吉村青春ブログ『津屋崎センゲン』

“A Quaint Town(古風な趣のある町)・ Tsuyazaki-sengen”の良かとこ情報を発信します。

2010年1月25日〈エッセー〉015:“A Quaint Town ”の仕様

2010-01-25 04:29:02 | エッセー
写真①:福津市沖町にある「麻生久彦邸」の卯建


連載エッセー『一木一草』

第15回:2010.01.25 

“A Quaint Town ”の仕様

 前回の本欄で、〈津屋崎千軒〉のまちなみの魅力を津屋崎の外に住む人たちから、“A Quaint Town ”(古風な趣のある町)というフレーズで教えられ、はっとなったことを紹介しました。きょうは、その“A Quaint Town ”の仕様を取り上げてみます。

〈津屋崎千軒〉
 江戸時代から廻船業と海上交易で栄えた港町で、商家が千軒も並ぶほどだとして〈津屋崎千軒〉と称されました。関ヶ原の戦い(1600年)の恩賞により、1602年に黒田長政公が筑前の領主となって博多に入り、津屋崎の港を交易港とします。以来、裕福な商人が生まれ、1743年に大規模な塩田で塩作りが始まり、港から船で塩を博多へ運び、帰り荷で衣類、金物などが津屋崎に陸揚げされ、大変賑いました――〈津屋崎千軒〉のまちなみは、こんな歴史に裏打ちされています。

〈卯建と鏝絵の残る路地〉
 〈津屋崎千軒〉のまちなみは、海岸に並行する町筋を軸に港から東西に市街が広がっています。江戸後期から明治に建てられた町家の妻壁には、裕福な家でないと建てられなかったという卯建(うだつ)が建つ元質屋「麻生久彦邸」=写真①=や、漆喰彫刻の芸術品とも言われる鏝絵(こてえ)の装飾=写真②=が施された「豊村酒造」(明治7年創業)などがあり、往時の繁栄や庶民の気風がうかがえます。

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写真②:福津市横町にある「豊村酒造」白壁の龍の鏝絵

〈塩木〉
 防虫、防腐のため、海水に数年間浸けた塩木(しおぎ)の材木で百年以上もつようにと建てられた「津屋崎千軒民俗館『藍の家』」(明治34年建築の紺屋・旧上妻家住宅=国登録有形文化財)=写真③=や「豊村酒造」の建物は、〈津屋崎千軒〉を代表する町家です。

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写真③:福津市横町にある「津屋崎千軒民俗館『藍の家』」

 このように“A Quaint Town Tsuyazaki-Senngen”(古風な趣のある町 〈津屋崎千軒〉)〈卯建と鏝絵の残る路地〉〈塩木〉という海に面した町らしい資材で建てた町家の古い造りなどが、独特の〈古風な魅力〉を醸し出す仕様となっていると思えるのです。

 都会の喧騒の中で暮らす方たちにお勧めします。「津屋崎千軒 海とまちなみの会」が発行した〈まちなみ散策地図『津屋崎千軒そうつこう』英語・日本語併記版〉を手に、この“A Quaint Town”をそうついて(津屋崎弁で「散策して」の意味)みませんか。

 〈古風な趣のある町〉の仕様を一つずつ確かめて歩くうち、懐かしくもホッとした気持にさせられる癒しのプチ旅になるかもしれません。
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