4月に来ていれば、大学、ないしは大学院の受験までに、一年半ほどあります。そうすれば、一年で「一級(日本語能力試験)」に達し、後の半年間を「受験対策」のためにつかううことができます。一方、10月に来てしまうと、特にその段階で「二級(日本語能力試験)」か「三級(日本語能力試験)」レベルにも達していない学生の場合、ドンドンずれ込んでいき、下手をすると「上級」を終えないうちに受験しなければならないということにもなりかねません。まず何よりも、9月の末までに、大急ぎで「上級」の段階を終えていなければ、11月の「留学生試験(日本語問題)」、12月の「一級試験(日本語能力試験)」に間に合わないのです。

 勿論、「一級試験(日本語能力試験)」だけを考えた「カリキュラム」を準備すれば、合格だけは出来るでしょう。けれども、彼らは、それからも日本にいるのです。日本にいて、大学や大学院で、日本人の学生達と伍していかねばならないのです。「試験用」のカリキュラムでは、日本では通用しません。却って、「『一級』に合格しているって聞いたけれど、レベル低いんだね」と言われるのがオチです(彼らの母国で合格するというのとは意味合いが異なってきます。つまり、彼らの母国であったら、「日本語能力試験、一級」の「合格証」を持っている。「資格」があるということで、日系の企業への就職を目指している人にとっては、多少なりとも有利に働くことでしょう。もっとも、これは、「資格がある」に過ぎないことですが)。

 まあ、というわけで、去年の10月に来た「Bクラス」の学生達は、夏休み期間であるにも係わらず、この三日間、お尻を叩かれつづけ、勉強させられているという次第なのです。可哀想ではあるのですが(言語感覚に優れていれば、それほど問題もでないスピードなのですが)、しようがありません。大学入試も大学院入試も待ってはくれないのです。

 昨日、授業が終わってから、残っていたTさんが、「先生、速い…」とポツリ。彼は何事をやるにしても、ゆっくりで、自分のペースを崩せませんから、困ったでしょうね。私としても、「なあに、一ヶ月経てば、わかる」と力づけた(?)で終わりましたけれど。こんな文章は説明の後、もう一度読めば判るものなのです。単語を覚えるのは、意味さえ判れば、一人でも出来ます。文法も使い方や意味が判ったら、後は練習するしかないのです。一斉授業の時に、最低限しておかなければならないことは、外してはいないつもりです。あとは、「努力を祈る」です…だって、しょうがないでしょう、遅く来たんだから。

日々是好日
コメント
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