写真①:国選定重要伝統的建造物群保存地区の「塩田津」の町並み
=佐賀県嬉野市塩田町大字馬場下甲で、2015年5月3日午前11時30分撮影
江戸時代、宿場町と交易で栄えた町並み
肥前「塩田津」の散策リポート①
佐賀県有田町で開催中の「第112回有田陶器市」に行った5月3日、福津市の自宅へ帰る途中、同県嬉野市塩田町にある旧長崎街道の宿場町・肥前「塩田津」の町並み=写真①=を散策しました。きょう4日から3回に分けて、町並みの様子を紹介します。
江戸時代、旧蓮池藩の飛び地だった塩田町には、中央を流れる塩田川に有明海の干満の差を利用した川港があり、上町、中町、下町の一帯は「塩田津」と呼ばれ、米や陶磁器などの交易・物流の拠点で繁栄。江戸時代の居蔵造の町家が残る古い町並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定。
このうち、昭和49年に国重要文化財に指定された「西岡家住宅」=写真②=は、塩田川と長崎街道に挟まれた敷地に立地し、廻船業を営んだ「塩田津」屈指の豪商・西岡佐兵衛が江戸後期・嘉永5年(1852年)6年に着工、安政2年(1855年)上棟した居宅です。重厚な大型居蔵造の木造2階建て延べ床面積353平方㍍で、切妻造、桟瓦葺。1階正面の出入り口は中央に潜り戸付きの大戸を吊り、その両側を摺り上げ戸としており、2階正面の開口部は出格子の付いた一間幅の窓となっています。
写真②:重厚な大型居蔵造2階建ての「西岡家住宅」
=嬉野市塩田町大字馬場下甲725番地で、3日撮影
1階の通り土間から座敷に上がると、「西岡家住宅」の管理団体になっている嬉野市の女性スタッフが案内してくれました。大黒柱や、座敷=写真③=の欄間、釘隠し、箪笥階段など部材や意匠が素晴らしく、江戸後期・天保15年(1844年)に陶器商鑑札を受けて財をなした廻船業の大店ぶりをうかがうのに十分です。
写真③:「西岡家住宅」の座敷